社会学評論
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62 巻 , 3 号
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特集・複合社会調査データ分析の新展開
  • 吉川 徹, 木村 好美
    2011 年 62 巻 3 号 p. 260-265
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
  • 対数乗法連関モデルによる2005SSM調査データの分析
    三輪 哲
    2011 年 62 巻 3 号 p. 266-283
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    父職のみで出身階層を測る「伝統的アプローチ」に基づいて, これまで世代間移動研究では, 相対移動パターンの国際的共通性という知見が蓄積されてきた. しかし近年になって, 世代間移動における母職の役割が見直され, それを含めた分析では実質的な結論が変わりうることが報告された. それを受けて, 本稿では, 日本, 韓国, 台湾の大規模調査データを用いて, 出身階層の測定において母職を含めた移動表分析をおこない, 従来どおりの知見が得られるかどうか追試をおこなった. その結果として, (1) 日本の, 特に男性では, 「伝統的アプローチ」によっても, 世代間の相対移動はまずまず説明できる, (2) 日本でも, 父階層に加えて母階層の情報をも用いて出身階層を測定したほうが, より世代間移動を適切にとらえられる, (3) 女性に関してのみ, 父母双方の階層を用いた場合において相対移動パターンに国・地域間の違いがみられ, その知見は出身階層として父階層のみを用いたときの結果とは異なる, という諸点が明らかになった. 男性における相対移動の構造的安定性が再確認された一方で, 女性においては母職を考慮することで移動の構造に異質性が見出される可能性があることがわかった.
  • ISSP2003データを用いた多母集団共分散構造分析
    田辺 俊介
    2011 年 62 巻 3 号 p. 284-300
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    本稿は, 日本と韓国のナショナル・アイデンティティの概念構造について, 共分散構造分析の内の多母集団同時分析を用いることで, その共通点と相違点を実証的に検討するものである. 先行研究を参考に, ナショナル・アイデンティティを構成する概念の中から, (1) ネーションの成員条件, (2) ナショナル・プライド, (3) 排外性の3概念を取り上げ, その概念を構成する要素の異同について, ISSP2003の“National Identity”調査の日本・韓国データを用いて分析した. 分析の結果, まず日本と韓国のネーションの成員条件が1次元であることが示された. この点は, 日本と韓国でともに「単一民族国家」の神話が普及していることの影響と考えられる. また政治的ナショナル・プライドと排外性のあいだの関連は, ほとんどの西欧諸国では「負の関連」であるのに対し, 日本と韓国では「正の関連」であった. この点は両国に共通する権威主義体制の経験から, 国の政治的な側面へのプライドが権威主義体制への支持を連想させ, 異質な他者である外国人の排除に結びつきやすいことを示す結果と解釈できよう. さらに軍事力や歴史に対するプライドの位置づけが日本と韓国で異なることが示され, その点から日韓の歴史的経験の差異が現在の人々の国に対する意識にも大きく影響することが明らかになった.
  • NFRJ個票データへのマルチレベル分析の適用
    筒井 淳也
    2011 年 62 巻 3 号 p. 301-318
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    計量社会学でも用いられることが多くなっているマルチレベル分析には, 何らかのデータのまとまり (同一個人に属する複数のデータ, 同一の国に属する複数の個人など) の情報を利用して, 通常の回帰モデルに比べてバイアスの小さい点推定を可能にし, また文脈効果の推定において適切な区間推定を可能にするというメリットがある. この特性を活かすには, 典型的には階層化されたデータ (パネルデータや国際比較可能なクロスセクション・データ) を用いるのが一般的であるが, 本稿では通常のクロスセクション・データにもマルチレベル分析が柔軟に適用可能であることを示すために, 家族関係についての豊富なデータをもつNFRJ (全国家族調査) を使った分析例を示す. 具体的には親との関係良好度の分析を行うが, (最大) 4人の親との関係良好度のデータは個人ごとのまとまりをもっている可能性があり, マルチレベル分析に適している. 分析の結果, 親との居住距離については同居・遠居よりも近居で, 金銭的援助関係については「中庸」である場合に関係良好度が高いということがわかった. これにより, 家族依存の福祉体制であるとされる日本で, 過度の援助関係が感情的なコンフリクトを高めていることが示唆される. 手法の面では, 入手が容易であるクロスセクション・データにもマルチレベル分析が適用可能であることを示すことで, データのより有効な活用を促すことができると思われる.
