社会学評論
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53 巻 , 4 号
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  • 桜井 厚
    2003 年 53 巻 4 号 p. 452-470
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    社会調査は, 現代社会で認知され定着してきた一方で, さまざまな問題や困難な状況に直面している.それらの問題を大きくわければ, ひとつは社会調査の方法論に関する社会学の問題, もうひとつは調査の対象とされる社会の側から要請される問題があげられる.本稿では, 方法論の混乱と対立がおもに伝統的な実証主義的立場とあたらしく台頭した構築主義的立場の認識枠組みの違いにあり, 社会における困難とは調査者と被調査者の関係を軸にしたポリティクスと倫理の問題であると考え, それらの実情と論点について述べた.
    実証主義と構築主義の認識枠組みは, 何を現実と考えどのように把握するかで大きく異なる.社会的現実は唯一の事実なのか, それともフィクションなのか.調査過程は, 被調査者から情報を引き出すことなのか, それとも被調査者と相互的に現実を構築することなのか.さらに, 調査者と被調査者の関係が構造と相互性の2つのレベルの非対称性によって構成されていることに注意を促し, それをふまえながらもその変革のさまざまな可能性についてもふれている.また, それにともなう調査倫理の制度化の必要性と制度化にあたっての困難にも言及した.
  • 大谷 信介
    2003 年 53 巻 4 号 p. 471-484
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    社会調査は, 社会学者がおこなう学術調査以外にも実社会で多様にかつ多量に実施されている.市町村や中央省庁で実施される意識調査やマスコミが実施している世論調査等はその代表的なものである.しかしこれまでの社会学研究ではそれらにほとんど関心が示されてこなかったのが実情である.実社会で「社会調査がどのように実施され」それらが調査方法論の観点から「どのように評価できるのか」といった実態を正確に把握する作業は, 社会調査教育を提供している社会学にとって, 必要かつ重要な仕事といえるだろう.
    このような視点から, われわれは大阪府44市町村が総合計画策定のために実施した市民意識調査に関する聞き取り調査, およびそれらの調査票の質的評価に関する内容分析を実施した.そこで明らかになったのは, 社会調査論の観点からはとても看過できない問題を抱えた市民意識調査の深刻な実態であった.それらの詳細な実態については, すでに大谷信介編著『これでいいのか市民意識調査』 (ミネルヴァ書房2002年) としてまとめている.そこで本稿では, この調査で明らかとなった実態の中で, 特に社会学会として注目しなければならないであろう課題という視点から問題点を整理していきたい.
  • 吉川 徹
    2003 年 53 巻 4 号 p. 485-498
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    日本の社会調査データの計量研究には, 2つの異なるアプローチが潜在している.このことはこれまで論及されることがほとんどなかったが, 本稿では高坂健次によってなされた数理社会学の方法論の整理と展開を糸口としつつ, 「数理-計量社会学」とその対極にある「計量的モノグラフ」という社会調査データの扱い方を類別する.
    そして, 高坂と吉川が共通の課題としている階層帰属意識の計量研究を例にとって, 両者の差異と距離を明確にする.
    さらに, 両者の間に位置する階層意識の「作業仮説-検証型の計量分析」の現状を示して, 計量社会意識論のあるべき姿を再考する.
  • 松田 素二
    2003 年 53 巻 4 号 p. 499-515
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    社会調査のなかでも近年, エスノグラフィーやライフヒストリーなどの手法を用いた研究の進展はめざましいものがある.こうした調査の興隆とは裏腹に, 方法論的にみると, フィールド調査に代表される質的調査は, 一貫して周縁的位置に置かれてきた.さらに1980年代半ばに起こった民族誌への根源的懐疑の思想運動は, フィールドワークとそれにもとづくエスノグラフィーの可能性を基本的に否定する方向に作用した.フィールド調査の未来はあるのだろうか.
