1価イオン選択透過性陽陰イオン交換膜かん水の想定組成液を大気圧沸点で任意の段階にまで蒸発濃縮した後, 70゜, 45゜, 25℃ で平衡させ比重, 液組成, 析出塩類について次の結果をえた.
1) 沸点, 比重はかん水kg当りの蒸発量700g以上で急激に上昇するが, 組成塩類のうち塩化マグネシウムが最大の影響を与えるものと思われる.沸点, 比重は塩素量に対してほぼ直線関係にあり, 濃縮の尺度として使用することが可能である.
2) 塩化ナトリウムの析出量は蒸発量に対して直線的に増大し, 温度による析出量の差は蒸発量が大になるほど小となる.
3) 硫酸カルシウムは塩化ナトリウムとほぼ同じ濃縮域で析出する. イオンかん水中の硫酸カルシウム濃度が0.1%程度の場合には, 塩化ナトリウム析出開始後に析出し始め, スケールとして付着する恐れは少ないと思われる.
4) 塩化カリウムは塩化ナトリウム, 硫酸カルシウムよりはるかに進んだ濃縮域で析出し, 25℃ においても塩化ナトリウムが95%以上析出後, 析出を開始するので通常の採塩の場合, 塩化カリウムが混入する恐れはないものと考えられる.
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