水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
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18 巻 , 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
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原著論文
  • 何 超, 福原 輝幸, 高野 保英
    18 巻 (2005) 3 号 p. 221-232
    公開日: 2005/06/27
    ジャーナル フリー
    浅い地下水位を有する土壌を対象に散水-蒸発下の塩移動実験を行い,2次的塩害の特性を調べた. その結果,散水浸透水と地下水の連結および,その後の蒸発によって生じる土壌中の熱・液状水・水蒸気移動に伴う塩移動および地表での再集積の挙動が明らかになった. さらに,この水分の連結は,地表塩集積層に含まれる塩の下方移動を助長するものの,その後の蒸発によって最終的には地表で塩再集積することを明確にした. また,本論で提案した飽和-不飽和-乾燥土壌の熱・水分・塩移動解析モデルを用いて行った温度分布・水分分布・塩濃度および含塩率分布の計算結果は,いずれも実験結果を再現できた. しかしながら,塩濃度および含塩率分布の計算では,地表に乾燥層が現れると,乾燥層の底部付近で誤差が生じてくる. この原因は,内部蒸発よりも低含水領域での水分特性曲線と透水係数の精度にあると考察される.
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  • Mahadevan PATHMATHEVAN, 小池 俊雄, 李 新, 藤井 秀幸
    18 巻 (2005) 3 号 p. 233-243
    公開日: 2005/06/27
    ジャーナル フリー
    土壌水分や地温プロファイルは,陸面-大気間の水・エネルギー・炭素循環を規定する重要な要素である. リモートセンシングと地表面観測を組み合わせて土壌水分,地温を算定することに力点をおいた陸面水文過程のモデルの開発によって,これらの重要な水文量分布を統合的に明らかにすることができる. データ同化手法は,観測値を陸面-大気モデルに導入し,観測できない物理量を物理的に整合性をもって推定するとともに,予測に必要なデータ欠損を補う手続きである.
    陸面水文量の算定のための数値予測モデルに複数の観測データを導入するために,陸面モデル変数を算定し,土壌水分や地温の鉛直プロファイルを算定できる陸面データ同化システムが開発された. このシステムはマイクロ波放射計観測を組み合わせている点では,6チャンネル地上可搬型マイクロ波放射計を用いて,観測条件をコントロールして地表面観測を行うことによって,このスキームを異なる裸地条件のもとで検証し,モデルの適用性がよいことが観測データから示された. さらに論文では,土壌タイプ,地表面粗度,大気強制力データに対する同化システムの感度について明らかにしている.
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  • 伊藤 雅之, 大手 信人, 勝山 正則, 木庭 啓介, 川崎 雅俊, 谷 誠
    18 巻 (2005) 3 号 p. 244-256
    公開日: 2005/06/27
    ジャーナル フリー
    森林流域の各部位におけるメタンフラックスの時空間的変動を把握する目的で,地表面メタンフラックスの測定と環境条件の調査を行った. その結果,土壌水分条件の変動により土壌中の酸化還元状態が変化し,土壌の各部位でのメタン吸収・生成が制御されることが明らかになった. ヒノキ林において,体積含水率の低い地点では年間を通じてメタン吸収が観測されたが,湿地近傍の体積含水率の高い地点では夏期にメタン放出が見られた. また,湿地ではほぼ年間を通じてメタンが放出され,夏期に放出量が増大したが,夏期の地下水位の低下は放出を制限した. 地温上昇はメタン生成と吸収の両方を増加させたが,増加率は生成の方が大きかった. 流域メタンフラックスの推定を行った結果,高温期には湿地の単位面積あたりの放出速度がヒノキ林での同吸収速度に比べて3オーダー高くなり,流域全体としてメタンのソースとして機能する可能性があることが示唆された. このことから,従来のように森林をメタンのシンクとして捉え,流域全体の吸収量を比較的乾燥した林地土壌における吸収量からのみ推定すると,過大評価となる可能性が示唆され,湿地における放出量の推定を個別に行う必要性が示された.
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  • カオ ドン グエン, 荒木 宏之, 山西 博幸, 古賀 憲一
    18 巻 (2005) 3 号 p. 257-273
    公開日: 2005/06/27
    ジャーナル フリー
    本研究は,貯留水路法に基づいた新しい概念の降雨流出モデルの開発について報告したものである. 流れの方程式を陰的に解くことにより,実測データとの比較を行い,ベトナム中央部の低平地流域に適用し,本モデルの有効性を明らかにした. さらに,日本において従来からよく用いられている菅原のタンクモデルによる計算結果との比較により本モデルの適用性を確かめた. 計算結果の精度に関する統計値および本モデルから得られるハイドログラフの両方から,適切な流出制御装置を統合した本モデルが満足できる高い精度で流出量を評価できることを明らかにした. 本モデルは12のパラメーターを持っており,感度解析から各パラメーターが流出ハイドログラフのピークと形状の双方に及ぼす影響(感度)を示した. 従来のタンクモデルでは流出係数が固定されているため,時間的に変動する境界条件を考慮することが不可能であったが,本モデルでは水路流出口に設定された流出制御装置(施設)により,それが可能となるという革新的な利点が得られる. このように流出制御施設という新しい概念を導入することと非定常の降雨プロセスを考慮することにより,低平地等における潮汐の影響を再現することが出来ると共にハイドログラフの形状,ピーク,時間という重要な要素を高精度に評価可能であることも大きな利点である. このように,本モデルは従来型のモデルに比べて優位性を有すると共に降雨流出と山地から低平地までの流域内の流れを解析することが基本的に可能である.
