社会学評論
Online ISSN : 1884-2755
Print ISSN : 0021-5414
ISSN-L : 0021-5414
34 巻, 3 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • ライフ・サイクル論の意義をめぐって
    片瀬 一男
    1983 年 34 巻 3 号 p. 254-269
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    青年期以降の社会化-いわゆる二次的社会化の問題を考える上で、最近注目されているのが、E・H・エリクソンのライフ・サイクル論である。彼は発達心理学の射程を青年期・成人期のパーソナリティ形成にまで拡張している。本稿では、エリクソンのライフ・サイクル論の基本的性格を検討し、それが一定の「規範的人間像」を前提としていることを明らかにする。そして、このライフ・サイクル論が、エリクソンの言うサイコヒストリー研究において、いかに展開されているのかを検討する。これらのことをつうじて、二次的社会化に関する分析枠組を構築する手懸りを見い出してゆきたい。
  • 川崎 賢一
    1983 年 34 巻 3 号 p. 270-289
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は、情報環境が高度化した生活空間における人間の行動的そして価値意識的特色の輪郭を、現代青年文化にみられる具体的現象を通じて、明らかにすることである。
    本稿は、四つの節から構成されている。第一節では、過去の青年像・青年文化と現在の青年像・青年文化とを比較し、共通点と差異点が整理される。
    第二節では、整理された現代青年の特色を分析するための一般的類型が提出される。その類型は、人間と情報処理機械ならびにその機械の産出する情報 (体系) との関係に関するもので、主体-モデル的客体の四類型と名付けたい。さらに、この四類型の基本的特色も、あわせて、この節で論じられる。
    第三節・第四節においては、情報環境が人間に与える影響・作用について論じられる。第三節では、現代の青年層に顕著にみられる特色について考察される。その特色は、 (1) 高度な情報環境に適応的なパーソナリティについて、 (2) 青年層の行動的・価値意識的特色について、それぞれ、 (1) 操作的パーソナリティ、 (2) 指向の四類型、という仮説ないし類型をたてることにより説明される。
    第四節では、青年層だけでなく、他の年齢層も共有する点について論じられる。その内容は、 (1) 情報環境が対人的コミュニケーションに与える影響と、 (2) 情報環境における基本的問題、とについてである。
  • 意味と文化の理論をめざして
    森 万記子
    1983 年 34 巻 3 号 p. 290-308
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    “意味” とは当初、自然との関係行為によって自然から切りとられるものであった。生産活動としてのディスクールはしかし、人間文化の必然の過程としてのコード変換において単なる記号単位と化してしまう。社会文化的コンテクストを形成する重層的諸コードは人が自然に働きかける関係行為を媒介し、そこにおいて意味は自律した意味作用=記号にすぎなくなる。この重層的諸コードはラング=パロルという関係の網の目の上に成立し、これは物象化された<意味>を再生産する一つの装置 (メカニズム) として把握される。もし、新たなる創造的行為としてのパロル的行為を問題とするなら、まずこの社会的コンテクスト、及び物象化された意味再生産装置そのものが対象化された上でなければならない。従来、意味論を欠如してきたとされるソシュール以来の記号学は、ソシュールの認識論的前提を再検討し、さらに、パロル的行為を社会的行為に、コンテクストをイデオロギー、価値、規範等の社会的コンテクストに拡大することによって、この物象化された意味再生産装置の解明に一翼を荷うべきであろう。
  • J・ハーバーマスの人格論によせて
    栗原 孝
    1983 年 34 巻 3 号 p. 309-326
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿は、J・ハーバーマスの主要な理論領域、社会の発展論、社会行為論、人格発達論のうち、これまで論じられることが少なかった人格発達論を、《役割能力》に焦点をあてて検討する。
    役割能力論は、役割論と自我論の接点にあると言える。ハーバーマスは、これらそれぞれに対抗する諸理論をもつ両領域における総合を図りつつ、役割能力を、社会成員の道徳意識と社会の規範構造を媒介するものとして位置づけている。
    その際、ハーバーマスの方針は、役割論については、T・パーソンズの理論を最も体系的なものとして評価しつつ、それが人格の個性や自律性の発達を説き明かすには不十分として、主にシンボリック相互作用論に流れる視点を、その弱点を補いながら積極的に取入れることにある。他方、自我論については、精神分析派、シンボリック相互作用論、J・ピアジェの認知発達論の収斂の可能性を見据え、特にピアジェの構造発達論を基礎にこれを整理することにある。
