日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
27 巻, 10 号
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  • 加藤 司郎, 石間 紀男
    1980 年 27 巻 10 号 p. 473-478
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    袋詰たくあんに添加された4種類の調味資材(L-グルタミン酸ナトリウム, DL-アラニン,クエン酸,乳酸)の匂い,味,色に対する効果を,甘味料として砂糖8%,食塩分5%として, 3n型直交表を用いて量的検討をおこなったところ次の結果を得た。
    (1) 匂いについて,クエン酸0.025%,乳酸0.2%を同時に添加したものは他のものより高く評価された。
    (2) 味について, L-グルタミン酸ナトリウム0.1%あるいは0.2%添加したものは, 0.4%添加したものより高く評価された。また,クエン酸0.05%,乳酸0.2%を同時に添加したものは,他のものより低く評価された。
    (3) 色について, L-グルタミン酸ナトリウム0.2%,DL-アラニン0,05%を同時に添加したものが,それぞれのアミノ酸を(0.4%, 0.5%)または(0.1%, 0.05%)添加したものより高く評価された。クエン酸0,05%,乳酸0.05%添加したものの評価は他のものに比べて低かった。上記のL-グルタミン酸ナトリウムとDL-アラニンの交互作用は曲線関係にあることが3n型計画を用いることによって確認された。
  • 岸原 士郎, 藤井 聡, 河本 正彦
    1980 年 27 巻 10 号 p. 479-482
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    カラメル中の高分子色素と結合しているイミダゾール化合物を遊離させるために添加した硫酸または水酸化ナトリウムによる溶液のpH変化が限外濾過性に及ぼす影響について調べた。透過流束はpH3-12においてはpH変化に影響されず, pH3以下またはpH12以上においては徐々に減少した。色素の阻止率はpH約2.5~7においてはほとんど変化しなかったが, pH約2.5以下においては徐々に増加し,アルカリ性下においては徐々に減少した。とくに,高pHにおいて,阻止率は大きく低下した。これらのことから,結合性イミダゾール化合物の遊離には,必要最少量の硫酸の添加が望ましいことがわかった。
  • 藤田 明男, 渡辺 康久, 岸 圭一, 小川 玄吾, 吉崎 朋三
    1980 年 27 巻 10 号 p. 483-488
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    従来エキストルーダー処理によるN性除去は不可能であるとされていたが,大豆・小麦の混合物を用いて同時処理を行ない, N性の無い加工原料の製法を検討するとともに,製麹,試験醸造を行なった。
    (1) エクストルーダーにて同時処理を行ない原料蛋白質のN性を除去するためには,処理時水分を30~40%,脱脂加工大豆の粒度を50メッシュ篩下とすることが必須の条件であり,その他に供給量,ダイの種類等を選択する必要があった。
    (2) 加工原料を用いて製麹するに際し,盛込水分含量は40%が最適であった。また製麹作業性が著しく良く,プロティナーゼが極めて高い麹が得られた。
    (3) 消化試験,仕込試験における諸味は従来法に比べ窒素,糖の溶出量が大巾に増大し,原料蛋白,澱粉の利用率向上が認められた。
  • 佐々木 堯, 林 純子, 石田 信昭, 貝沼 圭二
    1980 年 27 巻 10 号 p. 489-497
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    甘藷デンプン粒は, 20℃, 5M尿素で膨潤および溶解が始まり,尿素濃度が高くなるにつれて,膨潤およびデンプンの溶解度が増大した。 10M尿素では約13%のデンプンが可溶化された。
    尿素処理したデンプンのプルラナーゼによる分解可溶化は,デンプンの尿素変性度合と相関関係は認められず,あるレベル以上の変性を受けると急速に進行した。10M尿素処理デンプンのプルラナーゼ処理で,約67%のデンプンが可溶化された。
    10M尿素-プルラナーゼ処理にも抵抗性のデンプンは約20%であった。
    デンプン粒は尿素により構造上の変性を受け, 7M以上の尿素で2~3倍に急速に膨潤した。膨潤デンプンはヨウ素により内層部は青色に,外層部は紫褐色になり,洗浄すると内層部のデンプンが溶出して,袋状の外層部からなるものに分画された。
