スリランカでのドライゾーンにおける野外調査と一般水質分析及び同位体分析を行い,地下水の水質進化を研究した.次のような結論が得られた.先ず,地下水の一般水質については,メジャーイオンの濃度と電気伝導度は高く,季節変化も大きな傾向が認められた.一方,電気伝導度の増加に対する貢献度は,雨季でも,乾季でも, Na+とCl-が最も大きいことが明らかになった.また,地下水の水質は,塩酸―ナトリウム型で,一般的な地下水水質進化の最終期の段階に対応している.その他,局所的に異常な高濃度の地下水が発見された.これは蒸発による濃縮,風送塩と地形の影響の複合した結果と考えられる.最後に,タンク周辺地域の地下水の水質は,低濃度のタンク水の涵養により地下水の水質の改善が見られた.次に,地下水の安定同位体比については,安定同位体比の空間分布を見ると,雨季においては,同位体的に軽い地下水が,尾根部に集中的に分布していた.また,デルタ図を見ると,地下水は雨量の特に多かった時を除くと,蒸発によって,デルタ図上の勾配とD過剰はいずれも天水線のそれより小さい値を示す.
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