水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
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19 巻 , 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
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原著論文
  • 王 維真, 小林 哲夫, 長 裕幸, 賀 文君
    19 巻 (2006) 5 号 p. 350-359
    公開日: 2006/09/19
    ジャーナル フリー
    黄河流域(中国・内蒙古)の灌漑トウモロコシ畑において,TDRセンサーを用いて体積含水率と土壌溶液導電率を同時連続測定し,解析した.その結果は以下のように要約できる:
    (a)降水量の少ない春から初夏にかけて,地下水面から根域へ供給された積算水分量は約80 mmと推定された.これは前年秋に加えられた灌漑水に由来するものと思われる.
    (b)少雨期に土壌水分が地下水面から土壌表面まで移動する際,地下水に含まれる塩分は根域を通過して土壌表面まで運ばれた.
    (c)灌漑が行われ,あるいは強雨が発生したとき,加えられた水の一部は,土壌表面の集積塩分の多くが解け込む前に,大間隙を通って速やかに流下した.一方,集積塩分が十分溶け込んだ残りの水は,小間隙内をゆっくり移動した.
    (d)土壌表面に大量の水が加えられると,小間隙内の溶解塩分は短距離間急激に流下し,より下層へ集積した.この結果から,塩分のリーチングに対しては,連続湛水灌漑よりも少量間断灌漑の方が有効であるということが再確認できる.
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  • 金木 亮一, 須戸 幹, 芝原 勉
    19 巻 (2006) 5 号 p. 360-371
    公開日: 2006/09/19
    ジャーナル フリー
    育苗箱全量施肥・施肥田植機を活用した減肥料栽培および無代かき栽培による,窒素・リンの表面流出負荷・浸透負荷の削減の可能性,水稲の収量・食味に及ぼす影響について2年間に亘って検討した.田面水中の窒素・リン濃度は,代かき田植期には代かき区の方が無代かき区よりも高く,普通期には標準施肥区の方が減肥区よりも高くなり、浸透水質は標準施肥区の方が減肥区よりも高濃度となった.表面流出負荷量には代かきと施肥量の2つの要因に関して高度な有意差を生じ、代かき田植期には代かき区で,普通期には標準施肥区で大きな流出負荷を観測した.浸透負荷についても無代かきおよび減肥による削減効果が見られた.
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  • パタポーン メクプルクサウォング, 市川 勉, 山田 正
    19 巻 (2006) 5 号 p. 372-382
    公開日: 2006/09/19
    ジャーナル フリー
    タイは熱帯モンスーン地域にあって,米生産国の世界のトップ5の一つである.氾濫源に位置している水田地帯は,しばしば洪水に見舞われ,また耕作のための地下水の過剰揚水による地下水低下の問題が頻発している.タイ国Phichit氾濫原のような第四紀の堆積物による熱帯氾濫原の三次元不圧帯水層地下水流(GWF)のモデリングは入力データに関連する多くの要因のため,非常に複雑である.複雑な涵養は,洪水,河川水,雨水,水田,農業用池,サンド・ピットから成る.本論文は,現地観測データを使ったThiessen polygonタンク・モデルによる涵養量の評価と三次元不圧帯水層地下水流シミュレーションのためのVisual MODFLOWプログラムの適用を示した.シミュレートされた地下水位は,特定の場所以外は観測値との良い一致を示した.また,解析結果は,熱帯氾濫原で,洪水涵養量が不圧地下水の主な涵養であることを示した.
