本報告は, ディジタル画像データを変換符号化する場合の, 演算処理の簡略化について述べている.画像データの高精細化により, 処理対象となる画素数が増加するため, 符号化処理に多くの時間がかかってしまう.これに対し, 符号化演算における乗算器係数(具体的には離散コサイン変換の基底係数)の値を, 出来るだけ少ないビット数で表現することで, 処理が簡略化され, 演算時間が短縮できる.但し, このビット数低減により, 再生画像の画質が更に劣化してはならないという制約条件を考慮する.本報告では, こうした条件の下で, ビット数の低減が可能であることを示す.また, MPEGやJPEGなどの具体的な符号化例における, ビット数低減の限界値を明らかにする.これにより, 再生画像の画質劣化を増加させずに, 乗算器係数のビット数が低減できるため, 符号化装置のハードウェアの簡略化が可能となる.
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