社会学評論
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32 巻, 4 号
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  • 内田 隆三
    1982 年 32 巻 4 号 p. 2-19
    発行日: 1982/03/31
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    D・ベル、A・トゥレーヌ、J・ハバーマスらの世代は、テクノロジズムとの相関における社会統合の危機や疎外、コンフリクトの視角から「産業化」の問題を論じた。人間の主体性やシステムの合理性という基準からテクノロジーの発展が批判的に評価されたのである。だが、産業発展が帰結する高度大衆消費社会は、脱工業化社会論や正統化の危機論が依拠する基準や言説の場そのものを変容させつつある。W・W・ロストウは、産業の高度化が一層前進し、実質所得自体の相対的限界効用の逓減が大衆的基盤で起こりはじめたらどうなるのであろうか、と語っていた。「産業化」が提起する逆説的で本質的な問題は、「産業化」がそれ自身同一的な実体ではなくて、それを押し進めた生産=効用の論理やそれに連接した諸エートスとは、異質の論理に陥入していくトポロジカルな変容にある。相対的に溶解していく効用の空間とは異質のトポロジーを「産業化」が分節するのだとすれば、効用という曖昧な概念を軸にした「産業化」の理解や批判はもはや妥当的ではない。既に、J・ボードリヤールは効用の論理の外部に、「産業化」の帰結としての高度大衆消費社会の記号論的解読を試みている。本稿は、ボードリヤールの分析を踏まえつつ、その限界を超えるべく、高度大衆消費社会の経験と産業システムの新たな相関項(レファレント) (ホモ・コンスマンス) の再発見を行ない、「産業化」の現在を消費的世界において検討するものである。
  • 方法論的分析
    大内 田鶴子
    1982 年 32 巻 4 号 p. 20-34
    発行日: 1982/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    今日まで「都市の類型学」をM・ウェーバーの科学方法論と結びつけて解釈する試みは殆んどなされていない。しかし、ウェーバーがG.フオン・ベローに宛てた手紙と、「古代農業事情」の末尾に付けられた注の内容とに注意してみると、「都市の類型学」は因果帰属の問題と関連をもつように思われる。特に後者は都市比較論についての覚書であり、その方法的手続は論文「文化科学の論理の領域における批判的研究」で展開されている客観的可能性判断と適合的因果帰属の思考図式に対応している。このためウェーバーが都市の歴史的具体的研究を行いながら並行して、客観的可能性判断と適合的因果帰属の方法論的実験と試行錯誤を繰り広げていたことが考えられる。「都市の類型学」の錯綜した構成はその結果であろう。このような観点から「都市の類型学」を方法論的に精査し合せてウェーバーの論理学的な主張を再検討すると次のような諸問題が明らかになる。第一に、「都市の類型学」はウェーバーの歴史学的接近法から独自の社会学的接近法への方法論的転換期に位置づけられる。第二に、右の位置づけの論理的基礎づけをそれが与えるのであるが、客観的可能性判断と適合的因果帰属の思考図式は、「理論」と「歴史」との関係を明らかにし、社会学の理論の性格を理解する上での示唆を与えている。
  • 新しい理論の構築へ向けて
    野辺 政雄
    1982 年 32 巻 4 号 p. 35-52
    発行日: 1982/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    イノベーションの普及理論は、ロジヤースのDiffusion of Innovations (一九六二年) によって一応の定式化をみた。そして、それは発展途上国の開発に適用されたけれども、当初の予想ほど目標を達成できていない。そこで、この理論の有効性に対する疑義が生じるとともに、その視野の限界が明確になった。本稿の目的は、これまでに提起された仮説を吟味し、代替すべき理論を構築する方向を探索することである。本稿における、理論と事例の検討によって、次の諸点が判明した。第一に、社会体系の個々の成員が所有する社会的資源の絶対量だけでなく、社会的資源が社会体系内でどのように分布しているかも、イノベーションの普及効果を規定する。第二に、普及効率と普及効果の平等な分配とはトレード・オフの連関にあるが、ロジャースの理論は前者の視座から構成されている。第三に、社会心理学的要因を重視するロジャースの理論は、イノベーション採用のために充分な社会的資源が全成員によってほぼ均等に所有されている社会体系で成立するという意味で、妥当範囲が限定されている。第四に、社会的資源の分布が不平等な社会体系において、政策者が開発のためにロジャースの理論を軽率に適用すると、普及効果の不平等な分配といった、望ましくない、予期されぬ普及効果が発生する。そこで、社会心理学的要因だけでなく、社会学的要因をも考慮に入れた理論に基づき、イノベーションを普及することが要請される。
  • 有賀・喜多野論争の再把握
    武笠 俊一
    1982 年 32 巻 4 号 p. 53-67
    発行日: 1982/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    目本農村の村落構造をさぐる場合、「同族団」と「親方子方関係」は、いまなお軽視できない基本的な概念であろう。それは、ふるい形態がそのまま残っているわけではないにしても、依然村落生活に強い規定力をもっているからである。本稿では、いわゆる「有賀・喜多野論争」をとりあげて、「系譜関係」概念の理論的再検討を行い、あわせて同族団と親方子方関係の異同.重複の問題を再考したい。
  • 宮崎の社会学的プロフィール
    山岸 健
    1982 年 32 巻 4 号 p. 68-72
    発行日: 1982/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 或る女の愛と呪いの日本近代
    鶴見 和子
    1982 年 32 巻 4 号 p. 73-75
    発行日: 1982/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 益田 庄三
    1982 年 32 巻 4 号 p. 76-78
    発行日: 1982/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 磯村 英一
    1982 年 32 巻 4 号 p. 79-82
    発行日: 1982/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 犬塚 先
    1982 年 32 巻 4 号 p. 82-85
    発行日: 1982/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 日本的経営の革新
    萬成 博
    1982 年 32 巻 4 号 p. 86-89
    発行日: 1982/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 32 巻 4 号 p. 107
    発行日: 1982年
    公開日: 2009/10/19
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