水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
16 巻 , 3 号
May.
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原著論文
  • 藤本 直也, 友正 達美
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 16 巻 3 号 p. 215-224
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/21
    ジャーナル フリー
    中国水利部 (省) は, 最近インターネット上に水権·水価格·水市場の中国語版サイトを設け, 中国国内の調査, 研究の成果や外国の事例を広く紹介している. これらのサイトから中国における用水利用に関する最近の動向を把握するとともに, 水に関する既存の文献から, 中国の水資源の現状分析, 用水に関する権利関係を明らかにした. その結果, 中国においては, 用水に関する権利が十分には明確ではないが, 水利用に対して水資源費, 水費の2つの徴収体系があること, 水利用に対する許可制度があることが判った. 一方, 人民日報等で報道された水権譲渡 (交易) の現地調査では, 急速な発展を遂げる浙江省金華市の義烏が都市用水の供給不足に悩み, 隣接する金華市の東陽から5,000万トンの水使用権を買取る水権譲渡の実態を調査した. その結果, 報道されている水権譲渡は, むしろ水の融通と呼ぶべきであること, 中国政府は, 今後法制度の整備を図るとともに水資源費等を租税化しようという考えであることが判った.
  • 谷口 健司, 小池 俊雄
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 16 巻 3 号 p. 225-235
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/21
    ジャーナル フリー
    高度な水資源計画の実現には, 高精度の長中期的気候変動予測および短期の気象予報が要求される. 特にアジア域においては夏季アジアモンスーンが人々の生活に及ぼす影響は大きい. しかし現在のところ, その物理メカニズムは明らかでない. 既往の研究および再解析データを用いた850hPaにおける風向·風速場の観察から, ソマリジェットが夏季アジアモンスーン開始の一つのシグナルとなるとの知見を得た. また, 再解析データ及び衛星データを用いたモンスーン開始期の大気温度, 風系, ジオポテンシャル高度といった気象要因に関する偏差場の観察より, ソマリジェット形成に関連すると見られる特徴的な偏差域を同定し, それらの年々変動の比較を行うことにより関係性を調べた. その結果, 各気象状況の季節進行の遅れや早まりの年々変動に良い対応が見られ, ソマリジェット形成·維持過程として以下のような仮説を導くに至った: i) チベット高原西部領域の大気温度上昇, ii) チベット高原西部周辺域の上層大気の変化に伴う下層低圧場 (モンスーントラフ) の形成, iii) モンスーントラフとアフリカ南東部における高圧場との気圧傾度の形成, iv) ソマリジェット形成.
  • 堀田 哲夫, 浅枝 隆, 富岡 誠司, 陳 飛勇, 山下 芳浩, 東海林 光
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 16 巻 3 号 p. 236-245
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/21
    ジャーナル フリー
    本論文は下層密度流によるダム貯水池の濁水長期化現象とその対策を検討するものである. 大規模洪水発生時には, 濁水は湖床に沿って流下し, ダム堤体と衝突した後, 貯水池上流への逆流が生じる. そのため不安定な流れにより水の混合が促進され, 濁水長期化現象が発生する.
    このような貯水池内濁水挙動のメカニズムを踏まえ, 濁水の混合を軽減する対策を検討した. 数値計算結果によると, 選択取水設備を利用した場合, 濁水の体積を85%, 濁水長期化現象を88%に軽減できる. さらに, 湖内濁水流動と水温成層及び洪水放流口の位置との関係についても分析した.
