社会学評論
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54 巻, 4 号
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  • 梶田 孝道, 野口 裕二
    2004 年 54 巻 4 号 p. 318-321
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
  • 武川 正吾
    2004 年 54 巻 4 号 p. 322-340
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿では20世紀の第4四半期に顕著となった個人化の現象を福祉国家との関連で観察し, これが福祉国家に対してどのような問題を突きつけているか, 福祉国家はどのような対応をしなければならないかについて考察する.
    個人化は家族, 職域, 地域において観察することができる.そこでは従来の最小単位が分割され, 個人はそれまで所属していた集団から離脱していく.その結果, 個人は集団からの自立を獲得するが, 他方で集団による保護を失い, 社会的に排除される可能性もある.個人化によって新しく生まれた個人は個人主義的な消費スタイルを身につけている.
    個人化は既存の福祉国家に対して新しい問題を突きつける.家族の個人化は社会政策の脱ジェンダー化を, 職域の個人化は労働の柔軟化を, 地域の個人化は市民社会化を, 生活スタイルの個人化は消費の柔軟化を要求する.21世紀型の福祉国家が生き延びるためには, これらの新たな課題に応えていかなければならない.
  • 山田 昌弘
    2004 年 54 巻 4 号 p. 341-354
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    近代社会においては, 家族は国家と並んでその関係が選択不可能, 解消困難という意味で, 個人化されざる領域と考えられてきた.この2つの領域に, 選択可能性の拡大という意味で個人化が浸透していることが, 現代社会の特徴である.
    家族の個人化が日本の家族社会学者の間で考察され始めるのは, 1980年代である.それは, 家族の多様化という形で, 家族規範の弱体化が進んだことの反映である.
    考察に当たって, 2つの質的に異なった家族の個人化を区別することが重要である.1つは, 家族の枠内での個人化であり, 家族の選択不可能, 解消困難性を保持したまま, 家族形態や家族行動の選択肢の可能性が高まるプロセスである.
    それに対して, ベックやバウマンが近年強調しているのは, 家族関係自体を選択したり, 解消したりする自由が拡大するプロセスであり, これを家族の本質的個人化と呼びたい.個人の側から見れば, 家族の範囲を決定する自由の拡大となる.
    家族の枠内での個人化は, 家族成員間の利害の対立が不可避的に生じさせる.その結果, 家族内部での勢力の強い成員の決定が優先される傾向が強まる.家族の本質的個人化が進行すれば, 次の帰結が導かれる. (1) 家族が不安定化し, リスクを伴ったものとなる. (2) 階層化が進展し, 社会の中で魅力や経済力によって選択の実現率に差が出る. (3) ナルシシズムが広がり, 家族が道具化する. (4) 幻想の中に家族が追いやられる.
  • 若者の非典型雇用と個人主義
    小杉 礼子
    2004 年 54 巻 4 号 p. 355-369
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿では, まず, オランダの研究者が設定した集団主義-個人主義の尺度を用いて, 日本の若年大卒者が雇用形態によって職場で求められる個人主義的働き方の程度に違いがあるか否かについて, 大量質問紙調査結果から検討した.ついで, 非典型雇用においては, 一定の職業能力獲得・発揮が見込まれる職務であるか否かが, 個人主義的働き方の実現を左右するという見方から, 非典型雇用での職業能力の獲得・発揮状況を, 別の実態調査から雇用形態別に検討した.
    非典型雇用に流入する若年者には個人主義的志向が強いことは指摘されているところであるが, ここでの分析では, 個人主義的働き方を要請する非典型雇用の職場・職務は, 大卒の比較的年長の (経験年数が長い) 男性の職場や派遣社員の場合など, 特定の部分に限定的に存在する可能性が高いことが明らかになった.むしろ多くの若年アルバイトやパートタイマーの職場・職務は, 職業能力の獲得・発揮の機会が限られたものであり, 仕事の自立性や個人の意見の反映などの個人主義的な組織文化が支配する職場とはいえない.
