社会学評論
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51 巻, 1 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
  • 『宗教生活の原初形態』における
    松浦 雄介
    2000 年51 巻1 号 p. 2-19
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿は, 『宗教生活の原初形態』の読解をつうじて, 後期デユルケムにおける科学・宗教・社会の関係を再定位することを目的としている.『原初形態』は, 理性 (概念や範疇, 論理など) が社会的諸条件に依存していることを論じ, 後年の知識社会学や科学社会学などへの道を開いた書物として受けとめられている.テイリアキアンが『原初形態』を「理性の社会学的批判」と呼んだとき, やはり同様の理解であった.『原初形態』はたしかに理性の社会学的批判の書であるが, しかしその意味はむしろ, 理性と非理性とを結ぶ関係として社会を見出した点にある.『原初形態』は, 「現在の現実」すなわち現代社会を説明するために, いわゆる未開社会を研究するという奇妙なスタイルによって, そしてまた近代科学と未開社会のさまざまな関係を論じることによって, 対立する合理性と非合理性とを結びつける.科学と宗教をつなぐ社会のありかたを考えるとき, 重要になるのは儀礼論である.それなくしては, 科学にせよ宗教にせよ, 創造されたいかなる観念も存続しえないからである.最後にパーソンズのデユルケム批判を検討することによって, 理性の社会学的批判がなぜ理性の社会的諸条件への依存というように理解されてはならないかを論じ, われわれの読解の輪郭を明瞭にする.
  • 左古 輝人
    2000 年51 巻1 号 p. 20-36
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    建部遯吾の初期の主要三著作である『陸象山』『哲学大観』『普通社会学』に, 明治期我国における欧米社会学摂取の知的経緯の一断面を見る.
    初期建部が儒学に大きな注意を向けることによって欧米社会学諸理論の紹介やその応用といった水準を超え, 我国社会学に一世を画したことは衆目の一致するところである.しかしその仕事において実際に儒学がどのように性格づけられているか, そしてそれが欧米諸学, 建部社会学とどのように相互に関係づけられているのかについては詳細に検討されていない.
    本稿は初期建部における儒学, 欧米諸学, 建部社会学のそれぞれの性格づけおよび相互関係を明らかにする.そこにおける儒学は反省を経ずに措定された自明的な思考基盤でなく, コント学問体系論に組み込まれる, 学の一部門でもなかった.欧米知との邂逅によって一旦相対化され, またそれゆえに自律的な思想体系として再発見された儒学であった.そして初期建部の社会学とは, かように再発見された儒学の長所と欧米社会進化論の知見を, 双方の自律性を保存しながら統合する試みであった.
  • ドイツと日本の「ネーション」概念の形成と変容をめぐって
    佐藤 成基
    2000 年51 巻1 号 p. 37-53
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    この論文はナショナリズムに関する一つの理論枠組を提案し, それを用いてドイツと日本の「ネーション」概念の形成と変容の過程を比較分析しようというものである.ここではナショナリズムを, 国民国家, エスニック・マイノリティ, エスニック・マジョリティ, 「在外同胞」 (国外マイノリティ) がそれぞれ自身の「ネーション」概念を掲げ, 要求しながら提携・対立し合うダイナミックな場として, 「ネーション」はこのような過程を経て形成され, 強化され, 変容をうけるものと考える.比較の対象となる時期は主として1871年の独日双方における統一国家形成から1945年の第二次大戦終結までであり, (1) 第二帝政と明治国家によって形成された「国家ネーション」とマイノリティの同化, (2) 同化に対抗するエスニック・ナショナリズムが独日のネーション概念に与えた影響の差異, そして (3) 国家の外にいる「在外同胞」問題と国家およびネーション概念との関係の差異, の3点に焦点を当てて考察する.そして最後に, ドイツではエスニックなネーション概念が国家や国民国家から区別され, 「民族」それ自体が利益や権利主張の主体として理解される傾向があるのに対し, 日本ではネーションの概念が国家に従属し, 国家と「ネーション」との区別が明確にされないという傾向が見られる, という点を指摘する.