    この問いかけを考えるとき, 1970年代に行われた社会調査をめぐる似田貝-中野「論争」は, 今日的意義を失っていない.調査する者とされる者とのあいだの「共同行為」として調査を再創造しようという似田貝と, そこに調和的で啓蒙的な思潮を読みとり, する者とされる者とのあいだの異質性をそのままにした関係性を強調する中野のあいだの論争は, 時代性を超えて, 2つの重要な問題を提起している.ひとつは, セルフをどのように捉えるかという問題であり, もうひとつは, 立場の異なるセルフ間の理解と交流はいかにして可能かという問題である.前者は, 共同性 (連帯性) をめぐる存在論の議論に連なり, 後者は, ロゴスと感性による対象把握に関わる認識論の議論につながっていく.
    本論では, フィールド調査における, 実感にもとづく認識と理解の可能性を検討する.
  • 佐藤 健二
    2003 年 53 巻 4 号 p. 516-536
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    本報告では, 安田三郎『社会調査ハンドブック』を素材に, 戦後日本の社会学における方法意識の歴史的な変容を論ずる.数量的研究/質的研究の対立の一方の典型としてではなく, むしろ調査テクノロジーの特質に焦点をあて, 読者の理解をも視野にいれた分析が必要であろう.4冊の内容構成の変遷から, 問題の設定の局面で重要な役割を果たす〈書かれたもの〉, すなわち研究論文や統計文書など文献データに対する感度が低下し, 社会調査の社会調査ともいえるような展開をはらんでいた質問分析の意味が, 単純な例示に切り縮められていったという変容が浮かびあがる.しかし, 社会調査が行われる「社会」という場それ自体が, さまざまなデータがすでに書き込まれ刻み込まれている資料空間である.このハンドブックの構想に学ぶべき可能性を3つ挙げておこう.第1には安田自身が感じた「一寸した知識」への驚きを共有するという期待が込められていること, 第2に流れ作業的なマニュアルとしてではなくフィードバックを含む複合的な認識形成のプロセスを構築しようとしたこと, 第3に戸籍の読み方や内容分析など盛り込めなかった調査テクノロジーの領域についての明晰な自覚が少なくとも始めの段階ではあったことである.『社会調査ハンドブック』を共有すべき書物として編むという実践それ自体が, 盛られた情報内容以上に, 社会という資料空間に内属しつつデータを収集し処理し再構成せざるをえない, 「方法」のもつ手ざわりをしっかりと伝えている.
  • 玉野 和志
    2003 年 53 巻 4 号 p. 537-551
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    本稿では, サーベイ調査をめぐる最近20年間の動向を題材に, 日本における社会調査の現状と社会学の課題についてひとつの問題提起を行う.サーベイ調査の回収率は, この20年間で低下する傾向にある.それは主としてとりわけ都市部での拒否と一時不在による.しかしながら, 筆者は必ずしもそのことが社会調査にたいする無関心によるものとは考えていない.むしろ何のために社会調査が行われ, どのような方法で, 誰にとって有用な知識を生み出すものであるかを, 調査対象者がきびしく問うようになっているのである.つまり, 大学の学術研究にたいする素朴な尊重の念は失われ, 社会調査はその科学性と有用性を改めて人々に明快に示して見せる必要に迫られている.そこに社会調査の困難と社会学の課題がある.
  • 山口 一男
    2003 年 53 巻 4 号 p. 552-565
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    2001年日本社会学会のシンポジウムにおけるパネル討論での発表と議論を土台にしてそれをさらに拡大し, 「社会調査の困難」について米国で社会研究を行うものの立場から筆者が重要と考える以下の5つの問題に焦点をあてて論じる. (1) 「社会調査の困難」という概念について, (2) パネル調査の必要性と社会調査の目的との関連について, (3) 不完全情報の取り扱いについて, (4) 調査対象者の協力を得るということについて, (5) 調査対象者のインフォームドコンセントと人権保護について.