    さらに, 非典型雇用での職業能力の獲得・発揮に重要だったのは, 学校教育などの企業外の機関でも幅広い多様な業務の経験でもなく, 就業先企業への長期勤続や企業からの支援を受けることであった.若者が非典型雇用を選択する背景には個人主義的志向があるが, 企業依存性を強めなければ, 職業能力の獲得は進まず, ひいては自立的な働き方も実現できない.この矛盾の克服には職業能力形成のための基盤を社会的に整備していかなければならない.
  • 「個人化」論の検証
    白波瀬 佐和子
    2004 年 54 巻 4 号 p. 370-385
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿では, (1) 既婚女性の就業参加の増加, (2) 少子化との関連から親元に留まる成人未婚子の増加, (3) 高齢化との関連から高齢単身世帯の増加, の3つの社会変化に注目する.これら3つの社会変化を「個人化」論と絡ませて階層論の観点から検証し, 世帯と個人との関係が弱体化したかについて検討することを主たる目的とする.
    女性 (妻) は男性 (夫) に比べて, 他の世帯員 (夫) との関係をより考慮して階層帰属意識を決定していた.事実, 既婚女性の就労は夫の社会経済的地位 (特に夫収入) との関連で実現されており, それは既婚女性の地位が世帯から独立して「個人化」に向かっているとはいえない.既婚女性の家庭外就労の増加は, 女性の世帯からの独立を促したというよりも, 世帯内における不均衡なジェンダー間の勢力関係を維持しつつ実現されていた.
    個人は世帯と独立して存在するわけではない.それは成人しても親元に留まる未婚子や, 子世代と同居する高齢者にも認められた.個人と世帯との関係は世帯の経済的地位によって異なっており, 両者は独立していなかった.世帯と個人は, 少子高齢化という人口構造の変化の中で互いの関係を保持していた.女性の生き方の変化や少子高齢化は, 個人が所属する世帯との関係の中で実現されていったといえる.
  • 稲垣 恭子
    2004 年 54 巻 4 号 p. 386-400
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿は, 個人化の進行のなかで学校の意味がどのように変化してきたのかを, 学校の「現実」を意味づける枠組みの変化と重ね合わせながらたどりなおし, 現在の学校を特徴づける個人化の進行の意味を再考しようとする試みである.
    1970年代後半以降は, 学校がその存立を根拠づける意味の基盤を喪失して, 虚構性があらわになっていく過程であったが, それは教育における個人化が内包する矛盾が顕在化する過程でもあった.学校と教育の正当性への懐疑とそれにともなう学校/教育批判は, 社会化装置としての学校とそれを支えてきた共通の意味の基盤としての学校の弱体化を促進したが, それと同時に顕著になった個人の虚構化は, 「個性化」と「多様化」を軸とする一連の教育改革のなかで, 学校と個人の市場化へと展開している.そこでは, 学校は共通の社会化の場としての共有された意味空間から, 用意された選択肢のなかから手軽な選択を繰り返すひとつの場として, 市場化のなかに包摂されていく.
    学校の存立を支えてきた基盤がさまざまなレベルで変容し, 学校が共通の意味を提供しうる場としての位置を喪失しつつあるなかで, このような市場化への包摂に柔軟に対応しうる自己社会化の場としての教育空間の創出の可能性を探ることが重要な課題になっている.
  • 進藤 雄三
    2004 年 54 巻 4 号 p. 401-412
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿の課題は, 現代社会における「個人化」現象が「医療」領域においてどのように顕現しているのか, そしてそれがいかなる社会学的含意を持っているのかを暫定的に素描するところにある.
    この目的にそって, (1) まず「個人化」概念の意味を確認し, (2) 次に「医療」領域においてそれが具体的にどのように現れてきているのかを, インフォームド・コンセントと自己決定医療, 遺伝学のインパクトという2つのトピックを素材に例証した上で, (3) それを「個人化」の2つの側面-選択と強制-と関連づけて整理し, (4) 最後に医療における「個人化」がいかなる社会学的含意を持つのかを検討する.
