土地利用が異なる流域における浮遊物質の流出特性とその供給源を解明するために,1997年7月~1999年6月にかけて北海道南西部にある貫気別川の河口と中流部,および土地利用状況が異なる3支流域において,流量と浮遊土砂(ウォッシュ・ロード濃度),の測定をそれぞれ行った.貫気別川河口において,融雪ならびに降雨に起因した出水時にウォッシュ・ロード濃度は増加した.貫気別川流域のウォッシュ・ロードの年間流出量は,26,900Mgと推定された.各支流域における1998年7~12月のウォッシュ・ロード流出量は畑地面積率が高い支流域ほど量が多かった.畑地土壌,崖錐堆積物,扇状地堆積物,氾濫原堆積物,OH流域における降雨増水時の総浮遊土砂について,X線回折による鉱物分析を行った結果,総浮遊土砂中には畑地土壌に存在したクリストバライトが含まれていた.以上のことから,貫気別川流域の浮遊土砂の主な供給源は,畑地であることが示唆された.
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