1984. 4.30~7.31の93日間のGMS-IR基本ヒストグラムおよびタイ国チャオプラヤ川流域約11万km2部分の144地点の日降雨量記録を用いて,同流域での衛星による,種々の時空間平均スケールの降雨量推定式を同定した.説明変数として235K以下の冷たい雲の割合FCを用い,10日平均2.5°メッシュの降雨推定式としてPI=12.1FCND+3.3ND(ここにNDは日数)が得られた.決定係数はD=0.25であった.これを洋上での観測に基づいて得られた他の推定式,Arkin (1979)等により提案され,現在CAC/NOAAで全球の低緯度帯降雨量推定に用いられているGPI,またMaruyama et al. (1986)によるもの,Eguchi (1988)によるものいずれと比較しても,同一のFCに対し低い推定降雨量を与えることがわかった.このことから,低緯度帯の雲頂温度と地上降雨量の関係は陸上・洋上で異っており,地形の影響が無視できないこと,したがってIRを用いた地球規模の降雨監視には,地域別推定式を用いる必要のあることが結論された.
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