    「個人化」概念は「近代化」概念と切り離しがたく結びついて理解されてきた.現代において再度「個人化」が「問題」としてクローズァップされてきた背景はどこにあり, 古典的近代と現代における「個人化」はいかなる意味において質的に異なるといいうるのか, その問いに対する回答の一端を現代の「医療」状況において浮き彫りにすること, それが本稿のねらいである.
  • 和田 仁孝
    2004 年 54 巻 4 号 p. 413-430
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    法は, そもそも「自律的主体」概念を要とする近代の秩序編制装置として「法主体化のプロジェクト」を推進してきた.しかし, 皮肉にもそれが可能であったのは, 法と対峙した共同的社会組織が, 法の偏頗性に起因する機能不備を補完していたからにほかならなかった.しかし, 現在, 共同的社会組織の融解にともなって, 人々の法制度への要求は過剰化し, そのことで法の機能不全も露呈してきている.法はそれが本来想定した「法主体」とは異なる, 流動的で多元的な「個人化」の波に直面せざるを得なくなっているのである.「公」「私」の境界の崩壊によって流出した「感情」や「日常的正義感覚」が, 法の個々人による「自前の解釈」への応答を要求し, もはや法は, 普遍的に妥当する実体的規範を説得的に人々の前に提示できなくなってきている.近代の「普遍的正義」という正当化原理が, 「個人化」の動きの中で, もはや有効に作動しなくなっているのである.法という, 「個人」を超越する普遍性に根拠を置く制度, 「個人化」とは対極にあるはずの制度が, 現在の, この「個人化」の流れに直面したとき, そこでは何が生じているのだろうか.ある医療事故訴訟過程の中に見られる「個人化」への対応, 司法の周縁を調整的に拡張するADRの試みなどを, ここでは検討していくことにしたい.
  • ポストモダン (第2の近代) における再聖化
    島薗 進
    2004 年 54 巻 4 号 p. 431-448
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    バウマンやベックのように, 「ポストモダン」や「第2の近代」の特徴を「個人化」という概念を手がかりとして捉えようとする戦略は有効であるが, その場合, 新たな宗教性が活性化したり, 宗教が新たに公共領域への関与を強めるといった現象をどのように理解するかという課題が生じる.先進国におけるスピリチュアリティの興隆の現象を, (1) 死生のケアに関わるスピリチュアリティの興隆と, (2) セルフヘルプ的なネットワークの拡充から考察する.1980年代以降の日本では, 死生の危機に直面する人々の精神的支え合いのネットワークや, 嗜癖者や障害者同士が相互扶助的なネットワークを通してスピリチュアルな体験を得て元気づけられていくセルフヘルプ運動が目立った.これらは個人化した社会に住む「個人の宗教化」の傾向を示すものだが, 他方, 視野を世界に広げると, 普遍的な連帯の構築をよびかける救済宗教も「原理主義」や「カルト」などの形をとって発展してきている.社会の個人化に対して, 宗教的共同性を正面から掲げて, 公共空間に声をあげていこうとするものである.だが, これほど鮮明ではないとしても, 個人的なスピリチュアリティを掲げる勢力も, 環境問題, 生命倫理問題など公共的な論題に声をあげようとしている.社会の個人化は個人の宗教化を生み, 公共空間への新たな宗教性の参与をも招いている.
  • 森 真一
    2004 年 54 巻 4 号 p. 449-450
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 数土 直紀
    2004 年 54 巻 4 号 p. 450-452
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 関根 政美
    2004 年 54 巻 4 号 p. 452-454
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 今 防人
    2004 年 54 巻 4 号 p. 454-456
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 千石 好郎
    2004 年 54 巻 4 号 p. 456-458
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 平田 周一
    2004 年 54 巻 4 号 p. 458-460
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 京谷 栄二
    2004 年 54 巻 4 号 p. 460-462
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 間々田 孝夫
    2004 年 54 巻 4 号 p. 462-463
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 原田 隆司
    2004 年 54 巻 4 号 p. 464-465
    発行日: 2004/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
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