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  • 酒井 一人, 大澤 和敏, 吉永 安俊
    18 巻 (2005) 3 号 p. 274-280
    公開日: 2005/06/27
    ジャーナル フリー
    沖縄県では赤土流出が社会問題となって久しく,様々な対策がとられているがその効果についての評価が十分でなく赤土流出予測モデルの構築が望まれている. そのような中,筆者らはこれまで集中型モデルである浮遊土砂流出解析モデルの開発を進めてきた. 本研究では,そのモデルにフォスターが示す斜面侵食モデルの概念を取り入れることによる改良を行った. そして,そのモデルを土地利用状況の違う2流域に適用した. その結果Suspended Sediment Concentration(SSC)のピークにおいて誤差が見うけられるものの概ね良い適合結果を得た. また,最適化したそれぞれのパラメータの値は流域の特性の違いを表す結果となった. さらに,このモデルは農業流域からの土砂流出で良く見られるファーストフラッシュを再現することができた.
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  • 手計 太一, 吉谷 純一
    18 巻 (2005) 3 号 p. 281-292
    公開日: 2005/06/27
    ジャーナル フリー
    人間活動が水循環に与える影響を評価する目的で,タイ王国最大の流域面積を持つChao Phraya川流域を対象に,貯水池操作が流況に与えた影響について検討を行った. Chao Phraya川流域は100億m3以上の多目的ダムを二つ有す. しかし,1995年までは厳密な運用方法は無く,経験的に貯水池操作を行っていた. 現在では,貯水池水位の上限と下限が決められ,その間に入るように操作されている. 特に乾期(1月から6月)においては,灌漑のために政府によって厳しいルールが決められている.
    本稿ではこのような貯水池操作によって下流の流況に与えた影響を示した. その結果,ダム直下では特に顕著な流況の変化を捉えた. さらに,FFTを用いたスペクトル解析の結果,下流の日流量は3.5日や7日といった短い周期特性を持つことがわかった. これは貯水池からの日放流量のスペクトル特性と一致したことから,貯水池運用が下流へ多大な影響を与えていることを明らかにした. このように,大規模な人間活動が水循環へ多大な影響を与えていることを示した.
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  • ナワダ アミン, 小尻 利治, 開發 一郎
    18 巻 (2005) 3 号 p. 293-305
    公開日: 2005/06/27
    ジャーナル フリー
    本研究は, 多層メッシュ型流出モデルであるHydro-BEAM(Hydrological River Basin Environment Assessment Model)において, 表面流・飽和中間流にはKinematic wave modelを, 不飽和中間流にはRichards' equation, 地下水には不圧地下水流を適用し, その総合化を図ったものである. 流出モデルに関しては, 流出, 土壌水分量, 地下水涵養量の動態をモデル化すると共に, 表面貯留での初期損失を考慮した. また,ダム貯水池操作を組み込むための流域分割と, 人間活動を考慮すべく土地利用の時間変化を用いた. モデルは初期条件やパラメータを最適化して, 琵琶湖野洲川流域に適用し, 地表水と地下水の間の動的関係を検証した.
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研究ノート
  • 綱川 明芳, 山中 勤
    18 巻 (2005) 3 号 p. 306-309
    公開日: 2005/06/27
    ジャーナル フリー
    低温凝結法によって大気中の水蒸気を採取する際,水の相変化に伴って生じる同位体分別によって,水蒸気の同位体組成が変化してしまう危険性がある. しかしながら,サンプリング時の同位体分別の有無や程度について,詳細な検討を行った例はこれまでほとんどなかった. そこで本研究では,同位体分別の有無を確認するための実験方法を考案し,サンプリング手法の信頼性の評価を試みた. 幾つかの条件下で実験を行った結果,通気流量をある程度(例えば,10 l/min)以下に抑えれば,実用十分な精度(δDで±1‰,δ18Oで±0.5‰)で水蒸気の安定同位体組成を測定できることが示された.
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  • 仲江川 敏之, 徳広 貴之
    18 巻 (2005) 3 号 p. 310-320
    公開日: 2005/06/27
    ジャーナル フリー
    気象庁陸面モデル(Simple Biosphere)に,ヨーロッパ中期予報センターによる15年再解析データをもとに作成した大気強制力を与えて算定したモデル陸域貯水量を,大気-陸域結合水収支から得られた陸域貯水量を用いて検証した. 検証に当たっては,Taylorダイアグラム上で月平均気候値の季節変化を比較した. 陸域貯水量に関する両者の定義が異なることを考慮すれば,本研究で得られた結果は良く一致していると言える. とりわけ,位相差を考慮すると,多くの流域で相関係数は0.9を越えている. この位相差は,モデルに含まれていない地下水,湖沼,河道による貯留効果が主要因であると考えられる. Taylorダイアグラムでこれらの結果を表示したことにより,ラグ相関の最大値が同時相関に比べて良くなるか,またその位相がどの程度異なるかを視覚的に容易に把握することができ,更に各流域の問題点を俯瞰することもできるようになった.
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