水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
30 巻 , 2 号
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巻頭言
  • 福和 伸夫
    2017 年 30 巻 2 号 p. 85-88
    発行日: 2017/03/05
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

     巨大地震災害を前にし現代社会は災害脆弱度を増している.予想される被害は甚大であり国難とも言える事態が予想されている.豊かな社会を次世代に引き継ぐには,社会の総力を結集して災害を軽減しなければならない.そのためには,見たくないことにも目を背けずに現状を分析し,理学・工学・社会科学の研究分野間の連携や,予測・予防・対応の総合化,研究・施策・実装という産官学民の連携を図る必要がある.公と私の力を合わせ,Think Globally, Act Locallyの視点で,自律・分散・協調型の社会を作るため,地震工学研究者として何ができるか考えてみたい.

原著論文
  • 宮崎 嵩之, 中津川 誠, 臼谷 友秀
    2017 年 30 巻 2 号 p. 89-101
    発行日: 2017/03/05
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,長期的な流域水循環に基づいて推定された土壌水分量から斜面災害の危険度評価を行うことである.近年,日本の至る所で大雨に加え急速な融雪による斜面災害が発生しており,今後地球温暖化が原因とされる気候変化によって,積雪地域ではこのような災害のさらなる増加が予想されている.本研究では,雨量と融雪量を入力値とするタンクモデルの水位で土壌雨量指数(SWI)と土壌水分貯留量(SWS)という指標を表し,土壌水分量を概念化した.また,対象災害事例において各土壌水分量を推定し,災害発生危険度を,スネーク曲線を用いることによって評価し,比較検討を行った.災害発生地点でのSWIとSWSを推定した結果,対象とした斜面災害は,貯留量が最大の時に雨量と融雪による影響を伴い発生したことを妥当に評価することができた.結果として本研究では,雨量および融雪量を考慮した水文モデルに適切な気象データを入力することによって,土壌水分量が高い状態が続くことによって生じる斜面災害発生危険度を予測することが可能であることを示した.

  • 李 相潤, 石井 敦, 申 文浩, 谷口 智之, 佐藤 政良
    2017 年 30 巻 2 号 p. 102-111
    発行日: 2017/03/05
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

     一流域内で水田として開発できる面積は水源となる河川の流量特性によって強く制約される.本報は,日本とよく似た温帯モンスーン気候で水田水稲作を行っている韓国を対象に河川の流量特性を検討し,日本の河川と比較分 析を行った.分析には韓国の主要河川14箇所の10~30年間の日流量データを用いた.その結果,次のことを示した.1)年非超過確率1/10で評価した韓国の河川は水田灌漑期間の渇水時比流量が0.1~0.2 m3/s/100 km2程度で,日本 の約1/10と極めて小さい.2)その要因は,韓国では日本と比べて非灌漑期である10~3月の降水量が極めて少なく,山地流域の地質が影響している可能性があると推定される.3)灌漑期間中に一定流量を供給するために必要なダムの貯水池容量は,日本の河川の数倍以上と大きい.それは,ダムからの補給期間が長いという流量特性による.4)このことが,韓国では日本と比べて河川自流灌漑による水田開発の面積が限られ,大規模なダム開発がなされる現代まで天水田や水源の不安定な灌漑田が多かったことの背景条件になっていると推察された.

総説
  • 牛山 朋來, 佐山 敬洋, 岩見 洋一
    2017 年 30 巻 2 号 p. 112-125
    発行日: 2017/03/05
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー

     近年数値天気予報の発展はめざましく,一定の条件下では予報降水量は洪水予測に役立てられている.これは,コンピュータの計算能力向上,衛星など気象観測技術の向上とデータ同化技術の発展,不確実性を考慮したアンサンブル予報の開発,によるところが大きい.欧州では,実際に5日先までの予報降水量を降雨流出モデルに導入し,ドナウ川などの国際河川の洪水予測の他,各国の洪水予測に役立てている.さらに,より小さい流域の河川についても,数値天気予報による降水量を利用したフラッシュフラッド予測の開発が積極的に進められている.しかしながら,我が国ではこのような洪水予測技術の開発は限定的である.本総説では,欧州で進められている,数値天気予報を用いた降水予測手法の現状,特に日本国内への適用が可能なフラッシュフラッド予測を紹介し,我が国における洪水予測技術の開発に有益な情報を共有する.

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