    この袋状デンプンのプルラナーゼ処理により,デンプン粒の表層と考えられる殼が残査として得られた。
  • 南出 隆久, 鶴田 誠, 緒方 邦安
    1980 年 27 巻 10 号 p. 498-504
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    わが国で最も多く生産され,生食用としての利用が伸びてきているシイタケの収穫後の鮮度保持をはかるため,包装方法や高濃度炭酸ガス(CO2)短期間処理の効果について検討した。
    1) シイタケを貯蔵する場合,ヒダを上向きにしたものが,下向きのものよりヒダの外観が良かった。遊離アミノ酸含量はヒダを上向きに貯蔵したもので増加した。
    2) シイタケはヒダを上向けにして厚さ30μのポリエチレンフィルム袋に非密封包装し, 1°, 6, 15°,20℃の各貯蔵温度下における品質保持期間について調べた。 1℃では, 18日, 6℃では14日, 15℃では7日, 20℃では4日で商品性限界となった。また,貯蔵温度の変動が少ないほど鮮度が保持された。
    3) ポリエチレンフィルムの厚さ(20μ~80μ)や,有孔・無孔および密封・非密封包装などによる鮮度におよぼす影響について検討した。使用するフィルムは厚い方(80μ)が良く,無孔包装することでかっ変発生を抑え,鮮度が保持された。また,CO2置換密封包装が一層の品質保持効果のあることを認めた。
    4) 室温(20℃)貯蔵する場合は,高濃度CO2処理を1日することで鮮度保持ができることを認めた。
  • 南出 隆久, 西川 哲夫, 緒方 邦安
    1980 年 27 巻 10 号 p. 505-510
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    シイタケのCA貯蔵による鮮度保持をはかるための最適ガス条件を調べた。
    1) 02濃度を2%以下にするとPPO活性や遊離アミノ酸含量の増加を抑えた。
    2) CO2は濃度に関係なくPPO活性や遊離アミノ酸含量の増加を抑制したが,貯蔵数日後から発酵臭が生じ,異臭を呈した。異臭の程度や発生時期は,濃度が高いほど強く,また早く現われた。100% CO2ではエタノール以外にホルムアルデヒドが検出された。
    3) 異臭は貯蔵解除後6時間程度空気中に放置することで消失し,シイタケはヒダのかっ変も抑えられ,鮮度保持効果があった。
    4) 以上の結果から,シイタケの最適ガス条件は,CO2濃度が40%, O2濃度が1~2%であり,普通貯蔵のものに比べ, 20℃では約4倍(8日程度)鮮度保持できることがわかった。
  • 吉岡 博人, 上田 悦範, 茶珍 和雄
    1980 年 27 巻 10 号 p. 511-516
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    40℃下でのバナナ果実の追熟阻止の原因を追熟に伴い増加するといわれている酸性ホスファターゼ(A-Pase)活性の変化から追求した。
    1) 緑熟バナナ果実を20℃におくとある一定期間後A-Pase活性が増加し追熟した。一方40℃では徐々に活性が低下し,追熟しなかった。しかし短期間(1日以内)40℃処理した緑熟バナナ果実は20℃にもどすと, A-Pase活性の増加および追熟開始までの期間が短縮された。
    2) 40℃においた緑熟バナナ果実を20℃にもどし,エチレンで24hr追熟処理した場合, 40℃処理期間が3日以内であればA-Pase活性の増加がみられ追熟したが,5日以上になると活性の増加はみられず,追熟しなかった。
    3) 20℃ではエチレン処理は緑熟果の追熟開始を促進したが, 40℃でエチレン処理したバナナ果実を20℃で貯蔵しても追熟開始を早めることはなかった。
    4) 緑熟バナナ果実のA-Paseには6つのアイソザイムが検出され, 20℃で追熟した場合追熟につれて中性付近に等電点をもつA-Paseアイソザイムの活性が著しく増加し,また新たに3つのアイソザイムが検出された。しかし40℃では緑熟果に検出されたアイソザイム活性は低下し,新たなアイソザイムの出現もみられなかった。バナナ果実のA-Paseは40℃でも比較的熱安定性のあることが認められた。
    5) 以上の結果からバナナ果実は40℃下で追熟開始までのageは進行するがその後の過程の進行は阻害されているものと思われる。その原因はA-Paseの挙動からみられるように,追熟につれて活性が増加する酵素の合成過程が阻害されるためと考えられる。
