水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
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19 巻 , 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
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原著論文
  • 多田 明夫, 田中丸 治哉, 畑 武志
    19 巻 (2006) 6 号 p. 445-457
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    高頻度の長期水質観測データは,水文地球化学的なモデリングや非特定汚染源のモデリングを発展させる上で,水文データと共に欠くことのできないデータである.このため,15分間隔で渓流水質(塩化物イオン,ナトリウム,カリウム)を2週間モニタリングできるフローインジェクションポテンショメトリー(FIP)オンサイト水質観測システムを開発し,実験室と奈良県五條市に位置する小山林流域において性能試験を行った.本システムは冬期の試料凍結を除いて,長期モニタリングを阻害する主要な要因を解決した.イオン選択性電極の温度依存性を補償するために,3種の標準液による高頻度の校正試験が採用されている.実際の奈良県山林流域における2004年度のこれら3種のイオンのモニタリング結果は,濃度の流量に対する応答がこれらの項目間で明らかに異なることを示していた.塩化物イオンの応答は流域に堆積した大気からの沈着量を降雨流出が洗い出しているメカニズムを反映しており,カリウムの応答は降雨時に水分量が高まる土壌の浅い層に蓄積されたカリウムの洗い出しを示唆していると思われる.ナトリウムの応答にはイオン交換と化学的風化の両者の影響が認められた.
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  • 山中 勤, 飯塚 幸子, 田中 正
    19 巻 (2006) 6 号 p. 458-464
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    我が国の郊外で一般に見られるアカマツ林では,管理放棄のため下層植生の侵入が顕著となり,陽樹林から陰樹林への二次遷移が進行しつつある.本研究では,そのような森林における植物の水利用戦略を知るための一助として,同位体トレーサー手法を用いて,アカマツおよび共存植物種の利用水源の評価を試みた.その結果,先行植生であるアカマツは深層土壌水もしくは地下水,侵入植生であるシラカシは表層の土壌水,そして下層植生のアズマネザサは両者の中間領域の土壌水を,それぞれ利用していることが判明した.すなわち,本調査地においては異なる植物種間で利用水源の分化が生じていた.乾燥気候下だけでなく,湿潤気候下においても水源分化が生じ得るという事実は,生態系と水循環の相互作用を解明するうえで重要と思われる.
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  • 金子 武将, 小林 哲夫, 王 維真, 賀 文君, 長 裕幸
    19 巻 (2006) 6 号 p. 465-474
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    中国内蒙古自治区の黄河上流域の圃場において蒸発による越冬水分損失量を評価した.本圃場では晩秋に230mmを超える貯水灌漑が行われたと推定されるが,翌春トウモロコシが播種された時点で,表土層100cm内に留まっていたのは約20mmにすぎなかった.その間,約40mmの降水があったが,蒸発によって約170mmが消失し,また灌漑時に80mm以上が帯水層内へ流下した.一方,Wang et al.(2006)は同圃場において,雨の少ない春から初夏にかけて約80mmが根域内へ毛管上昇によって移動すると推定した.結局,230mmを超える灌漑水のうち約100mmのみが圃場におけるトウモロコシ栽培に利用されたことになる.しかも,約170mmの蒸発量のうちかなりの部分は秋灌漑が行われたために起こったものと考えられる. 本研究で得られた結果は,黄河上流域の沖積谷における,地下水深が約-1mから-2mの範囲内にある地域で適用可能と思われる.
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  • 中西 理絵, 小杉 緑子, 大久保 晋治郎, 西田 顕郎, 小熊 宏之, 高梨 聡, 谷 誠
    19 巻 (2006) 6 号 p. 475-482
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    温帯ヒノキ林におけるPRI(Photochemical Reflectance Index)の日変化・季節変化を明らかにし,群落の光合成の光利用効率(LUE)の指標としてのPRIを評価することを目的とした.樹冠スケールの地上観測から,PRIとLUEを算出した.PRIの季節変化には,夏から秋の成熟期に高く,春の展葉期と冬の褐色葉期に低くなる傾向が認められた.また,日変化に関しては,春と夏には晴天日の強光時にPRIが低下し,秋の適光適温期には,晴天日でも低下せず,冬は一日中低い傾向が見られた.このような季節および日変動の特性には,ヒノキの葉がフェノロジーの影響を受けて,各季節において光強度に対してどのように熱放散システムを働かせるかが大きく関係していることが示唆された.PRIとLUEとの関係では,LUEが大きく光依存することの影響を取り除きデータを晴天時に限ると,年間を通じて概ね直線関係が見られる結果となった.
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研究ノート
  • アルハンバリ アハマド, アルビルビシ フッサム, 近藤 昭彦
    19 巻 (2006) 6 号 p. 483-490
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    死海の標高は海抜-416.3mであり,世界で最も低所に位置すること,および塩分濃度(332kg/m3)も最も高い湖であることから,水文学的にも重要な地域となっている.死海の水位の経年的な低下は深刻な環境問題を発生させている.最も懸念される重要な問題は死海の面積の減少が周囲の地下水資源へ及ぼす影響である.本論ではリモートセンシングにより死海の面積変化を地図化し,人間活動,ここでは鉱物資源採取のための蒸発池の面積との関連性を検討し,今後行われる死海地下水盆の地下水資源評価における境界条件を提供することを目的とした.解析の結果から死海の面積は1973年から2004年の間に30.4%も縮小し,蒸発池は600%も増加したことを示した.ヨルダン,イスラエルにおける蒸発池面積の増加は死海からの蒸発速度を増加させている.最近の死海の水位低下率は年間1m程度であるが,その47%程度が蒸発池における産業活動に起因することを明らかにした.
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  • 盧 学強, 松本 英二, 阿部 理
    19 巻 (2006) 6 号 p. 491-495
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    伊勢湾内10地点から堆積物コアを採取し,過去100年間の年間堆積量の変化を鉛-210法によって明らかにした.伊勢湾全域の年間堆積量は過去100年間増加傾向を示しており,特に1950年以降の増加が著しい.2000年における年間堆積量は200万トンであり,100年前の約2.5倍となった.これは周辺人口(愛知・岐阜・三重)の最近80年間の増加率(2.6倍)にほぼ等しい.年間堆積量の増加傾向は河川整備の進展に関連し,1950年以降の顕著な増加については,港湾地域の浚渫・埋立に伴う堆積物の再懸濁・再堆積が支配要因であろうと考えられる.
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  • 松井 宏之
    19 巻 (2006) 6 号 p. 496-502
    公開日: 2006/12/27
    ジャーナル フリー
    JMA-80型地上気象観測装置(以下,JMA-80)からJMA-95型地上気象観測装置(以下,JMA-95)への測器の更新に着目し,測器の更新により生じた観測気温の差を試算し,以下のような知見を得た.1)測器更新前後での地上気象観測値とアメダス観測値の差を用いて,測器更新時に生じた極値の差を概算することができる.2)JMA-80からJMA-95への更新により,月平均最高気温は+0.14±0.04℃(平均±標準偏差),月平均最低気温は-0.04±0.01℃(同)程度ジャンプしている.3)月平均最高気温,月平均最低気温の変化により,月平均較差も+0.18±0.04℃(同)程度ジャンプしており,ジャンプ幅の約7割は月平均最高気温のジャンプが寄与している.
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