  • 山中 勤, 開發 一郎, ウウィンバータル ダムバラヴィア
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 16 巻 3 号 p. 246-254
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/21
    ジャーナル フリー
    高緯度乾燥地域における4つの草原サイトで観測された土壌水分量のデータセットを用いて, time domain reflectometry (TDR) 測定に及ぼす温度の影響を調査した. 周囲の地温に対する土壌水分量測定値の変化率は0.0005∼0.002 (m3/m3middot;℃–1) であった. この値は, 地点·深度·時期などにより異なるが, 土壌水分量と飽和透水係数の対数値を説明変数とした重回帰分析によって経験的にモデル化することができた. 後者の説明変数は土性もしくは土壌の比表面積に関わるものとして重要と思われる. この経験モデルによる測定値の補正を試み, その有効性を理論モデルによるものと比較した. その結果, 重回帰分析に用いたデータだけでなく, それ以外の独立したデータに関しても, 不自然な土壌水分量変化を補正できることが示された.
  • 串山 宏太郎, 浜口 憲一郎, 山田 正
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 16 巻 3 号 p. 255-267
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/21
    ジャーナル フリー
    圧力式管路として運用され, 晴天時はドライ管理される長大伏越し管路は, 雨水の流入に伴う非定常現象時に管内空気が排気される. しかし, 管路内の空気が非定常状態時に示す挙動, 水流の非定常現象と空気の排気現象, 流入施設形状が管内の空気挙動に及ぼす影響などが不明であるため, 管内空気を排気する適切な施設計画の検討が困難な状況である. 本研究においては単一管路の大型モデル実験を行い, 流入に伴う非定常状態における管内流況, 管内水位, 管内空気圧力, 空気排気量を計測する事で長大伏越し形式の圧力管路内で生じる水理現象について検討を行った. 実験結果から流入量を変動させ流量規模別の段波発生状況, 段波による急激に圧縮された空気塊の空気噴出現象, その時に生じている管内の水位変動特性など非定常現象の基本特性を把握することができた. また, 流入時の高落差での流入流況により管内空気塊が遮蔽され, 管内の圧力全体が影響を受ける事が分かり, 遮蔽効果により管内の空気の排気が大きく影響を受ける事が明らかになった.
  • 高梨 聡, 小杉 緑子, 谷 誠, 大手 信人, 矢野 雅人, 田中 広樹, 田中 克典
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 16 巻 3 号 p. 268-283
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/21
    ジャーナル フリー
    森林における降雨中および降雨後の蒸発散過程を明らかにするために, 滋賀県南部に位置する桐生水文試験地内のヒノキ林において降雨量, 蒸発量, 蒸散量, 葉の濡れ具合を観測した. 電気抵抗を利用した濡れセンサーおよびヒートパルス法によって, 降雨によって樹冠は上方から濡れていき, 降雨終了後, 上方の樹冠が乾いていくにしたがって蒸散活動が活発になる様子が観測された. 渦相関·熱収支法によって下向き (大気から樹冠へ) の顕熱フラックスが観測され, 遮断蒸発量は日中のピーク時で約250Wm-2に達した.
    多層モデルを用いて, 蒸発·蒸散量および樹冠濡れ具合の再現計算を行った. 遮断蒸発に関わるパラメータの決定に際して濡れセンサーで観測された樹冠濡れ時間および渦相関法によって測定された顕熱フラックスを用いた. 潜熱フラックスの経時変化は良好に再現できたが, 樹冠濡れ具合に関して樹冠上層での適合性が悪かった. 解析期間中の再現計算された遮断蒸発量は水収支法によって求められた値より過小になった. 再現計算された蒸発散量は渦相関·熱収支法によって求められた蒸発散量と同程度となった.
研究ノート
  • 丹治 肇
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2003 年 16 巻 3 号 p. 284-288
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/05/21
    ジャーナル フリー
    近年, 診断化学の研究では, 2つの実測データの解析には, 線形回帰でなく, Deming回帰か, Passing-Bablok回帰を用いるように指示されている. ここでは, 数値実験と地点日降雨補間問題について, 3手法を比較した. 数値実験では, Deming回帰とPassing-Bablok回帰が, 線形回帰より良い結果を与えた. 降雨補間では, 推定精度の優劣はつけられなかった. 理論面も考慮すると, 2つの実測データの解析には, 線形回帰よりも, Deming回帰またはPassing-Bablok回帰が優れている.
解説
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