水文・水資源学会誌
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10 巻, 6 号
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  • 浅野 孝
    1997 年 10 巻 6 号 p. 513-514
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
  • 浅沼 順, ブルッツァート
    1997 年 10 巻 6 号 p. 515-523
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    平坦な松林上の接地層における風速の鉛直方向成分w,温位θ,比湿qの分散の航空機による観測値を解析し,非一様地表面上での分散値の特性について論じる.σwとσθは,ほぼモニン・オブコフ相似則(Monin-Obukhov Similarity, MOS)の超不安定時の極限である1/3乗則に従うことが確認されたが,σqはMOSに従わないことが明らかにされた.地表面が松林と開墾地の混合地帯であったことから,地表面の非一様性がqの変動値に影響していることが示された.さらに同様の理由によって,スカラー同士(θとq)の相似性が成り立たなくなっていることが示された. ここでは,1/3乗則に基づいて3通りの分散法を導き出し,これらを用いて地表面フラックスを算定した.航空機による地表面フラックスの観測値との比較の結果,顕熱フラックスはよい精度で算定されることが示された.一方,潜熱フラックスはキャリブレーションを行えば精度良い算定ができた.
  • (1) 推定方法
    橋本 哲, 太田 岳史, 中村 勉
    1997 年 10 巻 6 号 p. 524-536
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    全天空写真から推定した約1haの森林の葉群密度の3次元分布を用いて,林内任意の位置での全天日射量,下向き長波放射量および融雪量を1時間単位で推定する方法を示し,その妥当性を検討した.全天日射量の推定値の再現性は,落葉状態では良好であった.着葉状態では林冠の隙間から入射する直達日射による大きなピークが再現できない傾向が現われた.下向き長波放射量の推定値の再現性は良好であった.融雪量の経時変化は良好に再現された.日融雪量の再現性も良好であった.また,この推定手法による林内における全天日射量,下向き長波放射量および融雪量の空間変動量は,全天日射量と融雪量については日値で,下向き長波放射量については時間値で再現できることが結論づけられた.
  • 石平 博, 小池 俊雄, 陸 旻皎, 早川 典生
    1997 年 10 巻 6 号 p. 537-546
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    大気-陸域相互作用過程は気候システムにおいて重要な役割を果たしているが,地表面の持つ多様性・不均一性ゆえに地表面水文プロセスを気候モデル中に組み込むことは非常に困難であるとされている.また,陸面での短波放射フラックスは蒸発や融雪などの水文現象を引き起こす主な熱源であることから,GCMの陸面スキームの改良を目的とした水文モデルのアップスケーリングのためには,GCMグリッドスケールのような広域・不均一場における領域平均短波放射フラックスの算定手法を確立する必要がある. 本研究の目的は,起伏を伴う地表面に入射する短波放射フラックスの領域平均化手法を開発し,その適用性の検証を行うことである.ある斜面に入射する直達光の強さを表現する指標として,斜面の勾配,向きの関数として表現される受光係数を用い,さらにその算定式において斜面勾配・向きの分布を導入したうえで式を平均化することにより,領域平均化された受光係数(マクロ受光係数)算定式を導出した.また,この導出された式を蒸発および融雪計算に適用することにより,この手法の妥当性の検証および対象とする領域内の起伏量が蒸発や融雪などの水文現象へ与える影響の評価を行った.
  • ボーエン比法,渦相関法との比較
    戎 信宏, 小川 滋, 鈴木 雅一, 田中 隆文
    1997 年 10 巻 6 号 p. 547-556
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    走査型放射温度計による表面温度の画像データと熱収支観測を組み合わせて森林斜面の蒸発散量分布を推定する方法(表面温度法)の推定精度をボーエン比法,渦相関法と比較し検討した.その結果,表面温度法とボーエン比法,渦相関法で推定された各試験地の平均日蒸発散量の誤差は,ボーエン比法で2%から12%,白坂試験地の渦相関法で3%であった.大きな誤差が生じる原因は,樹冠の影の影響,林分の構造,樹種の違いによる樹冠表面温度のばらつきによるものと推察された.表面温度法と渦相関法の顕熱輸送量の比較では,日平均-35Wm-2から26Wm-2の差異が生じた.表面温度法とボーエン比法,渦相関法で推定された1時間単位の蒸発散量は, 0から0.6mm/hr付近までは1:1の線上にばらついているが,0.7mm/hr以上になると1:1の直線よりはずれ表面温度法の蒸発散量が小さくなる傾向になった.
