糖尿病患者における骨減少症の頻度と成因を検討する目的で, DEXA法を用い, 女性糖尿病患者69名 (IDDM 14例, NIDDM 55例) の腰椎骨塩量, 全身骨塩量, 全身脂肪量, 除脂肪量を測定し, 骨代謝マーカーとの関連を検討した.
IDDM群でもNIDDM群でも加齢とともに腰椎骨塩量は減少傾向を示したが, 同年代の健常者の腰椎骨塩量の平均値と比較すると (%Age-matched), 低下している群とともに, 正常あるいは増加している群とが認められた. 閉経後のIDDM群に低下傾向がみられた. 健常者の骨塩量の90%未満に骨塩量が減少している割合は, 69例中13例 (18.8%) であった. 腰椎骨塩量と全身骨塩量は正の相関を示し, 腰椎骨塩量減少群では全身骨塩量も減少していた. 腰椎骨塩量減少群では血糖のコントロール状態は不良であったが, 糖尿病の罹病期間, 合併症の有無と骨塩量減少との関連は認められなかった. IDDM群ではNIDDM群に比して, 1,25(OH)
2D, オステオカルシンが低下していた. また, 腰椎骨塩量は尿中ピリジノリン排泄量と負の相関を示した. 腰椎骨塩量は体重と正の相関を示し, 腰椎骨塩量減少群では, Body Mass Index, 体重, 脂肪量, 除脂肪量が骨塩量正常, 増加群に比して有意に低値であった.
従って, IDDMでは閉経後に骨塩量の低下が見られやすいこと, また, 糖尿病患者の骨塩量低下群の特徴として, 血糖コントロールの状態が不良であり, 痩せが見られること, 活性型ビタミンDが低値の傾向を示すことなどがあげられることが判明した.
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