水文・水資源学会誌
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34 巻, 4 号
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巻頭言
原著論文
  • 渡邊 学, 肱岡 靖明, 藤井 実, 中島 謙一
    2021 年 34 巻 4 号 p. 227-242
    発行日: 2021/07/05
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

     気候変動に伴う大雨の増加により河川洪水による被害の悪化が懸念されており,対策が急務である.しかしながら,気候変動に伴う大雨の増加や対策の程度は河川によって異なり,対策の要否,必要な対策の程度などは,河川別に検討が必要である.そのためには,河川別に気候変動の影響を検出し,リスクの変化を把握する必要がある.本研究では,気候変動影響検出のために気候変動以外の人為影響を極力除く形で河川を特定し,水位に対する気候変動影響の有無および洪水リスクの変化を検出する手法を開発した.具体的には,ダムの影響を受けない河川を特定し,都市化の影響を限定するために上流の観測所を対象とし,水文水質データベースを用いて,気候変動に伴う大雨の増加に応答して一層高い水位が記録されているか,年最高水位や洪水が危惧される水位の頻度が増加しているかについて,時系列解析に用いられるMann-Kendall検定によりトレンドを解析した.結果,対象の7河川のうち5つにて気候変動影響により河川水位が上昇し,洪水リスクが拡大傾向にある可能性が示された.また,本手法を用いることで,河川ごとに,気候変動による水位への影響検出が可能となった.

技術・調査報告
  • 玉井 幸治
    2021 年 34 巻 4 号 p. 243-253
    発行日: 2021/07/05
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

     竜ノ口山森林理水試験地南谷流域,釜淵森林理水試験地2号沢流域と3号沢流域における森林衰退による最大・最小日流出量(無雪期)の変化を対照流域法により解析した.3号沢流域では樹木伐採による影響のない期間に比べて,影響のある期間での最大日流出量は平均で約8 mm day-1 程度大きかった.この値は,最大日流出量をもたらす降雨イベントでの雨量が多い場合でも少ない場合でも同程度であると考えられた.南谷流域での山火事やマツ枯れによる事例でも同様であった.最大日流出量の増加は主に,森林樹木が無くなったことによると考えられた.2号沢流域でも伐採による影響のない期間に比べて,影響のある期間での最大日流出量は増加する傾向が認められたが,最大日流出量をもたらす降雨イベントでの雨量が多いほど増加量が多くなると考えられた.2号沢流域では,伐採後に斜面崩壊により流域面積の約2割で裸地化していた.森林樹木が無くなったことによる影響の他に,森林土壌の流亡による影響も加わったことによると考えられた.

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