  • 職場における人種間関係の事例研究から
    五十嵐 泰正
    2000 年51 巻1 号 p. 54-70
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿は, 日系ブラジル人労働者とパキスタン人労働者を多数雇用している群馬県大泉町の中規模機械工場において行った参与観察および調査に基づき, 同工場内における日本人従業員の外国人同僚に対するまなざしとその変化の可能性を分析した論考である.従来の社会心理学の議論の中では, 外集団同質視をすることで抱かれる人種的ステレオタイプは, 多人種協働の中での外集団の個人化で解消されうるものとされてきた.しかしその枠組みでは, マジョリティの中での立場に応じて偏差を持ちつつ動的に展開されるという, 現実の人種意識変容過程の性質を捉えきれない.本稿では, そうした個人化過程は, 外集団の成員を単にバラバラに認識するようになるプロセスではなく, ミクロな空間内での自律的で人種横断的な仲間意識の枠組みを対抗的に設定することで, 所与の人種枠組みを相対化してゆく過程であると論じ, 日本人従業員各自の工場内での立場と強い相関を持つ, 外国人同僚に対する 4つの語りを描き出した.しかしその一方で, そうした自律的な人種間関係の生起は, 工場の中の現実にとどまる限定的なものであり, 全般的な人種意識の変容へと必ずしも繋がるわけではないということ, そしてその現象の背景には, マスメディアにおけるアジア系外国人労働者の否定的な表象の大きな影響力があることも明らかにした.
  • カリスマの陳腐さについての考察
    田野 大輔
    2000 年51 巻1 号 p. 71-87
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    ヒトラーについて語る場合, たいてい「カリスマ的支配」の概念が引きあいにだされるが, ドイツ民衆の目に映じた彼の魅力はけっして「英雄性」にもとづくものではなかった.注目すべきことに, ヒトラーはスターリンと違って自己の全身像をつくらせなかったのであり, それは彼がたんなる独裁者ではなかったことを意味している.ナチ体制下のメディアの全体的関連のなかでヒトラー・イメージを考察すると, 彼は-とくに写真において-むしろ「素朴」で「親しみやすい」人間として提示されていたことがわかる.民衆との近さを表現したこの親密なイメージ, 市民的価値に由来する「ごくありふれた人間」のイメージこそ, ヒトラーの人気の基盤だった.「総統」が体現していたのは, 政治を信頼できる個人に還元する「親密さの専制」 (R.セネット) にほかならず, こうした「罪なき個人性」の衣をまとったカリスマの陳腐さは, メディア時代の政治的公共性のありかたを考えるうえで重要な意味をもっている.
  • 伊藤 智樹
    2000 年51 巻1 号 p. 88-103
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿は, セルフヘルプ・グループにおいて個人の物語が果たす機能的意味を探る.そのために本稿は, まず従来のセルフヘルプ・グループ研究が持つひとつの問題点を探り出すことから出発する.それらの先行研究は, セルフヘルプ・グループが, 他では実現困難な効果を参加者たちにもたらすだけの固有性を持つと考えながらも, その本質的な部分を知識の伝達や情緒的効果として大雑把に片付けてしまっている.近年, 物語という観点をとることで, グループへの参加者の発話行為に即した分析が行われるようになってはきているが, 検討の結果, それらの先行研究も実は十分な知見を提供できていないことが明らかになる.本稿は, このような先行研究の検討を通じて, セルフヘルプ・グループに関していまだ中途半端にしか答えられていない問題を明確にし, そのことを通じてセルフヘルプ・グループ研究が進むべき有意義な方向を提示する.
  • パーソナルネットワークの機能
    安田 雪, 石田 光規
    2000 年51 巻1 号 p. 104-119
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    個人は日常生活において多重化したネットワークに所属し, それぞれのネットワークから異なる影響を及ぼされている.本研究においては, 我々が実施した「先端情報通信企業従業員の仕事とネットワークに関する調査」 (1998) データを用い, 企業従業員が職場で保持する相談ネットワークと情報交換ネットワークを抽出し, 両ネットワークの構造特性と従業員の意識との関連を分析した.分析の結果, (1) 従業員は相談ネットワークと情報交換ネットワークを異なるものとして認識しており, その内部構成には差異があること, (2) 相談ネットワークと情報交換ネットワークでは, それぞれ異なる構造特性が従業員意識に対して影響を及ぼしていることを検証した.相談ネットワークについては構成者の属性が, また情報交換ネットワークについてはネットワークの大きさが意識と強い関係をもつ.相談ネットワークについては現在の上司および部下という制度的に規定されたフォーマルな関係が占める割合が高いほど, 情報交換ネットワークについてはネットワークの構成者数が多いほど, 従業員は高い職場意識をもつ.相談ネットワークは保持者とネットワーク構成者の間に互酬性がなく非対称な関係が成立しているが, 情報交換ネットワーク内では互酬性があり対等な関係が成立していることから, この差異が生じると解釈できる.
