極端な降雨強度を伴う降水現象は,甚大な災害を発生させることが多い.そのため,広範囲かつ短時間で正確な降水量を観測できる観測技術の開発が急務である.そこで本研究では,北陸地方における気象庁と国土交通省水管理・国土保全局の地上雨量観測所で観測された雨量データを用いて,XバンドMPレーダの降水量及び降雪量推定精度について検討した.本論では,観測地点の標高値とレーダサイトからの距離の2つの観点から検討した.
その結果,全データを用いた相関係数や降水量(降雪量)推定誤差の検討から,XバンドMPレーダによる推定精度は,レーダサイトからの距離に大きく影響を受けることが明らかになった.ただし,レーダサイトから20 km圏内の地域であれば,地上雨量観測所と同等の推定精度が期待できることもわかった.降雪データによる推定精度を検討した結果,降水の場合と比べて推定精度が低下する傾向であり,降雪量推定方法などに改善の余地があることが示唆できた.降雨データのみによる2つの降雨強度式の推定精度を検討した結果,レーダサイトから30 km以上離れた地域で,Z-R関係式の方がK
DP-R関係式より精度良く推定できる場合が示唆され,今後さらにデータ母数を増やし,検討する必要もある.
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