社会学評論
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40 巻, 4 号
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  • 大本 晋
    1990 年 40 巻 4 号 p. 360-374
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    本稿の意図するところは、蔵内社会学の特質--独自性と理論水準の高さを、N.ルーマンの全体社会論との対比の形式において、全体社会論の分析の通覧によって明らかにすることを試みることである。
    そこで、次の三つのトピックスを選び考察を行う。(1)全体社会の概念規定。(2)社会分化と全体社会。(3)全体社会における時間と変動。
    全体社会は、もっとも多くの歴史性を担い、したがって一般的命題を導き出しにくいが、それにもかかわらず、その規定は重要で避けることのできない問題である。その場合、分析の観点として、運命(命) Geschick、潮流(勢) Strom、法則(理) Gesetz、規範(法) Normの四つの因子を取りあげ、これに基づいて全体社会概念の独自な展開が行われる。
  • 人と思想をめぐる一序説
    米村 昭二
    1990 年 40 巻 4 号 p. 375-396
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    第二次大戦後における蔵内の理論的関心は一九五三年の『社会学概論』公刊後一貫して全体社会論の体系化に集中してきた。優れて歴史的でしかも包括的な全体社会の理論化、体系化は容易でなかったが、蔵内は、あえてそれを自らのテーマとした。本稿はまず先行理論である高田保馬の全体社会論、タルコット・パーソンズの社会体系論の批判を通して理論構築したプロセスを辿り、その特質を究明することに努め、あわせて蔵内社会学のゲマインシャフト的性格を解明した。次いで、全体社会の体制変革について触れ、蔵内が設定した「理、法、勢、命」と「前集団、現集団、後集団」が全体社会論に対してもつ意義と剴切性について検討し、問題点を指摘している。
    最後に、蔵内の初志であった思想、文化の社会学的把握が晩年みごとに結実し、蔵内が優れた理論社会学者であるだけでなく、日本文化、芸術、思想に関するトップ・レベルの研究者であったことを実証することにし、その代表例として、「雪舟と備中重源寺」、「正倉院八卦背鏡私考」、「中山みきの人間学」、「中山美岐の思想」を蔵内の社会学理論と関連づけて取り上げ、さらに、蔵内の宗教把握と理解が実存性を強め、一層深化されたことを究明している。
  • 秋山 ひさ
    1990 年 40 巻 4 号 p. 397-413
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    蔵内数太博士は一九二〇年代のドイツ社会学の影響を受けて文化社会学を著わした。これはマックス・シェーラーの知識社会学と共感論に示唆を受けて、日本の社会と文化の理解を深めようとしたものである。
    博士の文化社会学は社会学の一部門として位置づけられ、扱われている文化はいわゆる社会文化を除いたものである。博士によると、文化は物質文化、精神文化、社会文化、運命の文化と区別されるが、社会文化は人々の間柄において実現している行為の型であり、人々の共同生活に要求されてくる文化である。社会生活そのものの一面をもつ社会文化は「社会の社会学」で扱われるべきで、「文化の社会学」とは区別するという立場をとっている。これはまさにドイツ流の文化社会学であり、文化人類学と強く結びついて生活様式を重視するアメリカ文化社会学と立場を異にするものである。
    文化社会学が扱う文化をこのように狭く限定したことに批判もあるが、博士はこれによって文化社会学内に芸術社会学、知識社会学、宗教社会学などを個別に研究する根拠を見出したといえる。
    本稿では博士の芸術社会学を取上げて、日本芸術がゲマインシャフト的性格をもつという博士の主張を示した。博士がこの結論を導き出したのは、社会は個人の体験においてとらえられているという現象学的方法を基礎にして、体験様式において人と人、人と自然が全体的に融合している特徴を見出したからである。
  • 鈴木 広
    1990 年 40 巻 4 号 p. 414-430
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    清水幾太郎は, 「コントにおける三段階の法則について」を書いて、東京帝国大学を卒業し、五七年の後、再び『オーギュスト・コント』を書いて、社会学者を卒業した。二つのコント研究の間には、正反対ともいうべき、極端な対照がある。このような振幅の大きさは、清水の特有のパターンである。二つのコント像の間に、清水の大衆社会論と社会学説研究のすべてが横たわっているはずである。本稿では、 (一) 清水の人間形成過程における、想像を絶する特異性と、それに由来する、 (二) 彼の地方観、田舎意識の驚くべき未熟さとを手掛りとしてアプローチし、彼の社会学の実体をなしている、大衆社会論の特色、欠陥、限界を示唆する。そして、そのような大衆社会像が、図らずも、次第に日本においても現実のものとなり、彼のニヒリズムが現実化したため、そのような状況を克服すべく、逆に自分自身が、普遍的デモクラットから、日本的ナショナリストへと、転身せざるを得なかった、という秘密を解読する作業に迫りたい。
