社会学評論
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70 巻, 1 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
公募特集「社会階層・不平等と家族」
  • 吉田 崇, 渡辺 秀樹
    2019 年 70 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー
  • ――NFRJ-S01・SSM2015 を用いたイベントヒストリー分析――
    打越 文弥
    2019 年 70 巻 1 号 p. 10-26
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー
    本稿では女性の学歴別にみた離婚行動の違いとそのコーホート間の変化を,配偶者との学歴にもとづく階層結合(学歴結合),とくに女性の高学歴化により増加した妻下降婚と高学歴同類婚の2 つに着目して検討する.既存研究では,その非典型性から妻下降婚カップルは離婚しやすいとされる.しかし,妻下降婚が増加するのと並行してジェンダー平等化が進んだアメリカでは,近年の結婚コーホートで妻下降婚と離婚の関連が弱まっている.このように学歴結合パターンと離婚の関係を検討することを通じて,ジェンダーの非対称性を内包した典型性・非典型性が変化しているかを明らかにできる.また,第二次人口転換論をはじめ,離婚率の上昇により離婚に対する社会の寛容性が増すために,離婚の階層差は縮小すると考えられてきた.しかし近年になり,高階層のカップルでは夫婦が安定的なライフコースを歩む一方で,低階層カップルでは離婚を経験しやすいという主張が登場する.本稿ではこうした先行研究の流れを踏まえ「戦後日本の家族の歩み」と「2015 年社会階層と社会移動調査」の2 つを用いたイベントヒストリー分析を行った.分析の結果,1980 年以前の結婚コーホートでは妻の学歴が夫よりも高い妻下降婚カップルの場合に離婚を経験しやすい傾向にあるが,近年のコーホートではそのリスクが低減していることがわかった.一方,同類婚内部の格差については明確な変化がみられなかった.
  • ――格差の再生産の視点から――
    吉武 理大
    2019 年 70 巻 1 号 p. 27-42
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/07/31
    ジャーナル フリー
    米国の家族研究では,親の離婚経験が,子どもの教育達成や社会経済的地位達成の不利,成人期の貧困や格差の再生産につながりうること,子ども自身の離婚という形で離婚の世代間連鎖が生じていることが明らかになっている.日本でも近年離婚を経験する者が増加しているが,特に離別母子世帯では,社会保障制度が十分な効果を有さず,貧困が解消されにくい状況にある.日本でも離婚の世代間連鎖が顕著ならば,子どもがいる世帯では母子世帯が世代的に再生産されやすく,貧困の世代的な再生産とも関連しうる.
    日本では離婚の世代間連鎖を検証した研究はきわめて少なく,そのメカニズムについてはほとんど明らかになっていない.本稿では,米国の研究を参考に,離婚の世代間連鎖の実態と,それを媒介するメカニズムとして子の教育達成と早婚の効果を検討した.
    「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査(JLPS)」の若年・壮年データを用いた分析の結果,親の離婚経験は自身が離婚を経験する確率を高める効果があり,日本においても男女ともに離婚の世代間連鎖が存在することが示された.また,親の離婚経験の効果の一部は低い教育達成と早婚を媒介していることが示唆された.離婚の世代間連鎖は,部分的ではあるが,教育達成における不利,早婚,自身の離婚を経由し,子どもがいる場合に母子世帯,そして貧困の世代的な再生産が生じている可能性がある.
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