日本海水学会誌
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28 巻, 5 号
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  • 蒸発法海水淡水化における原料海水中の汚濁物質の影響 (第2報)
    遣沢 哲夫, 白田 利勝, 大久保 悌二, 清水 和雄
    1975 年 28 巻 5 号 p. 321-326
    発行日: 1975年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    蒸発法による海水淡水化を行なう場合に, 海水中の汚濁物質が生成淡水の水質に与える影響を調べるため, 有機汚濁物質としてフェノール類につき, フラスコ蒸留試験と蒸発法海水淡水化プラントへの添加試験を行なった. フェノール類は水蒸気とともに揮発して, 蒸留水中に混入する. フラスコ蒸留試験の結果, その留出率は原液のpHの影響はほとんど受けないが, 塩分濃度が高いほど留出率が増大する.プラント添加試験の場合, 加えたフェノール類の70~90%が生成淡水中に移行し, 淡水中のフェノール濃度は原海水への添加濃度の1. 5~2倍に達する. また4種類のフェノール類の留出率はフラスコ蒸留試験, プラント添加試験ともにフェノール, m-クレゾール,o-クレゾール, チモールの順に増加する.
  • 本山 正夫, 門田 稔, 岡 俊平
    1975 年 28 巻 5 号 p. 327-333
    発行日: 1975年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    イオン交換膜にがりの有価成分を分離採取する処理工程を相律的に解析するに必要な基礎資料として, NaCl-KCl-MgCl2-CaCl2-H2O系5成分系とその低次系の0℃ の溶解度を恒温法で測定し, 得られた結果と既存の文献値とから相平衡状態図を作成, 検討し, 次の結果を得た.
    1)NaCl-KCl-MgCl2-H2O系から析出する結晶は塩化ナトリウム, 塩化カリウム,ビショファイト, カーナライトの4種で, Janeckeの図法で描いた状態図(g/100g塩類)の塩化カリウム晶出領域は三角座標の68.87%, 塩化ナトリウム領域は30.46%をそれぞれ占める.
    2)NaCl-MgCl2-CaCl2-H2O系から析出する結晶は塩化ナトリウム, ビショファイト, 塩化カルシウム・6水塩の3種で, 塩化ナトリウム領域は状態図の99.08%を占める.
    3)NaCl-KCl-MgCl2-CaCl2-H2O系から析出する結晶は,塩化ナトリウム,塩化カリウム,ビショファイト,塩化カルシウム・6水塩,カーナライトの5種で,塩化ナトリウム飽和のJaneckeの状態図(g/100g(KCl+MgCl2+CaCl2))では塩化カリウムと塩化ナトリウムの同時析出領域は86.83%,カーナライトと塩化ナトリウムの領域は10.80%をそれぞれ占める.
    4)イ-オン交換膜にがりを冷却処理して, 塩化カリを単塩として分離採取する場合, 塩化カリウムの収率だけに関しては, 低温で処理したほうが有利なことを推論した.
  • Application to Fluorilnetric Determination of Uranium in Sea Water
    Shiro GOHDA
    1975 年 28 巻 5 号 p. 334-341
    発行日: 1975年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    Micro amount of uranium was determined by fluorimetric method using alkali carbonate fluoride fusion. The effect of various alkali carbonate fusing fluxes on the fluorescence intensity were investigated. The recommended procedure was as follows. One ml of sample solution was gently evaporated in a 10ml platinum crucible. To the dried residue, 1.00g of fusing flux (NaF-Na2CO3-K2CO3 1: 4.5: 4.5 or NaF-Na2CO3-K2CO3-LiF 3: 3.5: 3.5: 0.2) was added and the mixture was fused for a desired period (20 min) in an electric furnace kept at a required temperature (600-690°C). After fusing the bead was crushed to fine powder, packed in a sample dish (3 mm depth×17 mm in diameter) for fluorescence measurement, and then fixed with a quartz plate (1mm thick), to obtain a flat surface. The sample was excited with mercury line at 365nm and fluorescence intensity was measured at 558nm, using a uranine solution as the reference standard. By the present procedure, more than 0.005μg of uranium in 1g of flux could be determined within the error of ±1%. The procedure was applied to the determination of uranium in sea water, after uranium was separated and concentrated by the solvent extraction as uranyl oxinate. The uranium content in sea water was estimated to be 3.16±0.04 μgU/liter.
