近年,水質汚濁化現象が目立つ奥多摩湖(小河内貯水池)を対象に,1974年-2003年の30年間にわたるプランクトン出現状況のデータとダム貯水池における運転操作の資料とを用いて,貯水池の水質汚濁化現象の移行を検討した.その結果,優占種プランクトンの発生状況からみたダム地点の水質段階の推移は3パターン・3時期に分けられ,現時点では特定種の藍藻の増加に伴う水質汚濁化の進行段階にあることが明らかとなった.ダム地点に出現する藍藻の種が変化するようになった1992年は,同時に“選択取水”が行われるようになった年である.その年を境に藍藻類の
Anabaenaと
Microcystisが出現して他の藍藻類は出現されなくなった.さらに,1999年以降では,
Anabaenaと
Microcystisが優占種化するようになった.選択取水の施行は貯水池の流動機構に変化をもたらしたことから,
Anabaenaと
Microcystisの出現に伴う水質汚濁化の進行の原因には,ダム貯水池の運転管理の変化が関与していると考えられた.
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