水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
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19 巻 , 4 号
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原著論文
  • 賀 斌, 高瀬 恵次
    19 巻 (2006) 4 号 p. 249-257
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
    水文現象を正しく理解するためには,多くの観測デ-タが必要であることはいうまでもない.しかし,それらの観測では欠測の生ずることが多く,その欠測値を精度よく補完することは水循環の解析やそのモデル化にとって重要な課題である.このような補完あるいはデ-タのチェックには,これまで線形回帰式や重回帰式が用いられてきたが,独立変数と従属変数の関係は線形でない場合も多く,その非線形関係を知ることは困難である.本論文では,人工神経回路モデル(ANN)を適用して,ブラックボックス的ではあるが欠測水文デ-タの補完を行った.その結果,予測値と実測値の間には非常に高い相関性が認められ,本方法は,水文デ-タの欠測補完に有用な手段であることが示された.
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  • 白木 克繁
    19 巻 (2006) 4 号 p. 258-266
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
    流出2次ピーク形成についての浸透数値実験を行った.数値実験は東京大学愛知演習林の南谷谷頭部流域(0.45 ha)を対象に,簡便化した飽和不飽和3次元浸透計算法を用いて行った.表層土層の水理特性はサンプル試験より決定し,基岩の水理特性は観測された流出量,地下水位変化を再現するように決定した.数値実験の結果,鉛直方向に透水性が変化しないか,透水性の高い領域が支配的であるときに流出2次ピークが発生することが分かった.透水係数を変化させた結果,2次ピーク流量は,透水係数が大きいほど大きいが,2次ピーク発生時刻に大きな変化は生じないことが分かった.また,流出2次ピークは透水性の高い領域が土層上部にあり透水性の低い領域が土層下部にある時に発生しにくいことが分かった.このため,基岩への浸透があるが,基岩の透水性が比較的低いなどといった条件では,基岩浸透に流出2次ピーク発生を抑制する機能があるといえる.また,土層厚または土壌水が浸透する基岩層の厚さが厚いほど基底流出の平準化機能は大きくなった.これらの結果より,解析対象とした流域での物理的条件と流出2次ピークの発生についての関連を例示することができた.
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  • 吉川 勝秀, 本永 良樹
    19 巻 (2006) 4 号 p. 267-279
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
    流域治水の基礎理論に基づき,流域治水の基本的・本質的な対策は,(1) 治水施設の対応能力向上による被害額の減少(構造物対策),(2) 被害ポテンシャルの減少あるいは増加の抑制による被害額の減少あるいは増加の抑制(非構造物対策),(3) (1) と (2) を複合させた総合的な治水対策であることを示した.この考えから対策を実施した具体的な事例である日本の中川・綾瀬川流域,タイ国のバンコク首都圏域およびチャオプラヤ川流域全域における総合的な治水対策について事後評価的に考察した.対象とした流域はいずれも近年都市化が著しく進行したことで被害ポテンシャルが増大し,それにより洪水被害が増大した低平地緩流河川である.その結果,1)構造物対策については各流域の水理・水文学的な特性を考慮して,氾濫の原因に対し適切な対策が計画され,その計画は時間をかけつつ着実に実施されていること,2)非構造物対策の核心的な対応である被害ポテンシャル増大の抑制(土地利用の誘導・規制)は程度の差こそあれ,国情の下で実施され機能していること,3)以上から都市化が急激に進む低平地緩流河川流域の治水対策として総合的な治水対策は有効であると評価できることを示した.
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  • デリヌル アジ, 近藤 昭彦
    19 巻 (2006) 4 号 p. 280-291
    公開日: 2006/07/20
    ジャーナル フリー
    新疆ウイグル自治区における主要な水資源は地表水,地下水と氷河である.その中で,主に夏季に限られている降水と高山からの融雪水によって新疆の農業生産は維持されてきた.一般には,人口増加による農業生産量の増加が更に水不足を助長し,水資源が減少すると考えられて来た.一方,最近の河川における流出量変化と湖における水域面積の変化は,必ずしも新疆の水資源の減少と気候の乾燥化に結びついていない様である.そこで, Lake Wulungu, Lake Ayding, Lake Bostan, Lake Ebnur流域を対象とした衛星データ解析,新疆の26河川における過去50年間の水文観測データ,気象データセットおよび新疆地方誌と最近20年間の新疆統計年鑑に記載された資料に基づき,人間活動と気候変動の両面から,新疆における水資源の動態変化について考察した.その結果,1980年代の後半を境に,1950年代の前半から1980年代の後半までの間と1980年代の後半から現在に至る間で,新疆における水資源の時空間変化には大きな相違があることが確認できた.すなわち,1950年代の前半から1980年代の後半までは人間活動の影響が強い時期であり,それは人口増加及びそれにともなう耕地面積の増加,水利施設の建設により,河川流出量の減少,河川下流における流出量の減少または断流,湖における水域面積の縮小と涸渇として現れた.1980年代の後半から現在に至る期間は,節水意識の高まりとともに,気候変動の影響が認められ,降水量の増加が河川流出量の増加,湖における水域面積の拡大として現れた可能性がある.新疆の水資源である河川流出量と湖の水域面積の変化は気候に代表される自然要因と人間活動要因の両方の影響を受けているため,新疆の農業生産の持続性を考察するには両方の視点が重要である.
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解説
  • 木庭 啓介, 眞壁 明子
    19 巻 (2006) 4 号 p. 293-301
    公開日: 2006/09/19
    ジャーナル フリー
    河川生態系における窒素循環については様々な形で研究がなされてきている.その中でも,窒素安定同位体比(δ15N値)は,富栄養化の進行具合を表すパラメーターとして,近年盛んに用いられるようになってきた.しかし,定量的な議論を実現するためには,多くの前提条件について詳細な検討が必要である.実際の研究においては,単純に人為起源窒素化合物と天然起源化合物のエンドメンバーを決定することは難しく,それぞれの生態系の特徴に応じて天然起源化合物が示すδ15N値の変動を加味した上で,人為起源の影響を査定することが重要であると考えられる.そこで本解説では,生態系の一次生産者のδ15N値を決定する要因として重要であり,農業活動など,人間活動に応じて素早く反応していると思われる,溶存窒素化合物のδ15N値の決定要因について,既存のデータをまとめ,δ15N値を用いた窒素循環研究における注意点と今後の展望について議論した.
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