水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
30 巻 , 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
巻頭言
学会賞受賞記念寄稿
原著論文
  • 田平 由希子, 川崎 昭如
    2017 年 30 巻 1 号 p. 18-31
    発行日: 2017/01/05
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

     本稿では,東南アジアの洪水常襲地帯における住民の災害対応と支援の関係を社会的経済的背景を踏まえて分析した.アンケート調査をタイとミャンマーの研究対象地で実施した.共通点は,非貧困層と比べて貧困層は強度の低い家に住み,浸水深と浸水期間がより深刻である.両地域で異なるのは避難率と災害準備率,支援受領率である.ミャンマーではインフラの未整備,強度の低い家屋,蓄えが乏しい家計,支援物資の配布方法が貧困層の避難率を高くしている.タイはミャンマーより支援受領率が高く内容も多様で,貧困層と非貧困層の間で受領率の差がないが,ミャンマーでは支援対象は貧困層であるため非貧困層の受領率が低い.結論として,中所得国のタイでは,ある程度インフラが整い,行政による早期警報,緊急支援が機能するが,世帯の経済状況に依存する項目(家屋,災害準備,復旧)に格差が見られ,貧困層の経済状況の改善が地域の災害回復力強化に有効である.低開発国のミャンマーでは,蔓延する貧困とともに,インフラ未整備,行政能力の不足,防災知識の欠如が,災害対応力を低くしている.状況の改善のためには貧困対策だけではなく,能力開発などを含めたより多面的なアプローチが必要である.

  • 青山 恭尚, Mohammad Bagus ADITYAWAN, 三戸部 佑太, 小森 大輔, 田中 仁
    2017 年 30 巻 1 号 p. 32-42
    発行日: 2017/01/05
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー

     2011年東北地方太平洋沖地震津波により,東北地方太平洋沿岸部では大きな人的被害や物的被害が発生した.河川を遡上する津波は海域の津波とは異なり,複雑な挙動を示す.国土技術政策総合研究所にて行われた北上川を模擬した模型実験により入力津波の規模や地形や河川流の有無といった条件を変化させたケースで水位の時系列データを得た.河道内に流れを絞った状態で,浅水流の仮定を用いた計算モデルとの比較を行いその精度検証と特性把握を行った.計算結果は水位のRMSEが約1 mという実用的な再現性であったが,河口部での海岸堤防による反射波や回折波の影響のある地点,高水敷などの水深の浅い地点での誤差が大きいという結果が得られた.また,河口砂州等の地形によって河道内にて3-4 mの水位減少が認められ計算においても同様の結果が得られた.河川流を含む条件での計算結果は約3 mの過大評価となっており,本モデルでの再現性は比較的低いものとなった.

研究ノート
  • 林 義晃, 手計 太一, 山﨑 惟義
    2017 年 30 巻 1 号 p. 43-53
    発行日: 2017/01/05
    公開日: 2017/02/03
    ジャーナル フリー
     本研究では,気象庁と国土交通省水管理・国土保全局,都道府県の地上雨量観測所を用いて,地上雨量観測ネットワークの配置特性や近年における雨量観測所の観測体制,さらに各時間分解能における観測データの蓄積年数について地理的検討を行った.
     その結果,観測所の設置特性は,都道府県間で観測体制が大きく異なることがわかった.気象庁の直近7年間における観測体制の動向では,27の道府県において観測所が減少しており,全国で58箇所減少していることが明らかになった.廃止となっている観測所の共通要因として,高標高による観測環境の影響や保守・点検コストの影響が考えられる.さらに,全観測所の約90 %において,全く欠測のない観測データの蓄積年数が時間,日及び年降水量において40年分以下であった.
記録・報告
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