日本では,歴史を通じて河川を整備し,稲作農耕文明を築き,社会が発展してきた.特に,大河川の氾濫原が新田に開発されるようになった戦国時代から江戸時代初期以降は,大河川の流路の固定と堤防の整備が行われ,主要な氾濫平野が堤防により守られるようになった.その延長上で,明治以降,都市化・工業化が進展し,氾濫原に人口・資産が立地してきた.現在では,人口の約1/2,資産の約3/4が堤防により守られた氾濫原に位置している.したがって,河川堤防は国土の人口・資産を守っている重要な社会基盤施設である.
本論文では,長く連続した河川堤防システムを対象として,これからの時代の河川堤防システムの整備と管理の基本事項について,堤防で国土を守っている世界の主要な国々とも比較しつつ,実河川での検討・考察を行った結果を示した.
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