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研究ノート
  • 矢野 伸二郎, 辻村 真貴, 田瀬 則雄, 植田 宏昭
    19 巻 (2006) 5 号 p. 383-391
    公開日: 2006/09/19
    ジャーナル フリー
    山地斜面における降水の安定同位体比時空間分布の形成過程を解明するため,茨城県筑波山の南側斜面4 地点において,2004年8月から12月にかけて降水を高い時間分解能で採取,分析した.解析した5つの降雨イベントにおいて,酸素安定同位体比高度効果は,-0.33~-0.10 ‰/100m(平均-0.18 ‰/100m)であった.筑波山における高度効果は,卓越風向にかかわらずみられることから,Rayleigh のモデルのみからその成因を説明することは難しいと考えられる.また観測された降水の安定同位体比から,凝結前の水蒸気のそれを推定したところ,同様に高度効果がみられた.このことから,雲内の水蒸気の安定同位体比において高度効果が生じている可能性が示唆される.降水の安定同位体高度効果は,降雨イベント開始時に顕著であり,降雨ピークに近づくに伴い効果が不明瞭になる傾向が認められ,降雨ピーク以後再び明瞭になるという時間変動を示した.この変動は,雨滴凝結時に生じる潜熱がもたらす雲内の上昇気流の強弱によって説明できると考えられる.降雨ピーク時に大量の雨滴が凝結することにより,卓越した上昇気流が雲内に生じ,鉛直方向の同位体傾度が低下することが,高度効果の時間変動要因になっていると考えられる.
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  • 松山 洋, 八木 克敏, 中山 大地, 鈴木 啓助
    19 巻 (2006) 5 号 p. 392-400
    公開日: 2006/09/19
    ジャーナル フリー
    阿蘇谷西部の難透水層は地下200 m付近にあり,これが阿蘇谷から阿蘇外輪山北麓にかけて低下していると考えられている.さらに,阿蘇谷西部の地下水や河川水がSO42-に富んでいることを考慮すると,阿蘇外輪山北麓のどこかで SO42-に富んでいる水が湧出している可能性がある.河川水質は集水域の湧水の水質を反映するので,本研究では阿蘇外輪山北麓を流れる杖立川上流域の河川水について,河川が合流する手前の本流側と支流側で水質調査を行なった.本稿ではその結果について示し,これに基づく考察を行なった.
    杖立川上流域東部を流れる田の原川や志賀瀬川では,Na+やCl-に富んだ河川水がみられ,これらは河川上流部にある温泉の影響を受けている.また,杖立川上流域西部を流れる湯田川ではSO42- に富んだ河川水がみられ,これは湯田温泉から供給されている.SO42-に富むという意味で,湯田温泉と阿蘇谷の地下水や河川水は共通しているが,湯田温泉のSiO2濃度は阿蘇谷の地下水や河川水のSiO2濃度よりも小さい.このことから,湯田温泉のSO42-に富んだ水は阿蘇谷起源であるとは言えない.
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解説
  • 佐藤 弘和
    19 巻 (2006) 5 号 p. 401-412
    公開日: 2006/09/19
    ジャーナル フリー
    本論では,土砂流出対策や生態系保全を考慮した流域管理を考える際の有益な基礎情報を得るために,主に農地における浮遊土砂流出の実態とその発生機構,浮遊土砂が河川生物やその生息場に及ぼす影響,農地から発生する浮遊土砂流出を抑制する技術についてそれぞれ解説する.森林と農地を比較した浮遊土砂流出を扱った研究では,農地からの浮遊土砂流出量が高い傾向にある.農地における浮遊土砂生産では,営農活動による土壌物理性の変化が影響している.浮遊土砂は,しばしばサケ科魚類など水生生物自体やその生息場に悪影響を及ぼすことがある.浮遊土砂の過剰な発生を抑えるには,発生源(例えば,農地とその周縁部)での対策が重要である.浮遊土砂流出に関する情報に基づく土砂管理は,河川生態系保全のためにも適用すべきである.
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  • 高津 文人
    19 巻 (2006) 5 号 p. 413-419
    公開日: 2006/09/19
    ジャーナル フリー
    これからの富栄養化診断は単に富栄養化の程度を評価することだけではなく,富栄養化によって食物網構造や物質循環がどのように変化したかや今後どのように変化するかを予測し,その対策を模索することが重要になる.安定同位体自然存在比測定法はそうした解析に最も適した分析手法のひとつであることを,その特質を説明しながら紹介した.硝酸塩や植物体,一次消費者の窒素安定同位体比は,集水域に占める宅地や水田といった人為的土地利用の割合が増すに従って上昇する.このことは,高い同位体比の排水が河川に流入することが主たる理由であるが,脱窒やアンモニア揮散の影響も受ける.食物網構造から物質循環まで幅広く応用可能な安定同位体比は水文学と生態学の融合に必要な研究手法となるはずである.
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