水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
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23 巻 , 5 号
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原著論文
  • 仲江川 敏之
    原稿種別: 原著論文
    23 巻 (2010) 5 号 p. 373-383
    公開日: 2010/10/09
    ジャーナル フリー
    本研究では,大気全球気候モデル(AGCM)の長期積分結果を用いて,数値実験で再現された既往最大月降水量が,観測をどの程度再現し,またどのような統計的性質を持つかを調査した.AGCMから得られた既往最大月降水量の再現期間は,統計学的には何ら地理的分布を示さなくてよいが,ある地域では500(50)年を上(下)回る再現期間が現れるという特徴的な地理分布を示し,全球で再現期間を集計した確率分布関数は,モデル値と理論値とで良く一致したが,観測値とは定量的には一致しなかった.また,既往最大月降水量を10位の年最大月降水量で割った値(極値比)は,再現期間と同様,地域分布が見られ,極端に大きい月降水量が生じる地域は決まっていることが示された.400年以上の再現期間を持つ年最大月降水量が推定される原因を調べたところ,極値比が大きい (小さい)と,極値統計の一手法であるLモーメント法の3次モーメント(L-skewness)と4次モーメント(L-kurtosis)が共に大きい(小さい)分布となり,極値比と分布形の二つの要素に原因があることが示された.これらの結果は,AGCMで再現された既往最大値を含む極値を水文・水資源の研究に利用する際,十分な注意が必要であることを示唆している.
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  • 杉野 晋介
    原稿種別: 原著論文
    23 巻 (2010) 5 号 p. 384-397
    公開日: 2010/10/09
    ジャーナル フリー
    他国による越境地下水の開発の実態については,地下水を直接視覚で確認することができないために,非常にわかり難いものである.そのために,一方の国家による不平等な揚水の事実が明らかになると,利害関係国の間で,より大きな問題や軋轢が生じることが予測され,地下水の分配をめぐる国家間の対立に発展する可能性も指摘される.そこで本稿では,ヨルダンとサウジアラビアの両国に分布する越境地下水を水源として計画された「ディシ-アンマン送水計画」に着目し,ヨルダンによる越境地下水の開発を原因とした,ヨルダンとサウジアラビアの国家間対立の蓋然性について考察した.その結果,特に問題が表面化しない場合には,両国とも現状維持の姿勢を示し,地下水開発にかかる表立った交渉は行われないと推測された.だが,サウジアラビア側に分布する井戸に何らかの異常が生じ,それら井戸の利用者から政府に対する圧力が高まれば,サウジアラビアはヨルダンに対して,何らかの措置を講じざるを得ないであろう.しかもその方法次第では,事態は両国間の水問題だけには止まらず,中東全域,あるいはグローバルな安全保障問題に発展することもあり得るであろう.
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  • 濱田 洋平, 田中 正
    原稿種別: 原著論文
    23 巻 (2010) 5 号 p. 398-407
    公開日: 2010/10/09
    ジャーナル フリー
    土壌凍結と環境因子との関係を把握することは,寒冷地域における冬季の水文現象を予測する上で重要である.著者らは中部山岳地域の森林流域内に設定した試験地において,土壌凍結とそれに関連する環境因子を1996~2003年にかけてほぼ毎月観測した.各年の最大凍結深(Dmax)と最大積雪深の間には,積雪の断熱効果に起因する明瞭な負の相関が見られた.積雪の影響を考慮した修正凍結指数もDmaxと強い相関を示し,この値が現在より約8割低下すると凍結が生じなくなること,この程度の低下は積雪深の増加によって容易に生じることが示された.2001-2002年冬季に実施した多点調査の結果,これらの関係は斜面方位によって大きく異なっていた.土壌中で生成されたCO2の大気中への放出が抑制された結果,凍結層下ではCO2濃度の上昇が見られた.冬季における深度別の最大CO2濃度はDmaxとともに増加したが,Dmaxが10cmを超えると相関が見られなくなった.近い将来における土壌凍結現象の予測には,冬季の気温上昇とともに積雪深の変化が重要である.
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