社会学評論
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51 巻, 2 号
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  • 中村 文哉
    2000 年51 巻2 号 p. 188-203
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿の主題は, A. シュッツの現象学的社会理論におけるレリヴァンス概念の位置づけとその社会学的な展開可能性の考察にある. シュッツはレリヴァンス概念を重視したが, その原理的考察は必要最低限にとどめられた. そのため, 従来のシュッツ研究において, レリヴァンス概念の理論的含意は必ずしも十分に解明されていない. そこで, 本稿はシュッツがこの概念を定式化させた『社会的世界の意味構成』第4章 「社会的世界の構造分析」の行論に立ち入り, この概念が「社会的世界の構造分析」のなかで定式化された理由の一端を明らかにすることで, この概念を導入したシュッツの狙いの一つを考察する. 本稿の考察を通して, レリヴァンス概念は, 社会的行為の意味構成における選択の問題とみることができるが, それは『社会的世界の意味構成』第2章 にみられる現象学的に還元された準位ではなく, 内世界的準位における意味構成の問題として位置づけられること, さらにこの位置づけの理論的含意は, 他者理解や社会関係といった間主観的問題圏に踏み込む点にあることが明らかにされる. これらから, レリヴァンス概念は間主観的問題圏を地平に提唱されている側面が指摘される. この地平は, 後年の『レリヴァンス問題の省察』にもみいだされる. 人間の共同性の根底にある間主観性に深く関わる点で, レリヴァンス概念は社会学の基礎理論としての重要性を持ち合わせている.本稿の狙いは, 以上のことを指摘することにある.
  • グリーフ・サポート・ネットワークにみる技術の関与
    秋吉 美都
    2000 年51 巻2 号 p. 204-218
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿はコンピュータネットワーク上のグリーフ・サポート・ネットにおける感情経験の反省的構成の分析をつうじて, 感情規則概念を再検討する. メディア研究は相互作用におけるコミュニケーション技術の介在が感情経験や感情表現の様態を変化させることに注目してきた. ホクシールドの感情規則研究は, 感情経験が相互作用のセッティングに応じた感情規則によって規制されていることを示しており, 感情経験の構成にかかわるコミュニケーション技術の役割を考えるうえで適切な出発点となる. しかし, 他の感情の社会学の論考と同様, ホクシールドの理論は媒介されたコミュニケーションに注意を払わず, 対面的コミュニケーションを相互作用一般の原形として扱っている.したがって, それはコミュニケーション技術の利用の増加が感情経験の構成にもたらす影響を十分に吟味することができない.本稿はホクシールドの理論を補完する社会的境界概念を導入し, 媒介されたコミュニケーションの組織化における技術の役割を同定する.
  • 学校歴による再生産の計量分析
    佐々木 洋成
    2000 年51 巻2 号 p. 219-234
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿では, 階層再生産論における主要概念である教育的地位達成に焦点をあて, 業績としての教育達成に与える属性要因の影響を動態的に探索することにその目的があり, 従来の研究とは以下の2点で識別される.1. 教育達成尺度として高等教育間格差すなわち学校歴を採用しており, 学歴以上に世代間の関連を精緻に検討できる.2. 父母教育達成の組み合わせを分析に投入し, 子達成に与える親属性の影響を父母各々に分割せず世帯単位で設定して検討している.
    分析では1992年11 月実施の35~49 歳女性を対象とした東京調査データを使用した.P. ブルデューの階層再生産論に基本的に整合する結果であり, 世代間教育達成の強い関連が高等教育レベルの学校歴という形で明確に確認され, 達成地位の世代間継承として位置づけられる.しかし, 親世代の教育達成から子世代への継承形態は単調的なものではなかった.この非単調的な関連は, 親属性の効果を, 子が成長する家族背景として重要である世帯単位で変数設定した場合でも認められるものだった.これらの結果は, われわれがこれまで教育年数を用いて把握し理解してきた教育達成の世代間継承のみならず, それを超えた世代間継承が存在していることを示唆している.
  • 〈交際のネットワーク〉と〈ケアのネットワーク〉の比較から
    大和 礼子
    2000 年51 巻2 号 p. 235-250
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    社会階層と社会的ネットワークとの関係については, 多くの研究が共通して, “階層が高い方がネットワークの構成は多様である” という知見を共通に報告している. 本稿ではまず先行研究の検討によって, この知見は社交・相談・軽い実際的援助などをネットワークとして測定した結果得られたものであることを示し, これを〈交際のネットワーク〉と呼ぶ. 次にこの交際のネットワークと, 自分の身体的ケアについてのネットワーク (〈ケアのネットワーク〉と呼ぶ) の両方を含んだ調査データを分析する. そしてその結果を基に, 交際のネットワークについては先行研究と同様, 男女ともに階層が高い方がその構成は多様であるが, ケアのネットワークについては, 男性と女性では階層の効果が異なることを示す. すなわちケアのネットワークは, 男性では, 階層が高い方が配偶者と子供に限定され多様性に乏しいが, 逆に女性では, 階層の高い方が家族に加えて専門機関を含める人が多く多様である.最後にこの結果に基づき, 社会的ネットワークは, 〈交際〉と〈ケア〉の両面からとらえられなければならないこと, そして〈公共領域と家内領域の分離〉という近代の支配的イデオロギーに適合するような形でネットワークを編成している人は, 階層の高い男性に最も多いことを論じる.
  • 郊外化の進展とメルボルンの居住動向の事例
    水上 徹男
    2000 年51 巻2 号 p. 251-263
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    「郊外」は, 多くの先進工業国において第二次大戦後に著しく発展して, 理想化された生活世界のイメージのもとに, 戦後の神話的世界を形成した. また, アメリカ合衆国やオーストラリアでは現代の生活様式の典型としても認識されるに至った. 本稿では, 戦後の郊外化の進展およびポスト・サバーブ論に関して考察する. 急速な郊外化の背景には, 都市政策として組織的に住宅開発が進められたこと, 中間層として郊外居住が可能である人々が急増したこと, 理想的な郊外生活のイメージが浸透したことなどがあり, 物質的な環境と価値基準としての郊外志向が相俟っていた.
    継続的に進展する郊外化は, 一部の大都市において大都市構造が変化するほど都市周縁部へのスプロール化をみている. このような状況がポスト・サバーブ論の課題となり, 「郊外」の終焉による新都市形成という論議が登場した. 他方では, 大都市周縁人口を郊外生活者に含めた郊外延長論に基づき, 21世紀は郊外の時代となるという観点もある. 中心街を取り巻く従来の郊外地域をさらに離れた都市周縁の生活者が増加して, それに伴うサブ・センターの発達が顕著であるメルボルンでは, 1990年代になって公共支出削減のために「コンパクト・シティ」構築が都市政策の主要課題となった. 本稿では, オーストラリアの大都市の中でも都市周縁人口の増加に注目されるメルボルンの居住動向を参照に, 戦後の郊外化の進展とポスト・サバーブの実情について考察する.
  • 川合 隆男
    2000 年51 巻2 号 p. 264-265
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 樫村 愛子
    2000 年51 巻2 号 p. 266-267
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 上林 千恵子
    2000 年51 巻2 号 p. 268-269
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 竹ノ下 弘久
    2000 年51 巻2 号 p. 270-271
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 恒吉 僚子
    2000 年51 巻2 号 p. 272-273
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 田巻 松雄
    2000 年51 巻2 号 p. 273-275
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 石田 佐恵子
    2000 年51 巻2 号 p. 275-277
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
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