100年以上の年最大日降水量が算定できる51地点の気象庁の観測点のデータを解析した.「すべての観測点で,既往最大値の再現期間が1,000年オーダーにならないこと」を目標に12の確率分布を当てはめ,SLSCによって適合度を評価した.12の確率分布には,今まで日本の水文学のコミュニティーではあまり使われてこなかったLévy分布を含んでいる.この分布は,確率密度関数のすそ(tail)が厚いことが特徴であり,既往最大値の再現期間を小さくすることが期待できるためである.この種の解析では,しばしば(パラメータの多い確率分布を用いた場合には適合度が良くて当然なので)できるだけパラメータの少ない分布が良い分布形であるとされてきた.しかし,本研究では,前述のような目標を達成するために,パラメータの数にはこだわらず,3~5個のパラメータを持つ分布形,特に前述のすその厚いLévy分布も用いた.その結果,すべての観測点で既往最大日降水量の再現期間が数百年以下になった.また,それぞれの点で石原の提唱する120年確率降水量をもとめ,等値線図を示した.
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