  • 市川 温, 佐藤 康弘, 立川 康人, 椎葉 充晴
    1997 年 10 巻 6 号 p. 557-570
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    過去に提案されている水田モデルは大きく,(1)長期流出計算を対象とするもの,(2)短期洪水流出計算を対象とするものの二つに分類される.(1)のタイプのモデルは,耕作者による潅漑・排水というプロセスをモデルに採り入れている一方,出水時の計算がやや簡略化されている.(2)のタイプのモデルは,出水時の水田と河道網系の相互作用を表現しているが,潅漑・排水といったことは考慮されていない.本研究では,それぞれの代表的モデルである複合タンクモデルと低平地タンクモデルを組み合わせることで長期の流出計算と短期の流出計算を統合した新しい水田モデルを構築した.ついで,この新しい水田モデルを構造的モデル化法によって要素モデル化し,木津川上流域に適用した.
  • 永井 秀幸, 小林 哲夫, 佐橋 謙
    1997 年 10 巻 6 号 p. 571-576
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    中国北西部に設置されたHEIFE沙漠観測点では,日中,水蒸気密度が高度と共に増加するいわゆる湿度逆転現象が接地気層内において日常的に観測された.また,湿度逆転の下でも,地中の水蒸気フラックスは上向きであることが集中観測によって確認された.これは地表面から接地気層内へ向かって水蒸気の逆勾配流れが発生していたことを意味する.この湿度逆転は,地表面温度が上昇して接地気層内の温度との差がある限界を超えると乾燥表土層(DSL)と接地気層中の水蒸気密度が急減する現象と密接に関係していることが確認された.
  • I.室内実験
    虫明 功臣, 小池 雅洋, 沖 大幹, 仲江川 敏之
    1997 年 10 巻 6 号 p. 577-587
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    全球スケールでの合成開口レーダ(SAR)によるモニタリングが実用化段階に入り,水文学の領域では表層土壌水分量と積雪内水分量の定量的把握が期待されている.本研究では能動型マイクロ波リモートセンシングによる表層土壌水分量に焦点を当て,地上計測用マイクロ波Cバンド散乱計を製作し,これを用いて重要な各種特性について室内実験を行なった.まずアンテナ特性などのシステム特性を電波暗室で調べる実験を行なった.さらに,この実験システムを用いて,マイクロ波土壌侵入深,土壌水分感度,入射角依存性,地表面粗度の影響について室内実験を行ない,以下の点が明らかとなった.(i)Cバンドマイクロ波の土壌への侵入深は,それが最も大きくなる乾燥時の鉛直入射状態でも10cm程度であり,SARの様なサイドルッキングレーダーでは土壌侵入深はより浅くなる.(ii)散乱計で観測される後方散乱係数と表層土壌水分量の関係を定式化する場合に実用的な表層土壌深は2.5cmである.(iii)後方散乱係数の入射角依存性は入射角が小さいほど顕著である.ただし,本室内実験システムでは30°以上の入射角については良い実験結果が得られなかった.(iv)HV偏波よりもHH偏波の方が後方散乱係数の土壌水分感度が高い.(v)対象土壌面が滑面と粗面とでは,後方散乱係数に非常に大きな差が生じる.
