日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
14 巻, 8 号
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  • 桑原 穆夫, 西条 了康
    1967 年 14 巻 8 号 p. 327-332
    発行日: 1967/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    レッグカット紅茶の製造に関して品質の面と内容成分の面から研究して,つぎのようなことが考察された。
    (1) レッグカット紅茶(LCT)製造時の萎凋の効果についてみると,無萎凋葉は発酵速度を早くし,水色を明るくした。しかしわずかな萎凋(重量減9~13%)により品質の向上がみられた。また萎凋でカフェインが増加することが観察された。
    (2) 最適発酵条件に関する試験では,発酵室温度が20, 25, 30℃の間では品質への影響はほとんど認められなかった。最適発酵時間は30分の揉ねん後20℃のとき,60, 90分,25℃および30℃のときには40分であった。
    このときの(-)エピカテキンガレートの残存率は20~30%であった。
    (3) 普通紅茶とLCTのポリフェノール類を比較して,LCTでは未酸化のポリフェノール((-)エピカテキンとそのガレート,(-)エピガロカテキンとそのガレート)がいずれも少なく,テアフラビンの多いことを確認した。
  • 精粉水溶液の流動性
    沖増 哲, 岸田 典子
    1967 年 14 巻 8 号 p. 333-337
    発行日: 1967/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    コンニャク精粉のもっとも重要な性質は,水溶液のレオロジー的性状であるので,その本質的な性状を,島津製作所製ユニバーサルレオメーターUR-I型で吟味し,つぎの諸点を明らかにした。
    (1) 低濃度溶液は非ニュートン粘性流動を示すが,濃度約0.8%をこえる比較的高濃度溶液は非ビンガム塑性流動を示し,降伏値が認められる。しかし,精粉の種類による流動曲線の本質的な差異は,認められない。
    (2) 見かけの粘度η'の濃度依存性は,ふつうの高分子物質と比べて小さいが,傾向はよく一致している。
    (3) η'と降伏値Syとの関係は,η'D-200=a+1/200 Syで表わされる。
    (4) η'と測定温度との関係は,近似的に,ANDRADE式に従う。
    (5) 精粉の種類,濃度,測定温度および降伏値の有無・大小に関係なく,水溶液の流動性は,S=kDnで表わされるN乗則によく従う。
    (6) 水溶液の流動性は,粘性指数k,流動指数nおよび降伏値により,数量的に表現される。
    (7) 各種精粉の流動性を特徴づけるには,濃度約1%の溶液で測定されるのが適当である。
  • 精粉の優劣判定方法
    沖増 哲, 岸田 典子
    1967 年 14 巻 8 号 p. 338-344
    発行日: 1967/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    B型粘度計の精粉の優劣判定への適用性について検討し,あわせて精粉の一般成分および溶解状況について吟味し,つぎの結果を得た。
    (1) 精粉の一般成分を見ると,一般に,良い精粉は,悪いものに比べ,糖質つまりグルコマンナンに富み,反面,灰分やチッ素が少ない傾向が認められる。
    (2) 溶解速度つまり最高粘度に達する時間は,精粉によって異なり,良いものは,悪いものに比べて長く,また,古いものは,新らしものに比べて長い傾向が認められる。
    (3) 精粉の優劣は,水溶液の流動性を,B型粘度計で検討することによって,判定できる。すなわち,B型粘度計によって,約1%溶液の見かけのずり応力とずり速度を求め,それらの値をプロットして描かれる流動曲線,N乗則およびRABINOWITCH-FERRYの式への適合性を吟味することにより,η', k, nおよび降伏値などを数量的に表現でき,客観的な取扱かいができる。
    (4) η', kおよび降伏値は,よい精粉が大きく,nは逆に悪い精粉が大きい。
    (5) 実用的観点から,1%溶液のη'とη'=100を与える溶液濃度との関係を求めたところ,つぎの関係が得られた。
    η'=102.4C-3.40
    (6) η'と測定温度との関係は,ANDRADEの式に従う。
  • 精粉のチッ素成分
    近藤 義和, 冲増 哲
    1967 年 14 巻 8 号 p. 345-347
    発行日: 1967/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    中等度の品質の精粉について,その水溶液をアルカリ(カセイソーダまたは消石灰)処理してグルコマンナンを不溶性にする方法および50%エチルアルコールで分画する方法によって,精粉を不溶性画分と可溶性画分とに分け,各画分について分析し,つぎの結果が得られた。
    (1) 精粉のチッ素成分の大部分は,吸着あるいは混在によるもので,グルコマンナンに結合して存在する部分があるとしても,きわめてわずかである。これは,リン酸についてもほぼ同様である。
