イオン交換膜にがりの有価成分を分離採取する処理工程を相律的に解析するに必要な基礎資料として, NaCl-KCl-MgCl
2-CaCl
2-H
2O系5成分系とその低次系の0℃ の溶解度を恒温法で測定し, 得られた結果と既存の文献値とから相平衡状態図を作成, 検討し, 次の結果を得た.
1)NaCl-KCl-MgCl
2-H
2O系から析出する結晶は塩化ナトリウム, 塩化カリウム,ビショファイト, カーナライトの4種で, Janeckeの図法で描いた状態図(g/100g塩類)の塩化カリウム晶出領域は三角座標の68.87%, 塩化ナトリウム領域は30.46%をそれぞれ占める.
2)NaCl-MgCl
2-CaCl
2-H
2O系から析出する結晶は塩化ナトリウム, ビショファイト, 塩化カルシウム・6水塩の3種で, 塩化ナトリウム領域は状態図の99.08%を占める.
3)NaCl-KCl-MgCl
2-CaCl
2-H
2O系から析出する結晶は,塩化ナトリウム,塩化カリウム,ビショファイト,塩化カルシウム・6水塩,カーナライトの5種で,塩化ナトリウム飽和のJaneckeの状態図(g/100g(KCl+MgCl
2+CaCl
2))では塩化カリウムと塩化ナトリウムの同時析出領域は86.83%,カーナライトと塩化ナトリウムの領域は10.80%をそれぞれ占める.
4)イ-オン交換膜にがりを冷却処理して, 塩化カリを単塩として分離採取する場合, 塩化カリウムの収率だけに関しては, 低温で処理したほうが有利なことを推論した.
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