  • 宮内 泰介
    2003 年 53 巻 4 号 p. 566-578
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    調査やフィールドワークについての中心的な議論の一つは, “調査する側-される側の問題” であろう.この問題は, 単に倫理の問題ではなく, 方法論, 認識論の問題にまで広がる.この問題をどう考えればよいか.本稿では, フィールドワークがそもそも多義的であることを基盤に, その多義性から, 社会的に意味のある実践を引き出す方法として, 市民による調査, を考える.市民による調査は, そうした方法論上の要請からだけでなく, むしろ, 市民活動などの実践からも必要とされている.
    市民調査は, 職業的研究者による研究の簡易版ではなく, 独自の特徴と意義をもったものである.職業的研究者の調査研究が, 厳密な方法論の上に立って行われ, 学会やディシプリンへの貢献を目指すのに対し, 市民による調査は, さまざまな手法を, 市民の視線で組み直すことによって, 具体的な問題発見と解決, そして, より広い実践的な説得力, を目指す.本稿では, そうした市民調査の特徴と課題について論じるとともに, 市民調査を社会的な力とするためのしくみについても考える.
  • 山田 富秋
    2003 年 53 巻 4 号 p. 579-593
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    私は社会調査におけるインタビュー場面に絞って, 調査者と調査対象者をめぐる困難の意味を明らかにしたい.その過程で, 一見解決しがたいように見える困難が, 社会学における実証主義 (positivism) の立場から生じてくることを明らかにしたうえで, その困難は字義通りの困難ではなく, 対話的構築主義的な調査を進める上で, なくてはならない資源であることを示そう.
    そのためには, すぐに実証主義的な調査批判と調査者の権力性の解剖に向かうのではなく, その前提となる立場を明示したい.それにはまず, 調査者と調査対象を切り離すことはできないこと.その反対に, 調査者と調査対象とのコミュニケーションが社会調査という現象を対話的に構築することを主張する.つぎに調査者と対象者の対話のなかで構築される権力作用を明示するために, ナラティヴ・アプローチを援用し, モデル・ストーリーが調査というコミュニケーション過程においてどのような働きをするのか, 具体的なインタビュー場面を分析することによって明らかにしよう.それはあることを禁止したり, 抑圧したりするというよりはむしろ, 当該の物語を語る欲望を作り出す働きをする権力である.そこから, このモデル・ストーリーが裏切られる場面や;そこに回収できないユニークなストーリーの発生に注目することの重要性が浮かび上がる.
  • 内藤 和美
    2003 年 53 巻 4 号 p. 594-604
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
    「女性に対する暴力」の社会的顕在化, 社会的対応構築努力の始動期であった1990年代に, そこにかかわった研究者その他の専門職等が被害当事者から何を批判・指摘されたのか, そして暴力被害等人権侵害問題に調査研究という形で関わろうとする者がその批判にどう応えるのかを, 経験に基づく自省と, その後の研究展開を踏まえて確認した.とくに, 問題認識や利害を共有しているという感覚が, 専門職等に当事者との間の社会的立場の違いに起因する権力関係を軽視ないし見落とさせ, よりひどい搾取をしてしまう危険を明らかにした.「女性に対する暴力」に関する研究が行われてよいための要件として, 違いが無視されずに扱われるような関わりの蓄積による信頼関係, 当事者の力・自律性・主体性への信頼, 当事者と専門職等の関係を不均衡にする構造自体の問題化, 当事者自身が語れる状況の創出努力の4点を整理した.
  • 遠藤 薫
    2003 年 53 巻 4 号 p. 605-606
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 長谷 正人
    2003 年 53 巻 4 号 p. 606-608
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 袖井 孝子
    2003 年 53 巻 4 号 p. 608-609
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 山口 健二
    2003 年 53 巻 4 号 p. 610-611
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 若林 良和
    2003 年 53 巻 4 号 p. 611-613
    発行日: 2003/03/31
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
  • 2003 年 53 巻 4 号 p. 614
    発行日: 2003年
    公開日: 2009/10/19
    ジャーナル フリー
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