    (2) 精粉のチッ素成分のうち,20~26%がアミノ酸およびアンモニアとして定量された。可溶性画分には,高分子たん白質は検出されず,アミノ酸および低級ペプチドから成ることが認められた。
    (3) 可溶性画分のアミノ酸分析によると,セリン,アスパラギン酸,アラニン,グルタミン酸が多く,メチオニン,シスチン,チロシンは検出されなかった。また,酸加水分解に安定な5種の不明ニンヒドリン陽性物質が検出され。
  • 果実の低温障害に伴う生理化学的変化(その3)
    邨田 卓夫, 小机 信行, 緒方 邦安
    1967 年 14 巻 8 号 p. 348-353
    発行日: 1967/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    台中産の緑熟バナナ(Musa sapientum L., Sin-zun)を6℃に貯蔵し4, 9, 15日後に20℃に変温し低温障害の発生に伴う果実の呼吸,エチレン生成量の変化,果皮組織の代謝系路の異常,α-ケト酸の消長について観察し,さらに組織学的にも検討を加えた。
    (1) 6℃に4日間貯蔵した果実は,20℃に変温後少しパターンがくずれるが呼吸のclimacteric riseの現象を示し,果実も追熟して可食状態になった。これに対し6℃に9日,15日貯蔵した果実は20℃に変温しても呼吸のcl. riseのパターンを示さず果肉も極度に軟化して品質が劣化した。
    (2) 果実のエチレン生成と呼吸との間には密接な関係が認められ,呼吸のcl. riseの現象がみられた対照区および6℃-4日の果実ではエチレン生成も呼吸の場合と相似た変化を示したが,呼吸のパターンがくずれた6℃-9日,15日の果実はエチレン生成のパターンもくずれた。
    (3) 症状が比較的軽い低温障害果の果皮組織でoxalacetic acid+acetyl CoA→citric acidの反応が阻害されていることが認められ,succinic acid→malicacidの反応はこの段階の障害では阻害されないことが認められた。
    (4) 果皮のα-ケトグルタル酸含量は低温貯蔵中(6℃)でも幾分増加するが,果実を20℃に変温後4~6日で急激に増大する。このα-ケトグルタル酸の変後の増加現象は6℃-9日,15日の果実で著しい。
    (5) 低温障害果の果皮組織の導管の部分に赤褐色の物質が蓄積する現象が認められ,その数は病勢の進展とともに増大する。
  • 温州ミカンの品質評価の一方法
    樽谷 隆之, 北川 博敏, 真部 正敏, 中川 勝也
    1967 年 14 巻 8 号 p. 354-358
    発行日: 1967/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    温州ミカンの品質を評価する場合,生食用ではとくに味がよく,個体差の少ない果実であることが大切である。その味は均一性を判定する方法として,個体別区画糖酸図の作成に関し検討した。
    (1) 多量の個体の糖含量を知るためには,糖用屈折計によるのがもっとも簡便で実際的である。そこで温州ミカンの果実の成熟中および貯蔵中における,屈折計示度と成分との関係について調べた。その結果,屈折計示度,全糖,滴定酸の関係は全期間を通じ比較的単純な動きを示すことがわかった。
    (2) そこで屈折計示度と滴定酸量の両値から,定量の繁雑な全糖量を計算により求めることを検討し,次のごとき簡単な計算式で,実用的にさしつかえない全糖の近似値が得られるものと考えた。
    (屈折計示度%-滴定酸%)×0.9≒全糖%
    (3) 以上の諸成績を基にして,温州ミカンの個体別区画糖酸図を作成した結果,それが果実の特性をより的確に把握する上の貴重な資料となり,商品化の指針として有効な働きを持つものであることを明らかにした。
  • 工場実験
    三好 英晁
    1967 年 14 巻 8 号 p. 359-361
    発行日: 1967/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    キウリ,大根を用いて,核酸関連呈味物質を漬物へ利用する方法として,塩蔵品の酸液浸漬,調味液のpH,包装後の加熱殺菌について工場実験を行なった。その結果,
    (1) 加熱殺菌の効果がもっとも強く,次いで酸液浸漬時のpH,製品pHの順位で残存率に影響する。
    (2) 酸液浸漬はpH 2.1以上が歯切れの点からも望ましく,浸漬時間を18~23時間とし,包装後80℃達温20分間の加熱併用を行なうと,製品pHによっても異なるが,総平均で,室温において,35日目78.6%, 76日目70.9%の残存率となった。
  • 長沢 善雄
    1967 年 14 巻 8 号 p. 362-371
    発行日: 1967/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 14 巻 8 号 p. 372-377
    発行日: 1967/08/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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