社会学評論
Online ISSN : 1884-2755
Print ISSN : 0021-5414
ISSN-L : 0021-5414
39 巻, 3 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 森岡 清美
    1988 年39 巻3 号 p. 230-237,371
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    小特集「女性と現代」に収められた三論文を関連づけるため、小論は現代女性の諸役割の関連をライフコース論の立場から考察することを企てる。すなわち、ライフコースを個人の成長サイクルを中軸とする諸経歴の、年齢によって特色ある組み合わせとして構成するとともに、家族成員それぞれのライフコースが逃れようもなくからまりあうことから生じる育児や介護をめぐる世代間および世代内葛藤に注目し、成長サイクルを直接支える女性がこれらの葛藤を自らの家族歴とその他の経歴との葛藤として受けとめてきたことを、概念的に解明する。つぎに、この点を女性のライフコースの現代的変化にかんするコウホート観察によって具体的にとらえなおし、最後に、女性の経歴間の葛藤克服の道を家族内外に措定して、あわせて小論につづく三論文への導入の役割を果たそうとするものである。
  • 目黒 依子
    1988 年39 巻3 号 p. 238-249,371
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    本論は、現代家族を分析する視点および方法に、女性への視点がどのように導入されているかについて、女性の地位あるいはパワーの観点から検討し、今後の家族研究の課題を方向づける試みである。
    現代家族への視点は、少なくとも二つの流れに挑戦されている。一つは、現実の世界における家族および女性をめぐる状況の変化とそれに対する家族理論の対応に関するものである。女性の世界は家族であるという規範を前提に成立する家族理論への挑戦は、家族の集団性や両親性といった前提が崩れる程の社会的変化から突き付けられ、特に既婚女性の就労と離婚の増大が、その変化の根幹となっている。もう一つはフェミニスト理論からの挑戦である。家父長制と資本主義の相互作用が男性による女性の支配を構造化する、という論点は、夫婦結合の原理に基づく現代の核家族を過去の家父長支配から解放された平等家族とみなす家族への視点を否定することになる。
    家族「理論」の中でも特に国際比較を踏まえた変動論や、夫婦間のパワーを資源や正当性によって説明しようとする資源論・交換論には、家族の個人化や夫婦という支配関係への接近を可能にするものがある。さらに、現代を理解するために必要な縦断的アプローチの成果に期待できると思われる。また社会的平等の観点からの家族への視点も、問題設定の方向付けに貢献するであろう。
  • 西山 美瑳子
    1988 年39 巻3 号 p. 250-265,370
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    一 女性労働者の増加、男女雇用機会均等法の施行とその影響…女性労働者の労働力率は年々上昇し、中高年層の就業率が高まっている。雇用機会均等法は、雇用・処遇について努力規定・禁止規定を課している。雇用機会均等法の影響は、産業により差があるが、漸次広がりつつある。二 女性のライフ・ステージと職業生活設計の多様性、職業生活の柔軟性…就業パターン形態や生涯設計の在り方の多様化が進んできた。個別的な職業生涯設計を念頭において、主体的に人生設計を創出する時代が現代といえる。柔軟な職業生涯への対処が必要である。三 能力主義人事管理と複数進路選択制…現在、終身雇用制、年功型人事管理は崩壊し、能力主義人事管理が台頭している。能力主義人事管理は進路コース多選択制で個別的、多元的であり、従業員の意思、主体性、適性を要件とする。今日の人事制度変革期における能力主義・複数進路選択制人事管理の導入、中途採用の増加は、柔軟な労働生涯への志向を持つ女性労働者には従来の年功主義人事管理よりはなじみ易いといえよう。四 複線型人事管理の社会的課題-女性労働者の人事管理の問題点-…人事処遇制度の後進企業ではその諸制度の未成熟・不備がある。一般に、従来の企業内男性文化と新たに持込んだ女性の側の価値観や文化との衝突、相克がある。業績結果主義、会社優先家庭無視が男性企業文化とするなら、努力過程評価、家庭生活配慮への要請は女性文化を反映する。今後の企業では、企業文化の女性化が漸次浸透することになろう。
  • -かくされた「領域」の持続-
    天野 正子
    1988 年39 巻3 号 p. 266-283,370
