水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
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30 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
巻頭言
原著論文
  • 川守田 智, 安西 聡 , 風間 聡
    2017 年 30 巻 4 号 p. 209-220
    発行日: 2017/07/05
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー

     ソーシャルメディアを用いて河川関心度の定量評価を行った.Instagramより,川に関連するハッシュタグ(例:#川,#広瀬川)を用いて,データを収集した.テキスト解析,投稿数解析,画像解析を実施し,さらに#川の名前の投稿数をその流域人口によって除した値や川や山について比較した.その結果,次の5つの新たな知見が得られた.1)民間ビジネスやイベントが川の関心を高めている.2)空間利用実態調査の整合性は取れなかった.3)観光資源に恵まれた川は平均より8倍から50倍大きく.観光が河川の関心に大きく貢献していた.4)川において,7月と8月に投稿数が集中していた.また,特定の河川名がみられなく,川の利用者はあまり特定の川を意識せずに利用していた.5)水深の浅い場所において,私服で入れるようなカジュアルな水遊びが人気であった.

  • 永田 謙二
    2017 年 30 巻 4 号 p. 221-236
    発行日: 2017/07/05
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー

     紛争後国であるアフガニスタンでは,2002年から国際社会による復興支援が開始された.現在は国家開発戦略の実現のために「政府のオーナーシップ」を重視したカブール・プロセスが実施されているが,復興と再建が成功しているとは言い難い.本研究は,水資源セクターから,カブール・プロセスの過程と成果について社会階層別に問題と課題を分析した.その結果,1)政治レベルでは復興支援における「政府のオーナーシップ」原則が不明確であった,2)政策策定レベルでは水資源セクターを分散化して調整機関を二重化した,3)政策実施レベルでは総合的な水資源政策が作成できず政策調整が行われなかった,4)現地社会レベルでは国民によるニーズの意思表示機会が無かった,などの問題を明らかにした.部族主義を基本とする自主独立性の強いアフガニスタンの地域社会では,「国民のオーナーシップ」がより重要である.政府は,地域社会のニーズを政策に反映する必要があり,そのための地方の組織・制度整備と人財育成が必要である.「国民と政府のオーナーシップ」を尊重し促進していくために,ドナーはその基本方針を明確にし,そのための能力向上を図る必要がある.

技術・調査報告
記録・報告
  • 山中 景暁, 柳川 亜季
    2017 年 30 巻 4 号 p. 241-244
    発行日: 2017/07/05
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー

     少年少女国連大使として,SDGs(持続可能な開発目標)の6「安全な水とトイレを世界中に」を実現するために行った,国連本部での研修や帰国後国内で行った啓蒙活動を通じて考えられた水資源問題について報告する.

  • 田中 智大, 渡部 哲史, 丸谷 靖幸, 小槻 峻司, 萬 和明
    2017 年 30 巻 4 号 p. 245-259
    発行日: 2017/07/05
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー

     水文・水資源学会の今後のさらなる発展を目指し,水文・水資源学会若手および発想のたまご,若手のページ前編集者有志で2017年1月に実施した本学会に対するアンケート調査に基づき,本学会の現状に対する認識について考察した.本アンケートは,筆者らの属性である工学分野および学位取得後5年未満の世代を中心に,農学,理学,環境学や学位取得後10年以上の方々も含めた計34人による回答結果を集計したものである.アンケートでは水文・水資源学会の学会誌および総会・研究発表会,また学際性に関する認識,および国内学会自体に対する認識を選択式の質問で調査した.調査の結果,学会員が本学会の理念に掲げる学際性を重要であると感じている一方で,現状には改善の余地が大きいと認識していることがわかった.また,アンケートの中に自由記述欄を設けることで,筆者らの考える項目に限らず様々な考えを聞くことができた.本アンケートで得られた本学会現状に対する学会員の考えや提案が,今後の本学会のさらなる発展,活性化の議論に寄与することを期待する.

  • 渡部 哲史, 田中 智大, 丸谷 靖幸, 峠 嘉哉, 木村 匡臣, 田上 雅浩, 木下 陽平, 林 義晃, 池内 寛明, 山田 真史, 吉田 ...
    2017 年 30 巻 4 号 p. 260-265
    発行日: 2017/07/05
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
     平成29年2月18,19日に東京大学本郷キャンパスにおいて,合計16名の参加者により第6回目となるWACCA (Water-Associated Community toward Collaborative Achievements)meetingを開催した.第6回となる今回は各自の研究内容を理解し,多様なスケールで展開される様々な水関連研究の現状やそれぞれが抱える課題,それらを克服するために必要なブレークスルーについて考える機会を設けた.各自の研究発表を基に,様々な研究分野に共通する課題やブレークスルーなど研究に関する議論や,アウトリーチのような活動に関する情報共有,その他研究を進める上で感じていること等の意見交換を行った.本報告ではそれらの議論の概要について記す.
発想のたまご
若手のページ
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