    これらの所説を通じて、役割能力は、葛藤を意識的に解決し規範を操作する能力であり、この能力が、認識能力、言語能力とともに人格の構造を構成することが示される。また、彼の説くコミュニケーション能力として発達する言語能力を役割能力に対置することにより、葛藤や発達阻害の状況下での理性的人格の発達を捉える枠組が提示される。
  • 水田利用再編政策下における北海道旭川市・「東鷹栖農民組合」員家族の事例
    中江 好男
    1983 年 34 巻 3 号 p. 327-353
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    「高度経済成長」の破綻以後、日本資本主義は周知のように、きわめて深刻な「構造的危機」段階に突入している。それに伴いわが国農業も危機的状況を深化させてきている。そして現下、その基礎にあるのは水田利用再編対策という名の大幅減反政策の強行であろう。その下で、とりわけ「まずくて大量に生産される道産米」の主産地・北海道内陸部稲作農民層の場合は、米価抑制、品質格差制度等との挾撃下、農家生活の再生産すら困難化せしめられてきている。
    しかしその中で、戦後久しく停滞状況にあった、戦前からの地域農民組合運動が、その物質的士台と主体的条件の成熟を基底にし、今日、再び村落社会の中に自らを定着しつつある。本稿では、北海道中核水田地帯・上川の旭川市東鷹栖地区農民組合運動を事例とし、まずかかる点について、農民層個々の生産・労働-生活史・誌分析の視点から具体的に考察した。
    農民層諸個人が自らを組織化してゆく過程での社会的・人間的諸契機を明らかにすると同時に、組織的運動をとおしての、農民層個々の主体形成過程における諸特質、またそのような農民層が自らの村落社会の形成を如何に志向し実践しているかについて、集団・組織論的立場から試論的に実証した。
  • 長谷川 公一
    1983 年 34 巻 3 号 p. 354-373
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    対立や紛争はどのような社会現象か。そこでは、主体はどのような課題に直面するのか。従来の紛争研究は、主体間の目標達成の両立不可能性に焦点をあてる社会関係論の視角からするものと、社会システムの不均衡状態に焦点をあてる全体システムの視角からするものとに大別できる。本稿は前者の系譜をふまえ、ダイアド関係を動態的にモデル構成し、そのうえで、紛争化過程および紛争過程における紛争当事者の課題を論じたものである。まず、ダイアド関係の利害連関は、対立、結合、分離の三状相に分節される。資源動員能力の格差にもとつく優位な主体の側の劣位者側への意思決定の貫徹可能性に注目すると、相互行為のパタンは、紛争、抑圧的支配、互酬的支配、協働、並存の五過程に分節される。ダイアド関係は、これらの問を移行する動態的な過程である。紛争過程への移行に際しては、対立状相の意識化に次いで、紛争行動を選択するか、紛争回避行動を採るかの意思決定が課題となる。選択を規定するのは、劣位な主体では相対的剥奪感であり、一般には報酬・コストのバランスである。両当事者の紛争行動の選択によって、紛争過程は開始される。紛争行動の実施にあたって、当事者は、 (1) 資源の動員可能性、対抗行為の (2) 戦略的有効性および (3) 規範的許容性、これらの検討を課題とする。とくに劣位な主体は、対抗集団の組織化などによる、対抗力の拡大と資源動員能力の格差の克服とを緊要な課題としている。
  • 秋元 律郎
    1983 年 34 巻 3 号 p. 374-377
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 北原 淳
    1983 年 34 巻 3 号 p. 377-380
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 羽生市千代田地区
    山本 幹夫
    1983 年 34 巻 3 号 p. 380-382
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 元島 邦夫
    1983 年 34 巻 3 号 p. 383-385
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 小林 一穂
    1983 年 34 巻 3 号 p. 386-389
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 大本 晋
    1983 年 34 巻 3 号 p. 389-393
    発行日: 1983/12/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
feedback
Top