神経回路網を用いたバターン認識において, どのような構造の神経回路網を用いるかを決定することが非常に困難である.どのような構造の神経回路網を用いても, ある程度の認識率を得ることが可能であるが, 認識率や学習効率において, 与えられた学習課題に対し最適な構造の神経回路網を解析的に決定することは困難である.そこで, 本論文では, 階層型神経回路網の構造決定と学習を同時に行う手法について提案する.提案手法においては, 一つの神経回路網を一つの個体であるとみなし, 神経回路網の構造が同じ個体を同一の種であると定義する.神経回路網は, 学習を行いながら, 同一種内で与えられた学習課題に対する認識率を評価基準として淘汰, 増殖を行う.構造が異なる神経回路網, つまり異種間においては, 認識率を評価基準として, 種内の個体数を増減させる.また, 優秀な種は自分と構造がわずがに異なる新しい種を生成する進化規則を定義することで, 様々な新しい構造を持つ神経回路網を生成する.本論文では, 手書き片仮名を認識する神経回路網の学習, 構造決定を行う実験を行い, 手書き片仮名に適した構造の神経回路網を得ることができた.
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