  • 「消費生活に関するパネル調査」への固定効果モデル・変量効果モデルの適用
    村上 あかね
    2011 年 62 巻 3 号 p. 319-335
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は, 離婚による女性の生活の変化を, 縦断的データを用いて明らかにすることにある. 家族と格差の問題を考えるうえで離婚は重要なライフイベントである. しかしながら, 日本では離婚の発生自体があまり多くはなかったこと, ライフコース研究に適した縦断的データの蓄積が少なかったことなどの理由から, 離婚に関する研究は決して多くはなかった. しかし, 今後, 経済の低迷や価値観の変化に伴って, 離婚が増えることが予想される. 子どもが貧困状態に陥る大きな要因の1つは親の離婚であり, 貧困が子どもの発達, 教育達成・職業的達成などその後のライフチャンスに及ぼす影響は社会的にも大きな関心を集めている. 離婚と社会経済的格差について検討することは, 今後重要性を増すといえよう.
    1993年から実施されている全国規模のパネル調査データに対して, 固定効果モデル・変量効果モデルを用いて分析した結果, 離婚によって等価世帯収入が大きく減少することが明らかになった. 夫からの養育費や児童扶養手当などの社会保障給付も決して多くはなく, 離別女性は経済的自立を迫られているが容易ではない. 母親が就労していても母子家庭の経済状況は苦しく, 離婚後の生活を支える仕組みをどのように構築するか検討が求められる.
  • 階層的APC AnalysisによるJGSS累積データ2000-2010の分析
    宍戸 邦章, 佐々木 尚之
    2011 年 62 巻 3 号 p. 336-355
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は, 2000年から2010年の期間に8回実施されたJapanese General Social Surveys (JGSS) の累積データに基づいて, 時代や世代の効果を考慮しながら, 日本人の幸福感の規定構造を検討することである. JGSSは, 各年または2年に1回実施されている反復横断調査であり, このデータをプールすることで, 単年度の調査では明らかにできない時代や世代の効果を検討することができる. また, 時代や世代の効果を統制しながら, 個人レベルの変数の効果を検討することで, 特定の調査時点だけで成り立つ知見ではなく, より一般化可能な知見を得ることができる. 分析手法は, 階層的Age-Period-Cohort Analysisである. 個人は時代と世代の2つの社会的コンテクストに同時にネストされていると考え, 時代と世代を集団レベル, 年齢および幸福感を規定する他の独立変数を個人レベルに設定して分析を行う.
    分析の結果, 次のことが明らかになった. (1) 年齢の効果はU字曲線を描く, (2) 2003年に幸福感が低下した, (3) 1935年出生コーホートや80年以降コーホートで幸福感が低い, (4) 出身階層や人生初期の社会的機会が幸福感の加齢に伴う推移パターンに影響を与えている, (5) 絶対世帯所得よりも相対世帯所得のほうが幸福感との関連が強い, (6) 就労状態や婚姻状態が幸福感に与える効果は男女によって異なる.
