筆者らが開発してきた,山腹斜面流出系における一般的な流量流積関係式を集中化する手法を基礎として,圃場容水量を考慮した流量流積関係式を集中化する方法について述べる.まずはじめに,圃場容水量を考慮した流量流積関係式と,基礎となる集中化手法の概要について説明し,つぎに,圃場容水量を考慮した流量流積関係式に対する具体的な集中化手法を展開する.本流量流積関係式には,関係する状態量として,単位幅流量q,水量hのほかに,自由水分水量hfが媒介変数の形で含まれており,基礎とする集中化手法をそのまま適用することができない.本論文では,集中化の過程で行なうhによる積分操作をhfでの積分操作に置き換えることで,本流量流積関係式の集中化を可能としている.最後に,本流量流積関係式から導出された集中化モデルを大戸川流域と桂川流域に適用し,その結果を分布型モデルによる計算結果および観測結果と比較して,本集中化手法の有効性と問題点を検証する.
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