社会学評論
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47 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • ブール代数分析による思考実験
    鹿又 伸夫
    1996 年 47 巻 2 号 p. 156-170
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    予言の自己成就は, 行為者の誤った状況規定がもたらす現象と考えられてきた。しかし, 弱い合理性 (主観的合理性) によって説明可能だとする指摘もある。そこで, 弱い合理性を含む4変数をもちいてブール代数分析による思考実験をおこない, 行為レベルにおける因果メカニズムを演繹的に検討した。その結果, 予言の自己成就現象は, 誤った状況規定をもちいずに, 弱い合理性と情報の受容によって説明可能であった。またマートンの説明を修正することで予言の自己成就を, 行為者の利害を脅かす内容の予測情報に接触するという特定条件下での社会的ジレンマとして一貫して描けた。
  • P.ブルデューにおける「文化的生産の場」の理論をめぐって
    鈴木 智之
    1996 年 47 巻 2 号 p. 171-185
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    「文化的生産の場」の概念を中心にP.ブルデューによって構築されてきた「作品の科学」は, 文学・芸術の社会学に対して, 反映理論にかわる新たな視角を開きつつある。文化的生産をとりまく社会空間が固有の規則と独自の論理を備えた自律的場として組織化されていることに着目して, ブルデューは, 文化的作品の構成過程を, その場の中での正統性の承認をかけた闘争の帰結としてとらえていく。それは, 文化領域におけるモデルニテをそれ自体において相対化しようとする試みであり, ルカーチやゴールドマンのアプローチによっては乗り越えることのできなかった限界を克服する上で不可欠の視点を提示している。しかし, ブルデューの方法論の中には, なおいくつかの問題点や不備を指摘することができる。私たちの課題は, それらについて批判的な検討を加えながら, 彼の提示した方法論をより総合的な枠組みの中に組み入れていくことにあろう。
  • 1970 年代英国におけるエスニック階層変動
    樽本 英樹
    1996 年 47 巻 2 号 p. 186-199
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    近代化に伴う「収斂的発展」のシナリオが否定された先進国において, ネオ・リベラリズムに基づいた経済的なデュアリズムは定着したのであろうか。本稿では, 英国のエスニック・マイノリティに関わるデュアリズムを, 戦後の産業構造が転換した1970年代に注目して検証する。戦後英国への主要な移民は西インド系とアジア系である。英国国内の経済状態と移民流入数との関係, およびエスニック階層移動を見ると, どちらのマイノリティも厳密な意味ではエスニック・デュアリズム仮説を肯定しない。しかし, 西インド系はマジョリティである白人系の「代替的労働力」となるような社会移動の様相を示し, 一方でアジア系は独自の様式の社会移動を行った。この理由は, 移民前の出身階層や移民後のエスニック・ネットワークを経由して, 能力・動機・資源の面で両マイノリティ間に差異が形成されたことによる。その結果, 西インド系が労働市場全体の変動に沿って移動したのに対して, アジア系男性の多くは「建設・流通・交通」セクターの自営業を選択し, アジア系女性は同じ出自の「エスニック企業」に従事したのである。今後の課題として, 1980, 90年代のデュアリズムとエスニック階層との関係を分析する必要がある。
  • 近代日本語圏における漢字の潜在的諸機能
    ましこ ひでのり
    1996 年 47 巻 2 号 p. 200-215
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    「つづり字発音」とは正書法の影響でもともとの発音が変質してしまう現象だが, 無モジ社会以外では普遍的に目にするものだ。とはいえ, 近代においては, この「つづり字発音」はアルファベート圏はもちろんのこと, 伝統的漢字文化圏でもみあたらない, 独自の性格をもってきた。近代日本における漢字は固有名詞をおおいかぶさり, あらたな発音をつくりだす。そして, そのあらたな発音は伝統的発音をほうりだすのである。このことは伝統的発音への圧力という点で, アルファベート社会における「つづり字発音」とは決定的にちがっている。いいかえれば, 伝統的固有名詞の記憶すべてを抹殺し, まるでむかしから新型発音がつづいてきており, あらたな領土が固有の領土であり, そこに住む新住民がすんできたかのようにおもわせるのである。在来の固有名詞は俗っぽい, ないしは時代おくれだと, また在来の住民は存在しないか, しなかったとみなされるのだ。
    近代日本における漢字は固有名詞群を変質させ, ついにはマイノリティの言語文化全体をほとんど変質させてしまう。固有名詞の変質はマイノリティの言語文化全体のまえぶれだったのだ。近代日本において具体的にいえば, アイヌ/琉球人/小笠原在来島民 (ヨーロッパ系/カナカ系), および在日コリアンなどが, 規範的で均質的な日本文化に, ほぼ全面的に同化をしいられた; 固有名詞文化にかぎらず言語文化のほとんど全域でである。わかい世代になればなるほど, 日常的言語文化への同化圧力がおおきくなっていく;祖父母世代は希望をうしない, 父母世代は気力をなくし, こども世代は日本の支配的言語文化になじんでいった。はじめは, 漢字によって同化した固有名詞群はマジョリティ日本人からの差別/侮蔑/攻撃をさけるためのカモフラージュ装置だった。しかしのちには, カモフラージュの仮面はほんものの顔に変質した;わかい世代は「日本語人」になってしまったのである。
    近代日本における漢字は日本領土にくらすマイノリティを同化する装置だったし, いまもそうである。そして住民たちと領土をあらわす漢字名は, それらが日本的であることを正当化する道具だったし, いまもそうである。
  • 「家の墓」意識と死後の自己決定の狭間で
    松本 由紀子
    1996 年 47 巻 2 号 p. 216-230
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    近代日本の「家の墓」とそれをめぐる先祖祭祀は, 家という社会的基盤が直系の嗣子に相続されてゆく事によって支えられてきたものであり, 家の超世代的永続の願いの根幹をなすものであった。系譜上の祖先へのこの義務的な祭祀は, 戦後家族の在り方が変動するに従い, 近親者への情緒的な絆を重視する方向へと変化する。
    1990年代に盛んになってきた散骨や合祀墓等の新しい葬墓の在り方を求める運動の中から, 本稿では「もやいの会」と「葬送の自由をすすめる会」の二つを取り上げ, それらが, 近代日本の「家の墓」という在り方が胎んでいた構造的な矛盾に対処すべく起こってきた二つの新しい方向を示唆するものであることを明らかにする。即ち前者は, 「家の墓」を担う人々さえその継承が困難であることに対応しており, 後者は, 「家の墓」を持たない人々が自身の墓を創設し継承させることも困難であることに対応しているのである。そして二つの運動は, 葬墓を自ら選択する問題として考えるという姿勢を, 「家の墓」の継承を阻害しない形で導入し, かつその選択をポジティヴに価値付けるものとしてそれぞれ機能し得ているのである。
  • 書評・正村俊之著『秘密と恥-日本社会のコミュニケーション構造』
    奥村 隆
    1996 年 47 巻 2 号 p. 231-239
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 正村 俊之
    1996 年 47 巻 2 号 p. 240-243
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 間 宏
    1996 年 47 巻 2 号 p. 244-245
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 正岡 寛司
    1996 年 47 巻 2 号 p. 245-247
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 有本 章
    1996 年 47 巻 2 号 p. 247-249
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 森 重雄
    1996 年 47 巻 2 号 p. 249-250
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 山岸 健
    1996 年 47 巻 2 号 p. 251-252
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 47 巻 2 号 p. 253-316
    発行日: 1996/09/30
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
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