降雨浸透システムとCO2循環システムを組み合わせたカラム実験を通して,土壌中CO2ガスが水質形成に与える影響を検討した.CO2濃度を大気濃度に保つカラムと10%に制御したカラムからの浸透水の水質を比較する実験の結果,豊浦標準砂について高CO2濃度下で変化の表れる水質項目1) EC, 2) Ca2+, Mg2+, K+, 3) SiO2, 4) RpH, 5) RpH測定時のHCO3-の5つであることが分かった.このような変化の起こる相互関係は,a) 標準砂中のCO2濃度が高まることで,Ca2+, Mg2+, K+の3カチオン,SiO2, HCO3-の溶出が進むb) Ca2+, Mg2+, K+の3カチオン,HCO3-の増加で,ECが増加するc)HCO3-濃度が大きくなると水素イオン濃度が小さくなり,RpHは高くなる.高CO2濃度により時間的に同じタイミングで流出が増減するカチオン,SiO2, HCO3-は,ケイ酸塩岩石の化学的風化にともなって生成される成分に対応する.
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