水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
20 巻 , 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著論文
  • 賀 斌, 大上 博基, 王 弋, 高瀬 恵次
    2007 年 20 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/23
    ジャーナル フリー
    黄河中流域にある乾燥地の河套灌区の水収支を明らかにするため,主要作物の一つである小麦畑の蒸発散量をボーエン比熱収支法で算定した.その結果,観測期間(2005年5月5日~7月27日)における蒸発散量は456mmであった.同期間の降水量が24mm,灌漑取水量は289mmであったことから,灌漑用水路から小麦畑へ取水された水だけでなく,用水路から地下へ浸透した水も小麦畑からの蒸発散に消費されたと考えられた.次に,異なる日射・飽差条件下での蒸発散量を推定する目的で,バルク法とPM法のパラメタである群落抵抗をモデル化した.その結果,バルク法とPM法によって計算された蒸発散量は実蒸発散量と高い相関が得られたが,バルク法の方が実蒸発散量とよく一致した.
  • 鈴木 研二, 山本 由紀代, 古家 淳
    2007 年 20 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/23
    ジャーナル フリー
    ラオス・ビエンチャン特別市における50年間の日雨量データを第I期(1951~1975年)と第II期(1976~2000年)に分割し,日降雨特性の経年変化と天水条件下での米生産に及ぼす影響について検討した.対象期間における年総雨量に顕著な傾向はなかったが,年最大日雨量は前半よりも後半で大きな変動を示すとともに,同じ確率年に対応する年最大日雨量が増大した.また,干害発生を引き起こすと考えられる10日以上の干天継続日数については,その頻度が第I期より第II期で多くなっていることに加えて,稲の水分ストレスに敏感な9月における発生頻度も高まっていたことが示された.一方で,ピーク流出が大きく,稲に対する洪水被害を引き起こす可能性のある100mm/day以上の降雨は,第I期では8, 9月に集中的に発生していたが,第II期では雨季の前半部に相当する5~7月にも発生していたことが確認された.
  • 中山 有, 神田 学, 木内 豪
    2007 年 20 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/23
    ジャーナル フリー
    近年,ヒートアイランド現象をはじめとして都市の熱環境が悪化する傾向にある.気圏に対する都市の熱的影響については多くの研究がある一方,水圏に対する熱的影響はあまり明らかになっていない.そこで本論文では都市と水圏の境界にある下水処理場で水温観測を行い,都市下水道の水・熱輸送実態を明らかにした.以下に得られた結果を述べる.1. 下水道を流れる下水のうち,土壌から下水管への浸出水は下水全体の約2割を占める.2. 都市活動で排水に付加された熱は都市でのエネルギー利用全体の1割(年間値)に相当する.3. 夏季に水利用に伴って付加された熱は下水道を流下する間に土壌への熱伝導によってその40%が減ぜられて水圏へと放流される.4. 冬季に水利用に伴って付加された熱は下水道を通ってそのまま水圏へと放流される.
  • 杉浦 未希子
    2007 年 20 巻 1 号 p. 34-46
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/23
    ジャーナル フリー
    本稿では,上中流域の遊水地の一例として宮崎県北川町における霞堤を取り上げ,主に農業従事者の聞き取り調査からその選択肢のもつ現状の問題点と将来の展望を論じる.北川町の霞堤はそれまでの地先治水から国主体の治水への移行を象徴し,また従来の河道主義治水に代わりうる流域治水のひとつの方策を堤示しているのに加え,「治水」と「環境」保全の機能を両方併せ持つ近代的な遊水地および霞堤であるといえる.当地の霞堤は,本来中上流地域における耕作可能面積の確保と下流域の治水を目的としたが,近年の農業の停滞により,前者の必要性が減少し,流域関係者,特に作物に被害を受ける農業従事者にとって,その意義の問い直しが重要となりつつある.河川法改正以降の「環境」重視の視点は,意義のひとつとして人々に認識されつつも共有されているとはいえない.治水技術が発達した現在,一定の不利益を甘受しなければならない地域での制度的同意を今後どう得ていくのか,には課題が多い.今後は,森林・田・川の関係を統合的に把握した上で,関係官庁との連携のもと,遊水地に伴う「補償」をより実質的な環境保全への対価として統一的に実施していくことが求められる.
  • 中塚 隼平, 堀 智晴, 小尻 利治, 張 鼎盛
    2007 年 20 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/23
    ジャーナル フリー
    本研究は,社会的環境的変化のモデル化によって,地球全体において増加する水資源枯渇問題を取り扱ったものである.主として2種類の目的があり,その一つは,水と人間行動間のフィードバック構造を考慮し有限な水資源の有効利用を明らかにするとともに,それによる水利用社会の発展を予想することである.第二は,世界の発展に向けての役割と影響を明らかにし,持続可能なシナリオや政策を提案することである.大陸における水問題の探求には,システムダイナミックスの利用が有効である.このモデルを利用することにより,水不足が主原因となり,開発に制限がある大陸・地域を分析することができる.
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