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    教育は家族・労働・政治などに比べて、性別による不平等のみえにくい、「平等幻想」の支配の強い領域である。現代社会の学校は、基本的に業績本位のメリトクラティックな制度とみなされている。学校においては生徒や学生は性別にかかわりなく、学業成績や学力によって評価され選抜される。このため、たとえば男性は大学・女性は短大、男性は理工系・女性は文科系という性と高等教育との「系」の存在や、また、高等教育の、女性における社会的地位の表示記号化は、女性自身の自由で主体的な選択ないしは選好の結果とみなされ易い。しかし、そうであろうか。学校教育制度は、社会化機能と同時に、社会的な選抜と配分機能を果たしているが、その機能のなかには、「性役割規範とその非対称性」への社会的期待と、それが生徒・学生に内面化されていくダイナミックな過程がかくされている。その過程で、性別という変数が教育的アウトプットを直接、明示的に規定しているわけではない。それは、かくされた変数であり、両者の間にはさまざまな媒介要因 (スループット) が介在している。そしてそれらの媒介要因についての実証的な研究や分析は、ようやく緒についたばかりである。本稿はこうした視点に立った研究をさらに推し進めるための、基礎作業を試みるものに他ならない。具体的には「教育と平等」研究の視座の変化と、従来ブラック・ボックス視されてきた学校の内部過程に関する諸研究に焦点をあてて、性による不平等生成のかくされたメカニズムを明らかにし、あわせて「性 (ジエンダー) と教育」研究に現代的課題を提示することにしたい。
  • 加藤 喜久子
    1988 年39 巻3 号 p. 284-298,369
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    この論文での主要な関心は、「家」原理に代わる親子同居の新しい説明原理にある。ここでは、二世代夫婦同居家族の存在条件に関する理論的枠組とデータを提示したいと思う。
    親世代と子世代を独立の単位とみて家族発達アプローチに基づき世代間関係を考察した結果、次の点が明らかになった。
    二世代夫婦同居家族の形成は、親世代、子世代それぞれの家族発達において生じる危機的局面をスムーズにのりきるための有効な方策としての意義をもつ。とくにそのメリットは、家族周期段階の初期と晩期に大きい。形成にあたっては、 (1) 人的物的資源をもたないため発達課題の達成や段階移行に困難がある状況、 (2) これを援助できる人的物的資源の所有、 (3) 生活構造調節の柔軟性、 (4) 同居を肯定する家族観と親子の情緒的絆の四つが条件となる。このことは、もし積極的メリットがみいだされないとき、同居家族は解体することを意味する。ここでは、 (1) 課題達成や段階移行の危機的局面の克服、 (2) 援助力の低下、 (3) 生活構造調整の困難、 (4) 親子の対立の四つが分解条件となる。家族が一つのシステムとして機能するためには、経済やサービス面における顕在的メリットと情緒的安定という潜在的メリットを確保する生活共同の態勢と、共同生活により発生しやすくなる世代間葛藤の回避策がなければならない。とくに子世代の家族周期での早期の同居開始と息子との同居に対応する葛藤回避策としては、生活分離が重要である。
  • 日本社会学会・社会学教育委員会
    1988 年39 巻3 号 p. 314-334
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • -アイデンティティを求めて-
    ターナー ラルフ・H
    1988 年39 巻3 号 p. 335-351
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
  • -家族の力動理論を目ざして-
    正岡 寛司
    1988 年39 巻3 号 p. 357-358
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • 熊谷 苑子
    1988 年39 巻3 号 p. 359-360
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • 関 孝敏
    1988 年39 巻3 号 p. 360-362
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • 嘉目 克彦
    1988 年39 巻3 号 p. 362-363
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • -その危機的状況への対応-
    山本 努
    1988 年39 巻3 号 p. 364-365
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • -近代家族の成立-
    老川 寛
    1988 年39 巻3 号 p. 365-367
    発行日: 1988/12/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
feedback
Top