水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
23 巻 , 6 号
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原著論文
  • 南光 一樹, 恩田 裕一, 深田 佳作, 野々田 稔郎, 山本 一清, 竹中 千里, 平岡 真合乃
    原稿種別: 原著論文
    2010 年 23 巻 6 号 p. 437-443
    発行日: 2010/11/05
    公開日: 2011/01/21
    ジャーナル フリー
     荒廃ヒノキ人工林における強度間伐が森林の水源涵養機能に与える影響を調べることを目的として,現地での散水実験・強度間伐のデータに基づき,水資源貯留機能及び水質浄化機能の経済的効果を試算した.気象データ・最大最終浸透能を用いて算出される間伐前後の水資源貯留率の差異を,代替法によって経済的効果に換算した.対象地は三重県度会郡大紀町における荒廃ヒノキ人工林である.2006年冬季に現地で実際に行われた強度間伐に合わせ,間伐前後における立木密度をそれぞれ3,500・1,850本/haとした.林床植被率は,間伐前を0%とし,間伐後3年間かけて100%に回復し,その効果が10年間続くものと想定した.現地散水実験に基づき,間伐前後の林床のもつ最大最終浸透能をそれぞれ20.7・179.8 mm/hとして計算した.その結果,間伐前後の水資源貯留率は,それぞれ0.332・0.471という値を得た.強度間伐実施後の10年間で得られる経済効果は,水資源貯留機能で7,841万円/km2,水質浄化機能で1億3,562万円/km2と試算された.今後の長期的な水文観測データによる検証は必要であるものの,現地散水実験による浸透能測定から,間伐の経済効果を簡易に試算できる手法を提案した.
  • 榊原 弘之, 梶谷 義雄
    原稿種別: 原著論文
    2010 年 23 巻 6 号 p. 444-457
    発行日: 2010/11/05
    公開日: 2011/01/21
    ジャーナル フリー
     発生頻度や被害規模に大きな不確実性をともなう豪雨災害への対策として,河川管理者による堤防強化等の対策に加えて,地域住民や利水事業者を含めた流域全体での対策が社会的な要請となりつつある.こうした対策の一環として,既存のダム施設において,大規模な洪水が発生する前に水位を下げるという事前放流や,利水容量と治水容量の配分の見直し等が検討されている.
     しかし,既存ダムの運用方法を変更することは,利水事業者にとっては,利用可能な貯水容量の減少,運用の柔軟性低下などによる損失をもたらす可能性がある.そこで,この種の新たな治水対策が効果的に機能するためには,発生する費用と軽減される水害リスクの大きさを考慮した河川管理者・利水事業者間の契約方式について慎重な検討が必要である.本研究では,既存ダムの利水容量を水害対策に利用する際のルール設計に資することを目的とした,モデル分析を実施する.具体的には,動的計画法を用いた各種水害対策オプションの価値評価のための方法論と,協力ゲーム理論の配分解に基づいた河川管理者・利水事業者間の負担ルールを提案する.
  • 渡邉 暁人, 山田 正, 石川 美宏
    原稿種別: 原著論文
    2010 年 23 巻 6 号 p. 458-469
    発行日: 2010/11/05
    公開日: 2011/01/21
    ジャーナル フリー
     本研究は,雨水浸透ますや浸透トレンチ等の雨水浸透施設による様々な効果のうち,特にノンポイント汚濁負荷の捕捉効果に着目し,汚濁負荷の流出プロセスにおいて新たな概念を導入した流出解析モデルの構築を目指したものである.
    新モデルでは,浸透施設において雨水だけでなく汚濁負荷が捕捉される過程を論理モデルとして導入した.また,浸透域及び浸透施設設置域における浸透過程の新たなモデル化の試行として,一定浸透能,Horton式の他,降水量に応じた浸透能の変化を表現できるDiskin-Nazimov式を導入した.
     新モデルと従来のモデルでのシミュレーション結果の比較により,新モデルでは浸透施設による汚濁負荷のファーストフラッシュの捕捉効果を適切に表現できることを示した.また,検討対象の降雨波形や浸透能の推定方法により汚濁負荷の流出率が大きく異なることを示し,浸透施設の多面的な効果の適正な評価の必要性や今後の課題について言及した.
研究ノート
  • 林 敦史, 田中 正
    原稿種別: 研究ノート
    2010 年 23 巻 6 号 p. 470-477
    発行日: 2010/11/05
    公開日: 2011/01/21
    ジャーナル フリー
     キャパシタンス式水分計は,土壌を撹乱させることなく同地点を複数深度で土壌水分量を測定できる測器である.しかしながら,キャパシタンス式水分計は砂質土壌に対しての研究例はあるが,火山灰土のような細粒土での適用例は少ない.したがって,本論文では,関東ロームからなる森林土壌にキャパシタンス式水分計を適用し,土壌水の体積含水率の測定の可能性を検討することを目的とした.
    SF値(相対的な共振周波数)が0.82から0.92の範囲では得られた体積含水率と正の相関が得られたが,SF値が0.92以上の範囲では負の相関となった.負の相関となった範囲では,SF値の増加に伴い土壌の固相率も増加していた.固相率による影響を考慮することで,SF値と体積含水率に高い相関が得られた.得られたキャリブレーション式を用いて,キャパシタンス式水分計の測定誤差を算出すると,±2.96 %となった.アカマツ林内における現地観測では,キャパシタンス式水分計は降雨に対して素早い応答を示しており,実際の現象をリアルタイムで測定することが可能であるといえる.
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