  • 河村 望
    1990 年 40 巻 4 号 p. 431-445
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    日本では、社会科学は西欧からの輸入科学として、主として帝国大学のなかで成立、発展してきた。社会学も、官学アカデミズムのなかで、国家学の亜種として形成されていった。したがって、市民社会の自己認識の学としての社会学の批判性は、当初から希薄であった。そのなかで、清水幾太郎氏は、マルクス主義の立場から日本で最初にブルジョア社会学を批判した人であり、マルクス主義者から転向したのちも、アメリカ社会学、社会心理学の方法を取り入れ、戦後の日本を代表する社会学者になった。
    本稿はその清水氏の追悼論文であるが、ここでは主として、清水氏がマルクスおよびミードの学説を、経験的世界における生命活動、実践の見地からとらえていないこと、したがって、きわめて客観主義的にかれらの理論をとらえていることを問題にしていった。清水氏がマルクスおよびマルクス主義を理解しえなかったことは、すでに繰り返し指摘されているが、清水氏のマルクスにたいする誤解が、そのままミードにたいする氏の誤解につながっていることは、本稿において初めて明らかにされることであろう。
    このような事実は、清水社会学の社会学という問題だけでなく、広く日本における知識社会学の問題をも提示している。日本にあっては、人間解放の理論も、プラグマティズムも、抽象的一般理論として受けとめられ、論じられてきたのである。
  • 藤竹 暁
    1990 年 40 巻 4 号 p. 446-460
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    清水幾太郎は、「経験」を基礎にして考え、行動した思想家であり、社会学者であった。清水幾太郎の人生とその業績を明らかにするためには、清水にとって経験とは何であったのかを、探らなければならない。
    本稿では、清水が社会学を志望するにいたり、そして三〇歳代前半に、環境と人間に関する清水独自の理論の骨子を形成するまでの、清水の初期の経験を考察する。まず、清水が成長過程で遭遇した個人的、社会的事件を整理し、これらの事件が、清水の思想形成において、どのような経験となったかを考える。次いでマルクス主義が支配する時代状況の下で、ドイツ形式社会学に没頭し、その非現実性に飽き足らず、オーギュスト・コントの研究へたどりつき、さらにアメリカの社会学、心理学、哲学を知るにいたって、コントの人類に関する観念を、清水独自の社会学的な人間の理論へと発展させた過程をたどりながら、清水が経験の概念を確立してゆく経緯を論ずる。
    それはまた、思想家そして社会学者としての清水幾太郎が、人生と社会に対して示した姿勢を明らかにすることでもある。
  • 中野 秀一郎
    1990 年 40 巻 4 号 p. 461-462
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • -東南アジアの事例-
    新津 晃一
    1990 年 40 巻 4 号 p. 463-464
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • -高齢社会と社会保障-
    雀部 猛利
    1990 年 40 巻 4 号 p. 464-466
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • 金子 勇
    1990 年 40 巻 4 号 p. 466-467
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    一九八九年になって、環境社会学や環境経済学という書物の公刊が相次いでいるが、本書はそれに先立つ二年前に環境の本格的な研究書として出版されたものである。早稲田大学グループが周到な準備と調査を踏まえてまとめあげた本書は、都市社会学的な環境パラダイムをもち、日本経済の「ひずみ」と「よどみ」と「歪み」に留意しつつ、人口集中が続く東京多摩市・多摩ニュータウン地域を分析し、その結果を人間の居住環境問題へと一般化する視点を構築している。
    本書の構成は次の通りである。
  • 岩崎 信彦
    1990 年 40 巻 4 号 p. 467-469
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • 口羽 益生
    1990 年 40 巻 4 号 p. 469-470
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • 吉澤 夏子
    1990 年 40 巻 4 号 p. 471-472
    発行日: 1990/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
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