近年の身体論における「相互に同調する関係」にたいする関心の高まりをどのように位置づけることができるか?本稿の問いである.
身体論におけるその受容と展開の社会学上の意義と位置を究明することをめざして,わたしたちは「相互に同調する関係」の受容史をふりかえり,〈西原和久の社会学〉に注目する.身体論に近づきながらも,しかし西原は身体論におけるその受容と展開を問題にしてはいないことがわかる.つぎに身体論の受容と展開の内容をみれば,これが〈西原以後〉にあることが判明するが,“growing older together”がそこではじゅうぶんに論じられてはいないこともはっきりする.この欠如を埋めるために〈西原以後〉のエイジング研究にふれながら“growing older together”の特質を明らかにするのである.
以上をつうじて,身体論の受容と展開の位置づけを行うことができる.
限定された主題に探究のねらいを定めてはいるが,本稿は「相互に同調する関係」の研究・〈西原の社会学〉・エイジング研究・身体論のあいだに成立するより広範なすじみちの存在を指し示すものとなるのである.
抄録全体を表示