社会学評論
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40 巻, 1 号
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  • --主体性への回帰を求めて--
    北澤 裕
    1989 年 40 巻 1 号 p. 2-16,115
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    ガーフィンケルは行為を捉える場合、行為の「反映的関係」と行為者の「判断作業」という概念を用いる。本稿では、この両概念を検討することで、エスノメソドロジーの主張の核心は何かを明らかにする。行為が反映的関係に置かれている限り、ある行為はそれに特有の「個別性」によってだけしか規定することはできない。従来の理論のように、行為の「社会規範」への順応を説くだけでは、画一化された社会をもたらすにとどまり、社会の成員を「判断力を奪われた者」として扱うはめになる。一方、ガーフィンケルは、行為者自らが、行為や出来事の個別性にもとづき、そのつど下す独自の判断が行為と社会に活力と多様性とを与えると捉える。この視点に立つならば、エスノメソドロジーとは、社会学理論の中で失われつつある行為者の「自主性」や「主体性」の復権を要求し、社会システム論により疎外されてしまった主意主義の回復を迫るものであるということができる。
  • --資本・賃労働の国際化との関連で--
    山田 信行
    1989 年 40 巻 1 号 p. 17-30,115
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    昨今の労働問題研究には、総体的・理論的に労働者の存在と意識とを把握することが求められている。さらに、総体的な分析を行う際には、資本・賃労働の国際化という事態がふまえられる必要がある。先進国の大企業の多くは多国籍企業として展開し、先進国の労働者の一部は、途上国からの移民労働者によって占められているからである。本稿では、労使関係概念を整備することによって、それを総体的な理論枠組とし、世界システム論と節合理論とを総合することによって、国際化の影響を分析するための理論枠組とする。この理論枠組によって、資本・賃労働の国際化が労使関係の議論へと置き換えられ、その影響が把握される。資本・賃労働の国際化は、労働者に対する雇主の「巻き返し」のあらわれである。生産様式の節合を媒介にした、その効果は、中核と周辺の労資関係を連動させ、労使関係を雇主サイドへと変動させることであり、それらが抽象的な水準で把握される。
  • --アルコール症の場合--
    清水 新二
    1989 年 40 巻 1 号 p. 31-45,114
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
    精神障害者に対する人々の態度を規定する要因には、大別して二つの要因があげられる。第一のカテゴリーは、当人の行動障害の程度や精神病院への入院の有無等、本人の疾病行動にも関わる要因であり、第二のカテゴリーは態度表明する側に関するものである。臨床や援助活動の現場への社会学的フィードバックを強く意識する本稿では、アルコール症の場合をとりあげつつ、第二のカテゴリーとして、アルコール症に関する人々の知識、アルコール症者との接触経験、実際に認知しているアルコール症者との間柄をとりあげた。そして知識仮説、接触仮説、間柄仮説の三つが作業仮説として定立され、それぞれについて調査データにもとづく検討が加えられた。他方人々の態度にも仮定上の態度と実際上の態度の二つのレベルが指摘でき、本稿でもこの二つのレベルを区別した上で、上述の作業仮説の検証を試みた。
    その結果、一般論的な態度では知識仮説と間柄仮説に支持的傾向を示すデータが得られたものの、接触仮説は棄却された。実際上の態度でも間柄仮説に支持的データが得られたが、知識仮説では正確な知識の保有が確実に受容的態度を導くとはいい難く、他方で拒絶的態度を増加させさえするという、部分的棄却と部分的反証の傾向を示した。
    最後に、知識の正確さやごく親しい間柄が逆に拒絶的態度をもたらすことについて考察が加えられ、また精神障害者に対して人々の示す態度の複雑さについても整理がなされた。
  • --グールドナーからハーバーマス、フーコーへ--
    宮原 浩二郎
    1989 年 40 巻 1 号 p. 46-59,114
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    一九七〇年代に注目を浴びた「社会学の社会学」は、社会的世界に関する知の獲得における社会学の役割について深刻な懐疑をもたらすとともに、「イデオロギー」や「知識人」の概念の根本的な見直しを促した。本稿は、「社会学の社会学」を代表した論者であるA・W・グールドナーの知識社会学と知識人論を手がかりとして、ハーバーマスとフーコーに代表されるような「イデオロギー」と「知識人」をめぐる議論の今日的状況に接近してみたい。グールドナーによる社会理論のリフレクシヴィティー (自己回帰性) の研究は、マンハイム流の「存在被拘束性」の理論の徹底化という経路を通って、社会理論におけるイデオロギー性の遍在と知識人の階級性を主題化した。それは、「イデオロギー」概念を、コミュニケーション合理性を鍵概念として再構築する試み (ハーバーマス) と、「真理」概念の実定化を通じて脱構築する試み (フーコー) という、二つの対照的な方向の分水嶺に位置する立場をよく示している。グールドナーの「リフレクシヴ・プロジェクト」を「補助線」として導入することで、「イデオロギー」と「知識人」をめぐる現段階での様々な議論の問題点が浮き彫りになると思われる。
  • 秋元 律郎, 坂田 正顕
    1989 年 40 巻 1 号 p. 60-71
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • --コミュニケーションと社会心理学の理論--
    御堂岡 潔
    1989 年 40 巻 1 号 p. 72-73
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • 黒柳 晴夫
    1989 年 40 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • 藤田 弘人
    1989 年 40 巻 1 号 p. 79-81
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 正仁
    1989 年 40 巻 1 号 p. 81-83
    発行日: 1989/06/30
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
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