  • II.屋外実験
    虫明 功臣, 仲江川 敏之, 小池 雅洋, 沖 大幹
    1997 年 10 巻 6 号 p. 588-596
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    本論文は能動型マイクロ波リモートセンシングによる土壌水分計測の第II部であり,車載型Cバンド散乱計を作製し屋外実験を行なった.様々な土壌種類,地表面粗度,植生地を選び散乱実験を行なったところ,次のような結果が得られた.(i)可搬で組み立て型で,設定が容易な車載型Cバンド散乱計システムを構築した.(ii)30°以上の入射角についても後方散乱係数と土壌水分量の間に正の相関が見られた.しかし入射角が大きくなるに連れ,土壌水分感度,相関係数ともに小さくなる傾向が見られた.(iii)実験サイト毎に後方散乱係数と土壌水分量関係は大きく異なる.これには地表面の粗度と植生が非常に大きな影響を与えている.(iv)土壌種類よりも地表面粗度の方が後方散乱係数と土壌水分量関係に大きな影響を与えており,粗度を定量的に評価しなければならない.
  • III.合成開ロレーダ搭載衛星検証実験と土壌水分分布図の作成
    虫明 功臣, 沖 大幹, 仲江川 敏之, 小池 雅洋
    1997 年 10 巻 6 号 p. 597-606
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    本論文では合成開ロレーダの地上検証同期実験を行ない,地点毎の衛星計測後方散乱係数と土壌水分量並びに地上観測後方散乱係数を比較し,最終成果として衛星プラットホームの能動型マイクロ波センサーを用いた土壌水分分布図を作成した.得られた結果は以下のようである.(i) E ERS-1 AMIの後方散乱係数と土壌水分量の間には,体積含水率が40%以下の領域に対して,高い相関が見られた.またサイト毎に異なる地表面被覆,地表面粗度の影響はあまり大きくない.(ii) J ERS-1 SARの後方散乱係数と飽和度の間には,高い相関が見られたが,体積含水率に対する感度は非常に低い.(iii)土地被覆毎に後方散乱係数の時系列変化は特徴を持っているので,時系列データによる土地被覆分類が可能である.(iv)可視・近赤外で行なった土地被覆分類図と,合成開ロレーダセンサーのデータを組合わせることにより,土壌水分の時系列変化地図を作成することができた.
  • 姚 華夏, 端野 道夫, 寺川 陽, 陳 世倹
    1997 年 10 巻 6 号 p. 607-616
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    平原地農地の水循環解明と水資源の合理的管理を目的として,中国湖北省の新興院農業試験場(6.8km2)における地下水動態と水収支特性を試験・分析した上で,水収支構造と農業活動の影響を解析した.地下水位を二年間(1993-1994)観測し,時空間的な変化を検討した.作物や耕作モードの違うセクションについて日・月・年の水収支計算を行った結果,地下水と流出量(排水或いは潅水)の月変動は無規則的な降雨・農家耕作活動のために明らかな傾向が存在していないが,水田と畑地との月水収支が明らかに異なることが分かった.一方年間の水収支では,地下水位が少し低下し排水が発生するパターンが現われていることが判明した.以上の試験・解析結果を基に,より有効な灌水・排水対策と農地水管理が提案された.
  • 立川 康人, 市川 温, 椎葉 充晴
    1997 年 10 巻 6 号 p. 617-626
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
    既往洪水から同定された貯留関数パラメータは洪水ごとに異なる値を示す.したがって現に起こりつつある洪水に適合するモデルパラメータは,一般には過去に同定したモデルパラメータとは一致しない.適合しないモデルパラメータを用いた場合は当然,良い予測結果は得られない.そこで,貯留関数パラメータが洪水ごとに変化することを考慮するために,複数の予測更新システムを同時に実行してそれらの重みを逐次更新する手法を導入した実時間流出予測手法を提案し,実流域に適用してその効果を検証する.
  • 近藤 昭彦, 嶋田 純
    1997 年 10 巻 6 号 p. 627-629
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 10 巻 6 号 p. 635-636
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
  • 中山 幹康, 竹内 邦良
    1997 年 10 巻 6 号 p. 637
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 和良
    1997 年 10 巻 6 号 p. 640
    発行日: 1997/11/05
    公開日: 2009/10/22
    ジャーナル フリー
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