育苗箱全量施肥法による4~6割の減肥および無代かき栽培法が,水田の表面流出負荷,浸透流出負荷,物質収支,玄米収量に及ぼす影響を明らかにするため,水田4筆を用いて,6年間に亘って実験した.
その結果,育苗箱全量施肥区の表面流出負荷量は,窒素で慣行施肥区の43 %に,リンで39 %に減少した.浸透流出負荷量については窒素で慣行施肥区の67 %に減少し,リンでは減肥率が高くなるほど浸透流出負荷量は少なくなった.一方,無代かき栽培区の表面流出負荷量はSSで代かき区の41 %,CODで46 %,窒素で59 %,リンで65 %に減少した.物質収支から求めた肥料供給超過量については慣行施肥区で窒素の1割以上,リンの4割以上に達しており,慣行施肥区における減肥の必要性が示唆された.育苗箱全量施肥区の玄米収量は慣行施肥区の6 %減に留まり,肥料の生産性が向上していた.
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