本研究では,リモートセンシング画像の空間分解能の違いによって(1)植生指標(NDVI)がどのように変化するか,(2)NDVIに基づく月蒸発散量の推定値がどのように変化するかについて検討している.MTFを応用した低分解能化アルゴリズムを用い,分解能6.25mの航空機MSS画像から,16,30,50,80,250mの疑似画像を生成した.各疑似画像の分解能はADEOS/AVNIR, Landsat/TM, MOS-1/MESSR, Landsat/MSS, ADEOS-II/GLIの分解能にそれぞれ対応している.対象領域は,種々の土地被覆の混在する瀬戸・長久手地域を選択した.結果として,NDVIの領域平均値は,空間分解能を250mまで粗くしてもほとんど変化しなかった.一方,推定月蒸発散量の領域平均値は分解能6.25mで約48mm/month,分解能250mで約47mm/monthであった.標準偏差は,空間分解能が粗くなるにつれて徐々に小さくなった.また,森林・耕地・都市化域という分類に基づいて,森林がさらに都市化した場合に月蒸発散量に与える影響の評価を行っている.
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