  • 全国高齢者縦断調査データのマルチレベル分析
    小林 江里香, Jersey LIANG
    2011 年 62 巻 3 号 p. 356-374
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    異なるライフステージで高度経済成長期を経験した3つの出生コホート (C1: -1915年, C2: 1916-25年, C3: 1926-36年) を対象に, (1) 高齢期の社会的ネットワークやその加齢変化におけるコホート差と, (2) コホート効果の媒介要因を検討した. ネットワークは, 親友数, 親しい近隣数, 友人等との対面接触頻度, 所属グループ数, グループ参加頻度で測定した. 全国の60歳以上を対象とした7回の縦断調査から4,999人, 1万6955件のデータを用いてHierarchical Linear Modelによるマルチレベル分析を行った結果, どのネットワークも加齢に伴い曲線的に減少していたが, グループ参加の変化の仕方はコホートにより異なっていた. また, 男性では最近の2コホート (C2, C3) はC1に比べて近隣数や対面接触頻度が低いのに対し, 女性では近隣数のコホート差は男性より小さく, 親友数や接触頻度は最近のコホートのほうが高い傾向があり, 男女差 (女性>男性) が拡大していた. グループ数・参加頻度は, C1では男性のほうが女性より高かったが, 参加頻度についてはC3で男女差が逆転していた. コホート効果の一部は社会経済的要因により説明できたが, 健康・社会経済的・家族要因投入後もコホート差は残った. 本結果は, 社会的ネットワークの男女差は普遍的ではなく, コホートが経験したライフコースにより変わりうることを示している.
投稿論文
  • 宮本 直美
    2011 年 62 巻 3 号 p. 375-391
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    オーセンティシティ概念がツーリズム研究の中で中心的な議論を形成して久しいが, 本稿は, クラシックの音楽祭の分析を通して, この概念をめぐる議論に新たな局面を拓こうとするものである. そもそも, この概念は, 西洋化, 近代化, 商業主義化にさらされる非西洋地域の文化について, つまりエスニック・ツーリズムの文脈で議論されてきたのだが, この概念がさまざまな検討を経てより複雑で新しい意味を獲得した現在, 西洋側の文化であるクラシックの音楽祭を分析することが可能であり, それによって新たな意味を加えることができる. 半世紀にわたる日本の音楽祭の傾向からは, 西洋音楽に無縁な日本の土地が場所としてのオーセンティシティを獲得しようとする努力が見出される一方で, そこでは一貫して「一流の演奏家」といった宣伝文句が見られるように, 高い演奏水準がアピールし続けてきた. この普遍的な質への要求に見えるものが, じつは西洋の伝統的な演奏スタイルの継承によって保証されていることを考察するとき, 質の高さもまた, オーセンティシティへの要求であることがわかるのである.
  • 年齢階梯制社会からみた「鞆港保存問題」の試論的考察
    森久 聡
    2011 年 62 巻 3 号 p. 392-410
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2013/11/22
    ジャーナル フリー
    伝統的な地域社会において, 地域社会の基層はそこで生じた地域問題の様相をどう規定するのだろうか. 福山市鞆の浦では, 鞆港の埋め立て架橋・道路建設計画をめぐる地域論争が続いている. そこで本稿ではこの地域論争を手がかりに鞆の浦の社会結合の編成原理を解明するために, 村落構造分析の年齢階梯制の視点を導入し, 鞆の浦の地域社会構造と鞆港保存問題の特徴である合意形成の長期化と世代別の意見形成の要因を分析した. まず鞆の浦における若者組等の存在を史料的に確認し, 口述記録では祭礼行事の役割分担や若衆宿のような習慣など, 年齢階梯制の名残りと思われる観察データを検討した. その結果, 厳密に論証することは難しいが, 鞆の浦に年齢階梯制が存在した可能性は高いと思われる. さらに年齢階梯制の知見を補助線に引くことで, 世代によって計画への賛否が異なること, 年長者に対する尊重の意識, 「生徒会長」「PTA会長」の役職が世代別の指導者層のステータス・シンボルであること, 話し合いを重視する住民意識などの観察データは, 年齢階梯制の社会意識の断片として解釈できる. 現代の日本では, 年齢階梯制社会とすでに認められた地域以外で年齢階梯制を論証できる分厚いデータを入手することは難しいが, 地域問題の分析で年齢階梯制の視点を用いることは, この制約を乗り越え, 年齢階梯制研究の蓄積を現代に活かすという意味で, 一定の現代的意義があると思われる.
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