1970年代の後半より登場してきたディジタルビデオ特殊効果装は, 近年急速な進歩をみるコンピュータグラフィック技術, LSIμプロセサ, メモリ技術をベースにその進転は目を見張るものがあります。ADO(アンペックスディジタルオプティックス)は, その最先端を行く第3世代の製品となっています。本報告はADOの基本動作原理, 特殊効果の種類, 編集機/スイッチャ等との外部インターフェース, マルチチャンネルシステムを含むシステムの構成例を中心に解説を行います。ADOの最大の特徴は, 2次元のビデオ画像に対し, 従来はフィルムオプティクスでしか行い得なかった3次元の画像処理をリアルタイムで, 且つ画質の劣化なく行っています。それは従来の製品には見られなかった, X, Y軸方向の回転のみならず, Z軸方向の回転, 更にパースペクティブと呼ぶ遠近画作法, あるいはスキュー効果を実現しています。勿論, 従来からこの種の製品として一般的に行われている。X, Y軸方向の拡大, 縮小, 移動, ズーミング効果が可能となっています。更に目を見張るべきは, 移動あるいは回転を施した場合の画像の動きが非常に滑らかであり, 画質の変化, 劣化は全く感じられません。これ等の性能を支える為に, ディジィタルプロセサの中に16ビットμプロセサ(Z8000シリーズ)が使用され, 数学的に変化するフィルタ及び補間回路と画像メモリのリードライト制御回路に対する制御が行われています。制御ソフトウェアにはCコンパィラが使用され, 処理スピードとソフト開発のスピードアップがはかられております。ディジタルプロセサの中にはコントロールパネルから来る制御コマンドを画像処理の制御パラメータに変換する為にやはりZ8000が使用されています。コントロールパネルの中にはZ80が使用され, オペレータに作るコントロールパネル操作をRS422のシリアルラインで送り出すと共に, イフェクトメモリの制御, CRTディスプレーの制御を行っています。この様に目的に合った必要な数, 種類のμプロセサを分取処理形式で使用し, 高速且つ自由度の高いシステムを実現しています。他方, ディジィタルフィルタ及び補間回路はCADに基づき設計され, 最適化が行われている為。f特, レベル変化, 映像移動時のガタツキが全く見えず, 最高の画質を確保が出来ております。
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