  • 楠瀬 博三, 沢村 正義
    1980 年 27 巻 10 号 p. 517-521
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    スミカン,ナオシチ及びユズの精油成分についてガスクロマトグラフィー及びGC-MSにより分析を行った。同定された成分のうち,炭化水素と含酸素化合物の面積百分率はそれぞれ次の通りであった。スミカン:99.3%,0.45%,ナオシチ: 99.4%, 0.49%,ユズ:90.6%,8.74%。スミカン及びオナシチの独得の香りはテルペン系炭化水素が大きく寄与していると考えられた。とくにスミカンの場合,ミルセンが24.3%と著しく多かった。ユズの場合,スミカン,ナオシチに比べ含酸素化合物が多く含まれ,これがユズの特徴的香りに寄与しているものと考えられる。
  • 高野 博幸, 小柳 妙, 田中 康夫
    1980 年 27 巻 10 号 p. 522-528
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    米粉へのα化の有無がライスブレッド製造時の発酵および発酵中の糖の消長に及ぼす影響について検討を行ない,以下の結果を得た。
    1. 米粉20%置換添加した時の無糖生地の発酵において,生米粉を用いると初期発酵が増大し, α化処理米粉を用いると後期発酵つまりマルトース発酵が増大する。
    2. 米粉単独で発酵中における炭酸ガス発生量を測定したところ, α化処理米粉では1.5時間以内に炭酸ガス発生は停止したが,生米粉では長時間炭酸ガス発生が持続された。
    3. 生米粉を135℃4時間加熱して小麦粉に加えた時には,初期発酵の増大は認められなかった。このことから生米粉を添加した際に認められる初期発酵の増大は,米粉中に存在する酵素によって発酵性糖が生成されたためと考えられる。
    4. 加水前および加水後に30℃1時間インキュベーションした時の小麦粉と米粉の糖組成の変化を調べた結果, α化処理米粉には糖組成に変化が認められなかった。生米粉ではインキュベーションによってマルトースが著しく増大し,またグルコースとフラクトースも増加したが,シュクロースは減少した。小麦粉の場合,インキュベーションによってマルトースの顕著な増大が認められた。
    5. 小麦粉に対して米粉を20%置換添加し,同様にして糖の消長を調べた結果, 30℃1時間のインキュベーションによって生米粉添加ではマルトースとグルコースが著しく増加した。一方α化処理米粉添加では,マルトースのみの増大が顕著であった。
    6. 米粉を20%置換添加した無糖生地の発酵中における全糖量の消長は,生米粉添加では小麦粉のみのコントロールとほとんど差が認められなかった。一方α化処理米粉添加では,全糖量は前者の2倍以上となり,長時間にわたって高いレベルが維持された。
    7. 発酵中における糖組成の消長を調べた結果,小麦粉のみの場合,初期発酵の段階でグルコース,フラクトース,シュクロースおよびラフィノースは減少した。マルトースは極めて高含量を示し,発酵後約1.5時間から減少し始めたが,これはマルトース発酵への移行が起ることによるものである。生米粉添加では初期発酵の段階からマルトースが減少したが,これはマルトース発酵によるものではなく, α-グルコシダーゼによる加水分解作用によるものであると考えられ,一方でグルコースの増大が認められた。またα化処理米粉添加では,マルトースが小麦粉のみに比べ2倍以上に増大し,マルトース発酵が長時間にわたって高く維持されたのは,このためであることがわかった。
    8. 以上の結果から,生米粉を添加した時に認められる初期発酵の増大は,生米粉中に存在するα-グルコシダーゼによってマルトースがグルコースに分解されるためであり,一方, α化処理米粉を添加した時に認められる後期発酵つまりマルトース発酵の増大は, α化した米粉中のでん粉が,小麦粉中に存在するβ-アミラーゼの基質となり,マルトースが多量に生成されたためであるといえる。
  • 小野 文夫
    1980 年 27 巻 10 号 p. 529-535
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 27 巻 10 号 p. A47-A52
    発行日: 1980/10/15
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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