水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
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34 巻, 1 号
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巻頭言
学会賞受賞記念寄稿
原著論文
  • 猪股 広典, 川﨑 将生, 工藤 俊
    2021 年 34 巻 1 号 p. 24-53
    発行日: 2021/01/05
    公開日: 2021/01/21
    ジャーナル フリー

     洪水時のダム操作において利用される予測雨量は,一つの初期条件・境界条件等に基づく確定的な予測雨量が従来から用いられてきている.予測雨量の精度は予測技術の進展に伴い向上してきており,これからも向上することが期待される.しかしその一方で,予測誤差を完全に無くすことは難しく不確実性が不可避であると考えられるため,洪水時ダム操作における予測雨量の活用においても,従来の確定的な予測雨量に基いて操作を決定するのではなく,予測雨量の不確実性を考慮して操作を決定する必要がある.本論文では,洪水時のダム操作の中で,操作の実施判断において予測雨量が必要となる活用水位からの事前放流操作,洪水貯留準備水位からの事前放流操作及び特別防災操作を対象として,近年利用可能となりつつあるアンサンブル予測から得られる不確実性情報を考慮した操作決定方法を示す.その方法を用いて過去洪水についてダム操作シミュレーションを実施した結果,方法の適用性が概ね確認された.

  • 平田 智道, 藤原 洋一, 高瀬 恵次, 一恩 英二, 長野 峻介
    2021 年 34 巻 1 号 p. 54-68
    発行日: 2021/01/05
    公開日: 2021/01/21
    ジャーナル フリー

     森林内外における消雪日の差が何によって説明されるのかといった森林と雪との関係について理解することは,森林の貯雪・融雪遅延機能を評価するための基本的な知見となる.本研究では,林内と林外の消雪日を観測した論文・資料を収集して,プラス(マイナス)であれば林内(林外)の積雪の方が長く残ることを表す,消雪日の差(ΔSDD;Difference in snow disappearance date)を決める要因をメタ解析によって分析した.その結果,ΔSDDは,0~+10日に多く分布しており,平均は+6日であった.また,ΔSDDと冬期平均気温に負の相関が見られた.全球スケールの ΔSDDと冬期平均気温との関係とわが国におけるその関係を比較したところ,日本はΔSDDがプラスにもマイナスにもなり得る気候帯であった.また,全球スケールの同じ気温帯と比較すると,森林の貯雪・融雪遅延機能は比較的発揮されているが,将来的には貯雪・融雪遅延機能は低下する可能性が示唆された.さらに,貯雪・融雪遅延機能を比較検討する際には,消雪日の情報に加えて,融雪初期の積雪水量から求められる林外に対する林内の積雪水量の比(係数a)と林外に対する林内の平均融雪速度の比(係数b)を用いることが重要であることが分かった.

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