水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
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36 巻, 4 号
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巻頭言
原著論文
  • -東京近郊河川の局所的汚濁について-
    小田 理人, 小寺 浩二
    2023 年 36 巻 4 号 p. 269-285
    発行日: 2023/11/05
    公開日: 2024/01/10
    ジャーナル 認証あり

     東京都八王子市及び日野市を流れる多摩川水系浅川の水質の変化と現在の課題を明らかにするため,現地調査と流域内の人口,土地利用,汚水処理の状況との比較,過去の研究との電気伝導度(EC)の比較を併用して研究を行った.浅川のおもな支流のEC値は過去と比較し,いずれも低下しており,下水道の整備により水質は改善したことが分かった.しかしながら水質の改善度は支流により異なり,流域内の浄化槽整備区域内の建物用地割合の高い支流ではEC値の低下度が低かった.上流では浄化槽排水による汚濁,森林生態系の窒素飽和による硝酸イオン流出などの問題も残っている.よって,浅川流域全体では水質は改善されたと言えるが,狭い地域に着目すると課題の残る地域も存在すると言える.

研究ノート
  • 陸 旻皎
    2023 年 36 巻 4 号 p. 286-296
    発行日: 2023/11/05
    公開日: 2023/11/25
    ジャーナル オープンアクセス

     減水解析はハイドログラフの減水部を解析することにより,流出過程の理解やモデル化,流出成分の分離,水文パラメータの推定を行う伝統的な手法である.また,長期的な低水管理にも極めて重要である.蒸発散が減水に与える影響は古くから指摘されているが,これまで明示的に検討されることはほとんどなかった.本研究では,土壌水からの蒸発散,すなわち樹冠蒸発を除いた蒸発散を土壌蒸発散と定義し,本研究者が提案した土壌蒸発散を考慮した減水式を用いて美和ダム流域の減水解析を行い,流域固有減水定数と土壌蒸発散の季節パターンの推定を試みた.その結果,減水曲線から流域固有減水定数や土壌蒸散量の季節パターンを推定する可能性が示された.

技術・調査報告
  • 山本 道, 多田 毅, 風間 聡
    2023 年 36 巻 4 号 p. 297-305
    発行日: 2023/11/05
    公開日: 2024/01/10
    ジャーナル 認証あり

     日本全域を網羅するStrahler河道位数データと河道マスクデータを作成した.国土数値情報の河川データに対し河川の連続性を担保するための修正を加え,位数理論に新たなルールを追加することで,合分流を多く含む河道網も網羅した実用的な河道位数データを作成した.また,位数4以上の河道を対象とし,衛星画像を目視により河道領域を判別し,その領域を覆うポリゴンデータを作成することにより,河道マスクデータを作成した.河道マスクデータの水平誤差は,河道境界が明確な場合には概ね10 m以内であるが,河道境界が不明確な場合にはそれ以上の誤差が生じる場合もある.しかしながら既存のデータと比べて,支川や高水敷を詳細に含んだ河道を網羅することが出来た.整備したデータはhttp://kaigan.civil.tohoku.ac.jp/kaigan/papers/opendataj.htmlにおいて公開される.

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