  • 準拠枠としてのネットワークの機能
    星 敦士
    2000 年51 巻1 号 p. 120-135
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は, 階層帰属意識の判断基準と比較基準を明らかにすることである.まず, 階層帰属意識の判断に影響する要因として, 従来の研究が用いてきた自身の社会経済的地位とともに, 地位認知の判断基準となる他者の社会的地位, 他者と自身との間の地位関係を含めて, 帰属意識の判断パターンに関する分析枠組みを構成した.1985年のGSSデータを用いて計量的に検証した結果, 階層帰属意識の判断について従来用いられてきた個人の地位から帰属意識を説明するという分析枠組みの妥当性を確認するとともに, 準拠集団論的なアプローチが指摘してきた他者の地位の影響についても部分的にその妥当性を実証した.個人は自己の地位評定を行う際に, 自身の社会的地位 (職業威信, 世帯収入) と, ネットワークの社会的地位 (学歴) を社会全体という比較基準において判断基準とする.また, 規定要因としての効果の大きさを比較すると, ネットワークの社会的地位の効果は, 本人の職業威信, 世帯収入よりも大きく, 個人の階層帰属意識の判断において重要な判断基準であるという結果をえた.一方, 自身とネットワークの地位関係に関する要因は階層帰属意識の判断パターンとしてほとんど考慮されていない.また, どのようなネットワークをもつかという準拠対象の構造的要因 (社会的地位の分散, 親密度) は, 階層帰属意識の判断に対して影響を与えていないことが明らかになった.
  • 二本松藩2ヵ村の史料を用いて
    岡田 あおい
    2000 年51 巻1 号 p. 136-152
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は, 徳川後期農民社会の世帯構成を分析することである.具体的には, 世帯構成のサイクルと循環年数を観察することである.史料には, 150年間におよぶ二本松藩2ヵ村の人別改帳を用い, 世帯構成の分類には, ハメル・ラスレットモデルを修正して用いることにした.
    観察の結果から, 世帯構成には階層による違いがあることが判明した. 土地を保有している階層は, 定住率が高く, 直系家族世帯の割合が高い.さらに, 直系家族世帯を形成するサイクルも30%以上発見できた.これに対して, 土地を所持していない階層の定住率は低い.この階層の約半数は定住期間が5年以内である.また, 直系家族世帯の割合も低く, 単純家族世帯と単独世帯の割合が高い.しかし, それ以上にこの階層の特徴といえるのは世帯構成のサイクルそのものがまったく観察できなかったということである.
    この観察結果から, 徳川後期の東北農民社会の世帯構成は直系家族世帯がその典型であったということは可能であろう.ただし, これはあくまで土地を保有している階層の農民世帯にあてはまることであり, 土地を所持していない階層の農民世帯にはあてはまらない.したがって, 徳川期農民社会について論じる際に, 直系家族システムをその前提として論じることは留意すべきである.同じ村に住み, 同じ農民という身分に属しながらも, 階層によってまったく異なる社会的経済的環境を形成していたのである.
  • 安川 一
    2000 年51 巻1 号 p. 153-154
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 梶田 孝道
    2000 年51 巻1 号 p. 154-156
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 栗岡 幹英
    2000 年51 巻1 号 p. 156-158
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 佐野 正彦
    2000 年51 巻1 号 p. 159-160
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 草柳 千早
    2000 年51 巻1 号 p. 160-162
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 山手 茂
    2000 年51 巻1 号 p. 162-164
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 山下 祐介
    2000 年51 巻1 号 p. 164-166
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 田渕 六郎
    2000 年51 巻1 号 p. 166-167
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 池岡 義孝
    2000 年51 巻1 号 p. 168-169
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 大野 道夫
    2000 年51 巻1 号 p. 170-171
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 井上 輝子
    2000 年51 巻1 号 p. 171-173
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 小内 透
    2000 年51 巻1 号 p. 173-175
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 中野 卓
    2000 年51 巻1 号 p. 175-176
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 田中 重好
    2000 年51 巻1 号 p. 177-178
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 中村 正
    2000 年51 巻1 号 p. 179-180
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 松本 康
    2000 年51 巻1 号 p. 180-182
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 小川 博司
    2000 年51 巻1 号 p. 182-184
    発行日: 2000/06/30
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 2000 年51 巻1 号 p. 184
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
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