  • 蒸発法海水淡水化における原料海水中の汚濁物質の影響 (第3報)
    遣沢 哲夫, 大久保 悌二, 栂野 秀夫
    1975 年 28 巻 5 号 p. 342-346
    発行日: 1975年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    汚染物質としてアンモニウムイオンを含む海水により, 蒸発法による淡水化を行なった場合, アンモニアの存在にこよって装置金属への影響および腐食による金属イオンの生成淡水への混入に対する影響が考えられる. これを調べるため3,000m3/日多段フラヅシュ蒸発法海水淡水化プラントの原料海水にアンモニウムイオンを塩化アンモニウムとして添加して, 生成淡水および排出ブライン中の金属イオン濃度の変化を調べた.
    生成淡水中の鉄, 銅および亜鉛の濃度はアンモニウムイオン濃度の比較的低い場合は, 全般的に減少する傾向がみられるが, これはpHの上昇による影響と考えられる. アンモニウムイオン濃度が高くなると, 銅イオンは明らかに濃度が上昇する. 鉄は濃度の減少が続くが, バラツキがやや大きくなる.亜鉛は銅の場合と定性的には似た傾向を示すが, バラツキの大きいのが特徴である.
    排出プライン中の鉄および銅の濃度は循環ブライン中のアンモニウムイオン濃度の増加とともに上昇する.
    以上により海水中に存在するアンモニウムイオンは伝熱管材料金属の生成淡水への溶出を促進し, 蒸発缶体の腐食をも促進することがみとめられた.
  • 本山 正夫, 門田 稔, 岡 俊平
    1975 年 28 巻 5 号 p. 347-352
    発行日: 1975年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    イオン交換膜かん水の濃縮過程を検討するため, 3成分系の溶解平衡の測定値からNaCl-KCl-MgCl2-CaCl2-H2O系5成分系の塩化ナトリウム晶出領域の塩濃度を推算する近似式を導き, 次の結果を得た.
    1) 0℃ から100℃ の任意の温度に対する5成分系の塩化ナトリウムの溶解度および他の成分の濃度を推算する近似式を導いた.
    2) 近似式から算出した塩化カリウム, 塩化マグネシウム, 塩化カルシウムの濃度は±0.05wt%の誤差内で実測値と一致した. 塩化ナトリウムの計算値は一般に共存成分の濃度すなわちnの値が大きくなると実測値との誤差も大きくなる. しかし本実験の範囲内すなわちn<0.25mol/100g溶液の場合, 相対誤差 (R.D.) は±4.5%以内であった.
    3) 松尾らのイオン交換膜かん水の濃縮過程の測定値と計算値とは比較的よく一致し, 組成の異なる他のイオン交換膜かん水の濃縮過程の検討にも, 近似式が利用できることを推論した.
  • 海水中の汚染物質の気液平衡関係 (第1報)
    白田 利勝
    1975 年 28 巻 5 号 p. 353-359
    発行日: 1975年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    アンモニア-水系の気液平衡関係をpH4~pH10, 蒸留水, 海水, 2倍濃縮海水の塩分濃度, 360mmHg~2atmの種々の条件下で測定した.
    その結果アンモニア-水系の気液平衡比は, 溶液のpHに非常に大きな影響を受け, また塩分濃度が大きくなると気液平衡比は小さくなり, 系圧力が高くなるとそれにつれ大きくなる傾向がとらえられた. これら三つの実験パラメーターの中では, とくに溶液のpHの影響が大きかったが, これはpHがアンモニアとアンモニウムイオンの化学平衡に直接関与しているためであろう.
    気液平衡関係のデータの健全性を確かめるため, アンモニア-水系の単蒸留実験を有なった. 結果は気液平衡関係の場合とまったく同様の傾向がとらえられ, データの健全性が確かめられたものと思われる. これらの基礎データをもとにこして, 海水淡水化装置内でのアンモニアの分布を推測すれば, 生成淡水への-アンモニア濃縮の防止対策がたてられるであろう.
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