魚眼レンズの射影方式を参考に作成した全天写真モデルを用い,針葉樹林,非着葉状態の落葉樹林における全天開空率(P),太陽経路開空率(Q)を求め,樹高,植樹間隔が各森林のP,Qに与える影響,並びに樹木形状によるP-Q関係の相違を明らかにした.さらに森林方位の違いに基づく太陽経路開空率の変化について考察した.全天,太陽経路開空率は,それぞれ散乱放射,直達放射に対する森林の透過率として用いることができるため,森林内に透過する放射量を議論する上で重要な因子となる.両森林とも,樹高が低く,植樹間隔が広くなるほど全天,太陽経路開空率は上昇する.P-Q関係に及ぼす樹高の影響は,特に針葉樹林の太陽経路開空率に現れ,植樹間隔の影響は,針葉樹林,落葉樹林の全天開空率に認められた.P-Q関係は樹形によって異なり,同一のPに対するQは針葉樹林に比べて落葉樹林で小さい.森林の開空率は観測点と樹木の位置関係に左右され,特に針葉樹林の太陽経路開空率は,観測点近傍の樹木に決定づけられる.森林方位は落葉樹林の太陽経路開空率に対してほとんど影響しないが,P=0.5程度の針葉樹林に対して最も強く影響することが示された.
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