水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
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36 巻, 3 号
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巻頭言
原著論文
  • 増田 有真, 坂本 貴啓, 白川 直樹, 中村 晋一郎
    2023 年 36 巻 3 号 p. 182-193
    発行日: 2023/08/05
    公開日: 2023/08/29
    [早期公開] 公開日: 2023/05/09
    ジャーナル オープンアクセス

     近年公共サービスの担い手として市民団体が注目されており,河川管理においても河川管理者との連携が進んでいる.しかし,団体の設立から時間が経過し,活動継続に課題を抱える市民団体も見受けられるようになった.そこで河川に関わる活動を行う市民団体を対象に,市民団体の活動を定量的に評価する「活動量」および既往研究群から抽出した継続要因についてのアンケート調査を実施し,得られた64団体の回答を用いて活動量の変化に影響する継続要因の推定を目的として重回帰分析および相関分析,継続要因間の関係の推定を目的として偏相関ネットワークによる分析を行った.市民団体の活動継続と活動量の変化量には一定の関係が存在するとして,これらの結果から河川市民団体の継続要因について考察した.

研究ノート
  • 平口 昌樹, 中島 集介, 白木 克繁, 内山 佳美
    2023 年 36 巻 3 号 p. 194-199
    発行日: 2023/08/05
    公開日: 2023/08/29
    ジャーナル フリー

     国内の森林斜面での樹冠通過雨計測において,貯留式雨量計の水量を計測する際には手持ちによるメスシリンダー計測や電子吊りはかりにより測定する事例が多く見受けられるが,これらの測器を用いた場合の誤差については検証されていない.本研究では,手持ちメスシリンダーと電子吊りはかりにより森林斜面での樹冠通過雨ボトル水量計測を想定した計測実験を行い,樹冠通過雨量計測における精度について検証した.その結果,手持ちメスシリンダーでの計測実験では,読み取りの際にメスシリンダーの上方を手前に2〜3°傾けて実際の水量よりも多く読み取る傾向が見られた.これらの誤差低減のためには水平状態を担保できるような工夫が必要である.電子吊りはかりによる計測実験では,5 kg重以上では手持ちメスシリンダーよりも発生する誤差が少なくなるという結果となった.ただし,電子吊りはかりを使用する際には,水面ができるだけ揺れないようにすることが必要である.これらの結果を考慮した上で,ボトル水量や計測者などの状況や研究目的に応じて適切な測器を使用者が判断することが重要である.

  • 松山 洋, 長井 彩綾, 野坂 詩
    2023 年 36 巻 3 号 p. 200-213
    発行日: 2023/08/05
    公開日: 2023/08/29
    ジャーナル フリー

     2016年4月に発生した熊本地震前後で阿蘇カルデラ内の湧水,河川水の水質に変化が生じたか,地震前後それぞれ3年分以上の観測データを用いて調べた.これらのデータにより,水質の差の統計的検定が可能になる.pHは,カルデラ内の全観測地点で,地震後の方が値は大きくなっていた.カルデラ南部の湧水では,電気伝導度,RpH-pH,シリカ濃度のいずれも地震後の方が値は大きくなっており,地下水の滞留時間が地震後に長くなったことが考えられた.一方,カルデラ北部の河川水のpHの解析からは,地震後に硫酸イオンに富んだ水の湧出地点が変わった可能性が示唆され,これは先行研究と整合的な結果であった.

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