高密度面内磁気記録媒体開発において問題となる磁性膜極薄化による保磁力低下の機構を解明するため, 極低温におけるCoCrTa系薄膜媒体の磁気特性を調べた。その結果, (1)熱揺らぎにより保磁力が磁性膜厚80nmで30%, 6nmで60%低下していること, (2)積層欠陥のなどの結晶格子の乱れの影響が磁性膜厚10nm以下で大きいこと, (3)下地Crの磁性膜中ヘの拡散は無視できること等がわかった。高密度面内磁器記録の実現には, 磁性膜成長初期段階の結晶の乱れを除くとともに, 異方性エネルギーが大きく保磁力の高い材料を用いて熱揺らぎを抑える必要があり, 磁気記録媒体の設計には, 従来の指針に加えて, 熱揺らぎによる保磁力低下の影響も考慮する必要がある。
抄録全体を表示